ダイバーシティセンター

活動報告書(2023年度)

テキスト版は以下のとおりです。

活動報告

障害領域

相談・支援(のべ125件)*2023年4月~2024年2月

肢体不自由、聴覚障害、盲ろう、難病等のある学生への学修支援に対応しました。学修支援では、障害等のある学生が受講する授業やスクーリング時に、SA(スチューデント・アシスタント)の学生がノートテイクによる情報保障を行いました。

イベントでの情報保障

今年度からダイバーシティウィークや人権問題講演会でも情報保障を行い、外部の手話通訳を依頼 するとともに、SAが文字通訳を担いました。

学生同士の交流の促進、学生向け研修の実施

支援の技術や方法を学ぶ「SA講習会」、情報共有や振り返りを行う「支援利用学生とSAの交流会」などを前後期各1回ずつ実施しました。後期の交流
会では、2024年3月に理工学研究科を修了予定の車いすユーザーの院生に講演を依頼し、SAやSA活動に関心のある学生たちが参加しました。

バリアフリーマップを作成

茗荷谷キャンパス、駿河台キャンパス、小石川キャンパスのバリアフリーマップを作成しました。これで中央大学すべての校地のバリアフリーマップが揃ったことになります。バリアフリーマップの現地調査には、車いすユーザーの学生も参加し、それぞれの視点から検討を重ね各キャンパスのマップを完成させることができました。

ジェンダー・セクシュアリティ(GS)領域

相相談・支援(のべ126件)*2023年4月~2024年2月(2022年4月~2023年3月:のべ105件)

性別に対する違和感がある、自認する性別で通学したい、通称名を使用したい、恋愛感情がわからない、家族にセクシュアリティを理解してもらえない、卒業後の進路が不安である、などの相談に対応しました。

学生用ハンドブック・教職員用ガイドブックの改訂・中国語版作成、カードの作成

学生および教職員にジェンダー・セクシュアリティへの理解を深めてもらうための啓発冊子を作成し、HPで日本語版・英語版を公開しています。今年度は内容の改訂をおこなうとともに中国語版を作成しました。また、周知のためのカードも作成しました。来年度以降、各所で配布していきます。

生理用品の無償設置を拡大

「生理の貧困」が社会問題化する中、生理のある人への支援の一環として、昨年度から多摩キャンパスの一部のトイレに無料で利用できる生理用品を設置しました。今年度は設置場所を1キャンパス(多摩)から5キャンパス(多摩・後楽園・市ヶ谷田町・茗荷谷・小石川)に拡大しました。

グローバル領域

相談・支援(のべ3件)*2023年4月~2024年2月(2022年4月~2023年3月:のべ2件)

文化的背景に基づく不合理なあつかい、通称名の使用に関する相談に対応しました。

「 Diversity Creator Team(DCT)」主催のイベントを開催

DCTは、学部も学年も様々な学生有志による団体です。多文化共生社会をめざし、「難民問題」をテーマとした映画上映&トークイベントを開催しました。また、留学生と国内学生の交流を深め、「居場所」を作るための参加型イベントを複数回開催しました。

国際センター制作の啓発動画への協力

グローバル部会のメンバーとコーディネーターが動画「多様性が尊重されるキャンパスをみんなでつくる~ダイバーシティ推進の取り組み~」の制作に協力しました。コーディネーターは動画にも出演しています。

その他

全学調査の実施

2023年10月に、本学の学生と教職員を対象にした「中央大学ダイバーシティ推進のためのアンケート2023」を実施しました。ダイバーシティ推進の取り組みに対する認知度や学内環境への意識を聞く調査で、1,800件の回答が集まりました。来年度に調査結果をまとめた報告書を公開する予定です。

学外における啓発活動

新入生ガイダンス、新任教員研修、新入職員研修、キャリアセンター職員研修、各学部教授会での説明、教職課程オリエンテーション、授業のゲストスピーカーなど(15件)でコーディネーターが講師を務めました。また、学生相談室、保健センター、キャンパスソーシャルワーカーなどの学内関係機関との連携を図るため、定期的な懇談を実施しました。

