学生サポート

学生から「自分は自閉症スペクトラム障害だ」と申告されたら・・・

学生から「自閉症スペクトラム障害との診断を受けている。人の目や音が気になるので授業に集中できないし、人と話すのも苦手なので友人も作れず、辛い」と相談がありました。どのように対応すればいいでしょうか?

障害を打ち明けてくれた時は、信頼に対する感謝の意を表し「一緒に対応を考えていきたい」と伝えましょう。一方で、配慮することとおまけすることの違いを、相談を受ける側としても意識しておく必要があります。
感覚過敏があり、人との距離が近過ぎると不安になるなどの症状があれば、教室で講義を聞くことが難しいかもしれません。しかし、これまでも学校生活を切り抜けて大学に来ているので、過去に受けた配慮や本人の工夫を聞いてみると良いでしょう。こうした症状は絶対的なものでなく、安心できる環境があれば、やり過ごせることも多いと思われます。例えば、(1)授業に支障が出ないように努めるのであれば、調子が悪くなった時に退出することを認める、(2)周囲の雑談が気になる場合(雑談に対する苛立ち、物音で気が散って集中できない)は、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンの使用を認める、(3)講義の聞き取りが難しければ、レジュメ提供や録音を許可するなど。具体的な回避方法を提示することで、授業参加の緊張が和らぐこともあります。
発達障害の学生の中には、これまでの集団生活(特に思春期以降の対人関係)で、輪に入れない、自分は周囲の雰囲気を悪くしてしまうなどと自己評価が低い学生も多く、嫌われている、避けられている、笑われている、それが嵩じて馬鹿にされているといった被害妄想的な発想をすることがあります。こうした場合でも、定期的なカウンセリングが不安を和らげたり、投薬が有効なこともあります。また、診断を受けて通院している場合には、主治医とも連携をとって支援しますので、まずは学生相談室にご案内ください。
発達障害傾向のある学生は、話し言葉だけでは、その意味を一義的にとらえがちで、比喩がわからなかったり、こちらの意図とは異なる独自の解釈をすることがあります。キーワードを書き出して関連性を図示するなど、視覚的補助手段を使って伝えるようにすると良いでしょう。また一度に様々な情報を伝えようとすると、聞いたことを整理するのが苦手なため、混乱してしまうこともありますので、焦点を絞るようにしてください。
 「誰でもそんな悩みはあるが我慢している」「自分も同じように苦手だが頑張った」といった回答は避けるべきです。また、発達障害に関する知識があっても、当事者が抱える困りごと、悩みには個人差があるので、診断名を聞いただけでわかったような態度をとらないようにすることも大事です。