ダイバーシティセンター

「中央大学ダイバーシティ推進×ハラスメント防止啓発ウィーク|Chuo Diversity Week 2023」を開催しました

2024年01月17日

「中央大学ダイバーシティ推進×ハラスメント防止啓発ウィーク|Chuo Diversity Week」は、ダイバーシティ推進とハラスメント防止啓発について理解を深める機会として、毎年秋に開催しています。今年度は、2023年11月10日から11月23日の14日間にわたり、多摩・後楽園・茗荷谷の各キャンパス(一部ハイブリッド)で開催しました。

 

今回のテーマは「バリアってなんだろう?」。誰もがすごしやすい大学をつくるという原点に立ち返り、大学では、何が、誰にとって、どんなふうにバリアになっているのか、そしてそれはどのように解消できるのかを、様々な視点から見つめることができました。

期間中、学内外から約400名の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 

今回も講演会や上映会などのイベント開催に加え、図書館での展示や生協でのフェアなど幅広い企画を実施しました。ポスターに掲載している企画のほかに、茗荷谷図書館では11月15日(水)のランチタイムにダイバーシティ関連の本を紹介するイベントを開催し、推薦Bookリストを配布しました。

各企画については以下をご覧ください。
*広報室GO GLOBALのサイトに特集記事が掲載されていますので、以下もぜひご覧ください。

「ダイバーシティ×グローバル 海外研修報告会」が開催されました(CHUO Diversity × ハラスメント防止啓発 Week 2023)

「異文化間交流について考えよう~学生達の学びや葛藤から見えてくるもの~」が開催されました(CHUO Diversity × ハラスメント防止啓発 Week 2023)

イベント

11/10 トランスジェンダー入門

話題の書籍『トランスジェンダー入門』の共著者である高井ゆと里さんをお招きして、トランスジェンダーがその人生において直面するバリアについて解説していただきました。貧困・メンタルヘルス・法制度といったバリアはもちろんのこと、無知・無関心・デマ、それらに基づく偏見・差別というバリアの強大さを突き付けられるようでした。

「未来について語る資格があるのは現状を正しく認識している人だけ」というまとめの言葉が印象的でした。

11/11 中央大学主催人権問題講演会 手話で感じる世界

11月11日(土)に、中央大学主催人権問題講演会「手話で感じる世界」を開催しました。本講演会では、9名の学生が中央大学ダイバーシティセンターの職員やコーディネーターと共にスタッフとして参加し、文字通訳・受付・誘導などを担当しました。学生の皆さんと当日までに対話するなかで、初めての機会に緊張する様子もありましたが、講師の佐沢静枝さんが講演開始前に、学生やダイバーシティセンターのコーディネーターと交流する時間を作ってくださったので、少し緊張もほぐれて運営に臨むことができたと思います。

参加人数はスタッフを含めると100名ほどで、途中休憩を挟み2時間の講演会でしたが、会場は終始講師の手話を見つめる熱視線に包まれて、あっという間に感じられました。

 

講演を通して、今年12月にドラマ化された「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」の書籍から引用もしながら、ろう者・難聴者・コーダ・手話通訳に関するさまざまな事例も交えて、人権について考えました。参加者からは、松尾芭蕉の句を日本手話と日本語対応手話でそれぞれ表現されていたのが、2つの違いがよく分かってとても良かったなど、日本手話の美しさに感動した、また、手話は言語であると感じた、という感想も多く寄せられました。共生社会の実現に向けて、お互いに歩み寄り、一人ひとりが工夫し対話する大切さを改めて感じる機会となりました。

 

参加した学生からは「コミュニケーションをとろうという意志さえあればちゃんと通じ合えるのだなと思った」と感想がありました。今後もさまざまな企画で、ダイバーシティセンターに関わるSA(スチューデント・アシスタント)をはじめとする学生たちとも一緒に盛り上げていきたいと思います。