学外でのネットワークづくり・情報発信

他大学との情報交換(15件)、セミナー登壇、AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会)ポスター報告などを行いました。

附属校との連携

附属校の教職員に対する研修や懇談の実施、高校の新入生に配布するリーフレットを作成しました。

オープンキャンパス

今年度からオープンキャンパス(多摩・後楽園・市ヶ谷田町・茗荷谷)にブースを出し個別相談を行いました。中央大学の現在の支援状況や合理的配慮*について、参加された生徒や保護者、受験生等に情報を提供しました。
*合理的配慮参考HP:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1297380.htm

ダイバーシティセンター主催イベント

Dトーーク!【主催】 5/12・6/7・7/6(対面)

少人数でカジュアルに話ができる学生座談会です。全3回の開催で、参加者からは「少人数なので思ったことを話しやすかった」などの感想が聞かれました。

第1回「友達との付き合い方」
第2回「フィクションとダイバーシティ」
第3回「バイト何してる?何したい?」(中止)

映像でみるダイバーシティ【主催】 5/22(オンライン)

短編映像を題材にした学生限定のイベントです。今回は自分のルーツに関するディスカッションの短編映像から「ルーツ」について個々の思いや体験を話すことができました。

Diversity Day「日本の難民問題を知ろう!」【主催】6/3(対面)

法学部独自のプログラムであるシドニーアクティブラーニングプログラム(SALP)の2021年メンバーとDiversity Creator Teamの企画・運営で、ドキュメンタリー映画『東京クルド』の上映会とトークセッションを実施しました。上映後に少人数のグループで難民問題における課題や意見の共有が行われました。

ダイバーシティとキャリアをつなぐ【主催】 6/20(オンライン)

ゲストのライフヒストリーをじっくりと伺い、これからの人生やキャリアについて考えるイベントです。今年度は公民館で仕事をされているゲストに登壇いただきました。社会教育に携わるやりがいや難しさを知る貴重な機会となりました。

D café【主催】 7/10・10/13 ・10/18 (対面)

ダイバーシティセンターのコーディネーターがダイバーシティとの関わりについて自身の活動等を話しました。参加した学生からは「当事者性や専門性について話しを聞くことができた貴重な機会だった」等の感想があり、ダイバーシティへの理解と周知につながりました。
第1回「ダイバーシティセンターのコーディネーターってどんな人?」(茗荷谷)
第2回「複合的マイノリティをいきる」(多摩)
第3回「複合的マイノリティをいきる」(茗荷谷)

手話っと交流会【主催】 10/9・10/13 ・10/18(対面)

学生たちが手話という言語の魅力やろう文化についてろう講師との交流の中から学ぶことがで きました。
第1回 ろう学校教員・内山さん(多摩)
第2回 スープカフェ「Sign with Me」
    オーナー・柳さん(後楽園)
第3回 会社員・棚橋さん(茗荷谷)

NHKドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」
トークイベント・学生座談会【共催】 12/17(対面)

中央大学とNHKとの共催で大規模イベントを開催しました。学内の学生や関係 者、一般の方と合わせ約300名の来場者をお迎えしました。会場の受付や誘導など情 報保障の文字通訳にもSAの学生たちが活躍しました。

中央大学ダイバーシティ推進×ハラスメント防止啓発ウィーク  Chuo Diversity Week 2023「 バリアってなんだろう?」11/10~11/23(対面・オンライン・ハイブリッド)

毎年11月にダイバーシティ推進とハラスメント防止啓発の理解を深 めるため、現代社会の諸問題にふれる機会としてChuo Diversity Weekを開催しています。第6回目となった今年はテーマに「バリ アってなんだろう?」を掲げ、対面形式(一部オンライン・ハイブリッド)で開催しました。情報保障として手話通訳と文字通訳を行った企画もあり、共生社会に向けた一歩となりました。映画上映会、講演会、ワークショップ、展示など全12企画で、学内外からのべ387人にご参加いただくことができました。

