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麻疹(はしか)

麻疹は麻疹ウイルスの感染によって発症する、全身の感染症です。 感染力が強く、免疫を持っていない人が感染すると100%発症します。しかし、一度感染してしまえば、一生免疫が獲得されます。 我が国では、ワクチンの定期接種が始まって以来激減し、2015年にWHOから「麻疹の排除状態にある」ことが認定されました。しかし、近年、インバウンドによる外国人の流入に伴い、麻疹の感染報告が増えてきています。

症状等について

  1. 麻疹ウイルスによって、空気・飛沫・接触感染することで発症します。麻疹感染者が去った後も、2時間程度はその空間は感染力が残るとされています。
  2. 感染後、8-12日の潜伏期間の後、発熱、咳嗽、目の充血、眼脂(目やに)などの症状が2-3日続き、口の中(奥歯のあたりの頬の粘膜)に白い斑点(コプリック斑と呼ぶ)が出現します。
  3. いったん解熱した後で39℃を超える高熱が出現するとともに、赤い皮疹が頭部から始まり、全身に広がります。
  4. 重症の場合、肺炎や脳炎などの合併症が起こることもあります。

感染期間について

  • 発疹が現れる4日前から発疹出現後4日目までの期間に強い感染力があります。 一人の感染者が周囲の何人の人を感染させるかという感染力の強さを示す「基本再生産数(R0)」が12-18と極めて強く、感染対策が重要です。
  • 参考:インフルエンザのR0は1-2、新型コロナウイルスは2-3です。

予防方法について

  1. 空気・飛沫・接触感染します。感染力が強いため、通常の感染対策である手洗い・うがいでは、予防することは困難です。しかも、麻疹には特効薬がありません。重症化することがあり、予め定められた期間に予防接種を受けることが非常に大切です。
  2. ワクチンを2回接種することで免疫を獲得し、予防することができます。一方、罹患歴がなく、ワクチン接種歴もない場合、あるいは1回しか受けていない場合は、麻疹に対して易感染性の状態であると言えます。ワクチンの接種により予防効果が期待できます。
  3. 2000年4月2日以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻疹含有ワクチンの接種機会が提供されています。母子手帳で接種歴を確認してみましょう。もし、母子手帳がなく、2回接種したか不明の場合は、医療機関で抗体価を測定し、免疫があるかを調べることが可能です(※自費診療となります)。
  4. 過去の接種回数や抗体検査の結果に関わらず、麻疹含有ワクチンを自主的に追加接種することも、有効な予防方法です(※自費診療となります)。麻疹含有ワクチンでは、ワクチンによる重篤な副反応の報告はありません。

※麻疹ウイルス抗体価測定や麻疹含有ワクチン接種の自費診療における費用は、医療機関によって異なりますので、受診予定の医療機関に直接お問い合わせ下さい。

治療等について

  1. 特効薬はありませんので、咳止めや解熱剤など症状に合わせた治療になります。
  2. 細菌の二次感染を引き起こしやすいので、抗生物質を服用することもあります。
  3. 脱水やビタミン欠乏になりやすいので、水分や栄養の補給を十分にしましょう。
  4. 学校保健安全法では、第二種の感染症に指定されており、解熱した後3日を経過するまで出校停止となっています。
  5. もし、麻疹と診断された場合は、感染拡大を防ぐため出校せず、本人又は代理人が電話等で、所属するキャンパスの保健センター又は所属学部の事務室に、報告をしてください。