11/12 難民問題を知ろう 『マイスモールランド』上映会

11月12日(日)に、「難⺠問題を知ろうー『マイスモールランド』上映会&北村泰三中央大学名誉教授トークセッション」を、中央大学ダイバーシティセンター主催の下で開催しました。当イベントは、中央大学法学部独自の教育プログラム「シドニー・アクティブ・ラーニング・プログラム:人権と市⺠社会」(SALP)の受講生と元履修生が、日本にいる在留資格のない子どもたちの現状を知ってほしいという想いから企画したものです。6月のイベントに引き続き、2回目のイベントとなります。


『マイスモールランド』(川和田恵真監督、2022年)は、在留資格のない子どもの置かれる状況を反映しています。日本で育ったにも関わらず、子どもたちには当たり前の権利が保障されず、家族全員が国籍国へ強制送還される恐れがあることを学びました。また、「どこの国から来たの?」といった日頃の何気ない言葉が彼/彼女たちを傷つけてしまうかもしれない、という意識を持つことの大切さも、同時に学びました。


トークセッションでは、北村さんに映画の内容と関連させたお話しを頂きました。映画はフィクションですが、子どもたちは現実でも同様の状況に置かれています。その理由が、日本の難民認定率の低さや改正入管法の問題点などにあるということを知ることができました。


イベントの参加人数が30名程度だったため、感想共有ではゆっくり話を聞くことができたという意見を頂きました。一般の方々と学生が一緒に、難民問題について考える良い機会になったと思います。

11/13 犯罪被害防止講習 「大丈夫!? DV、ストーカー、痴漢から自分を守ろう」

東京都都民安全推進部から講師に森山奈央美さんを派遣して頂いて、犯罪被害防止講習「大丈夫!? DV、ストーカー、痴漢から自分を守ろう」を開催しました。講習会では、DV、ストーカー、痴漢に対する具体的な対処方法だけでなく、暴力への基本的な対処方法(NO、GO、TELL)についてのお話や、危険を感じた時の相談先、相談のタイミングについても教えていただきました。

 

終了後のアンケートでは、「相談先に連絡をしてみて、対応してくれなかったとしてもあきらめないで相談先をさがすということは大事なことだと感じた。」という声もありました。

11/14 異文化間交流について考えよう 学生達の学びや葛藤から見えてくるもの

前半では、異文化交流スペースGスクエアリーダーの阿久澤 駿さん[商学部4年]、学生団体DCT(ダイバーシティクリエイターチーム)リーダーの川面 裕哉さん[文学部2年]、学生団体DCT(ダイバーシティクリエイターチーム)広報担当の荒木 彩里さん[総合政策学部1年]、にほんごサポーターの山本 さくらさん[経済学部3年]、日本語ボランティア/にほんごサポーターの難波 舞さん、5名の学生がそれぞれの活動を始めたきっかけや葛藤等についてお話されました。中盤では登壇した5名が分かれ、他の参加学生とグループディスカッションを行ない異文化間交流について率直な意見を出し合い、活発な議論が展開されました。後半では教員から総括があり、その話の一つに「相手が大切だと思っているものを自分も重んじること」そのために他者を知り向き合い対話していくことで「異文化リテラシーを函養する」と伝えられていました。

 

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11/15 ダイバーシティ×グローバル海外研修報告会

2023年夏季休暇中に実践型海外研修プログラムに参加した商学部生2名が体験を報告しました。2名ともカンボジアを舞台に様々なミッションを通じて得た体験や学びを発表し、最後には参加者それぞれが『バリアってなんだろう』というテーマで感想を共有しました。

 

内なるバリアを破って国内外で活躍する人材になるにはどのような経験をしたらよいかというヒントを得られる発表で、語学留学とは異なる海外研修プログラムの今後の可能性を示唆する貴重な機会となりました。

 

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11/16 性的同意って何? 刑法改正に見る不同意性交等罪犯罪被害防止講習

この講演会では、はじめに、法学部教授の曲田統さんに今回の性犯罪に関する刑法改正の内容や改正の意義についてお話しいただきました。続いて、ハラスメント防止啓発支援室の専門相談員、柴田久枝さんから性的同意の本当の意味、性的同意によって守られること、互いの認識の確認や意思表示の大切さについて、具体的な例を交えながら講演いただきました。