  1. 11/10 講演会「トランスジェンダー入門」
  2. 11/11 人権問題講演会「手話で感じる世界」
  3. 11/12 映画上映会・講演会 「難民問題を知ろう」
  4. 11/13 講演会「犯罪被害防止講習」
  5. 11/14 ワークショップ「異文化間交流について考えよう」
  6. 11/15 パネルディスカッション「ダイバーシティ×グローバル 海外研修報告会」
  7. 11/16 講演会「性的同意って何?」
  8. 11/18 講演会・ワークショップ「自分たちで創る避難所と避難計画」
  9. 11/23 講演会「女性研究者や若手研究者のおかれている状況」
  10. 10/16-10/27 関連書籍の展示(多摩・中央図書館)
  11. 11/6-11/23 関連書籍の展示(後楽園・図書館理工学部分館)
  12. 11/6-11/24 関連書籍のブックフェア(多摩・生協)

東京レインボープライド2023【参加】 4/22・ 4/23

初めてのブース出展でした。ブースには在学生だけでなく多くの卒業生も含め、のべ 700 人が立ち寄りました。とくに「中大クイズ」は大好評で本学関係者以外の方にもたくさん参加いただき、ダイバーシティセンターを知っていただく機会となりました。
【協力】
・8/3 FOREST GATEWAY CHUO 自衛消防隊訓練
・9/20 りこボラ ! 防災シミュレーション

居場所運営

多摩キャンパスダイバーシティセンターの隣にある、ダイバーシティスクエア(Dスクエア)は、学生のための居場所です。主な機能は、安心・安全な居場所の提供、個別相談の対応、書籍・資料の設置(閲覧・貸出)および情報発信の3つです。月曜日~金曜日の授業実施日の10:30~14:30に開室しています。2023年度は、年間約300人の学生・教職員が来室しました。今年度は対面活動の機会が増えた ことで、グループ活動の場としても利用されていました。また、2023年4月からは茗荷谷キャンパスにも学生相談室・ダイバーシティセンターが開設されました。こちらは、月曜日~金曜日の授業実施日の10:00~17:00に開室しています。いずれも、休憩や読書、談話や課題等で利用することができ、書籍の貸し出しも行っています。

2023年度ダイバーシティセンターのスタッフ

2023年度も引き続きダイバーシティセンター事務室、運営委員会、3部会が協力してダイバーシティ推進の活動を進めました。障害領域、ジェンダー・セクシュアリティ領域での専門知識 や経験を持つコーディネーターと教職員が力を合わせることで、学生支援や学内環境の整備を効果的に進めています。
今年度は障害領域コーディネーターが3名に増え、勤務地も多摩キャンパス、後楽園キャンパスに茗荷谷キャンパスも加わりました。現在は5名のコーディネーター、専任職員2名、兼任職員2名が多岐にわたる日々の業務に当たっています。

ご理解とご支援の御礼

2023年度は、コーディネーターの増員と本格的な都心キャンパスでの業務開始という、ダイバーシティセンターにとって新たな挑戦の年になりました。新設された茗荷谷キャンパスでは学生相談室と協働してより包括的な学生支援を目指し、後楽園キャンパスにもコーディネーターを配置し理工学部における学生支援を充実させるなど、よりインクルーシブな環境づくりを進めています。全キャンパスのバリアフリーマップ完成、全学アンケート調査の実施、大規模イベントの実施、複数キャンパスにおける障害学生の修学支援といった、全学規模の取り組みも概ね計画通り進み、ようやく活動が軌道に乗り始めたと感じています。
これからも、日々届く困難を抱える学生たちの声に耳を傾け、一人ひとりが尊重され安心して過ごせる大学であるよう力を尽くします。
私たちの活動をご理解・ご支援くださる皆さまの存在に、ダイバーシティセンターは支えられています。誰もが取り残されず学ぶことができる環境づくりには予算も人員も必要なところ、大学予算に加えて皆さまからのご寄付、助成金等でここまで活動を展開することができました。心より御礼申し上げます。2024年度もご支援のほどを、どうぞよろしくお願いいたします。