 

法改正の要点を知り、そして性的同意についてお互いを尊重した関係性とはどういうことなのかを考える機会となりました。

11/18 自分たちで創る避難所と避難計画 遠くの福祉避難所より近くのバリアフリー避難所

第一部の講演会では「自分たちで創る避難所と避難計画 遠くの福祉避難所より近くのバリアフリー避難所」というタイトルでお話いただきました。登壇者の吉村千恵さんが熊本地震の際に取り組まれたバリアフリーな避難所の運営は、吉村さん自身がタイの大洪水で見た障害者の状況や日本国内での災害時支援で培われた経験によりできたものです。

多様な人々、そしてペットも一緒に避難ができる避難所の運営には、避難所となった大学やボランティア学生たちの協力、そして地域の人々や障害者団体、卒業生との関係性が日頃からあることで実現できました。講演のなかで「目指していたものは誰もがいることに遠慮しないでいい場所創り」だったと言われたことがとても印象に残りました。

また、第二部のワークショップでは多摩キャンパスで避難の際に移動に何が困難となるか参加者で意見を出し合いながら、より安全に避難できる方法を模索し「個別避難計画書」を作る重要性も知ることができました。その後、講演会の会場に展示していた大学に設置されている避難用具や機器を使い、避難を想定して階段を下りてみました。今後、いつ起こるか分からない災害に対して大学としてできる支援や個々人の避難方法について何がバリアーとなるかを考え、課題を共有できる場になったのではないかと思います。

11/23 女性研究者や若手研究者のおかれている状況 大規模アンケートと若手雇用問題アンケートのデータから

一般社団法人男女共同参画学協会連絡会が5年に1回実施している「科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」と、2022年に実施した「科学技術系専門職の雇用に関する実態調査」をもとに、現在、科学技術系女性研究者や若手研究者のおかれている状況について解説していただきました。性別や年齢によって不安定な地位につかざるを得ない現状が浮き彫りになりました。また、男女共同参画学協会連絡会における女子中高生の理工系進路選択支援に対する取り組みについてもご紹介いただきました。ロールモデルがあることや味方がいることは、進路選択や自己実現においても重要であることを再認識しました。

展示・フェア

10/16~10/27 中央図書館展示

中央図書館2階展示スペースでは、2022年に引き続き展示を行いました。今回は上記イベントの講師やテーマに関連した書籍を展示しました。書籍のリストは以下をご覧ください。

推薦Bookリスト(PDF)(1.9MB)

また、学外のイベントでダイバーシティセンターの取り組みを発表した際のポスター資料や、ダイバーシティセンターが制作した「バリアフリーマップ」も展示しました。

図書館を訪れた人が展示内容を見ている様子もみられました。

11/6~11/23 図書館理工学部分館展示

後楽園キャンパスの図書館理工学部分館5階で、中央図書館と同内容の展示を行いました。2022年は中央図書館(多摩キャンパス)のみの展示でしたので、多摩キャンパス以外を利用する方々にもダイバーシティウィークならびにダイバーシティセンターの取り組みを紹介する貴重な機会となりました。

11/6~11/24 生協ブックフェア

多摩キャンパスの生協では、ダイバーシティウィークのイベントに関連した書籍のブックフェアを開催しました。ブックフェアで取り扱った書籍は以下の通りです。

ショーン・フェイ著、高井ゆと里訳(2022)『トランスジェンダー問題』明石書店
周司あきら、高井ゆと里(2023)『トランスジェンダー入門』集英社新書
豊田直子、佐沢静枝 (2021)『動画で学ぶ やさしい手話』日本文芸社
豊田直子、佐沢静枝 (2023)『写真でもしっかりわかる 持ち歩き 動画で学ぶやさしい手話』日本文芸社
丸山正樹(2015)『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』文春文庫

 

Chuo Diversity Week 2023にご参加くださった皆様、また、参加はできなくても関心をもってくださった皆様、誠にありがとうございました。

ダイバーシティセンターおよびハラスメント防止啓発支援室では、今後も啓発のためのイベント等を開催していきます。

ぜひご期待ください!