AI・データサイエンスセンター所長からのメッセージ

中央大学AI・データサイエンスセンター所長 樋口知之(理工学部・教授)

中央大学AI・データサイエンスセンター所長 樋口知之(理工学部・教授)が、日本のAI・データサイエンスの現状や、本センターの活動目標、AI・データサイエンス分野を希望する高校生に向けて伝えたいことなど、10の質問に答えました。是非ご覧ください。

(1)大学における、AIやデータサイエンスに関わる教育や研究は、現在どのような流れにあるのでしょうか?

(2)様々な大学や機関でAIやデータサイエンスに関わるセンターの立ち上げや活動が始まっている(一巡した)中で、中央大学にAI・データサイエンスセンターを設立した意義とは?

(3)センターが特に重点をおく活動をお聞かせください

(4)文系中心の総合大学とのイメージが強い中央大学ですが、AIやデータサイエンスを活用した産業界との連携の可能性は?

(5)教育界の文理融合の大きなトレンドと本センターの活動はどのように関わっているのでしょうか?

(6)AIとデータサイエンスの違いとは?

(7)これから本学に進学されるみなさんが進路、特に職業選択を考える上で、センター長としてメッセージは?

(8)大学に進学するまでの間に、みなさんには何を学んだり、経験してきて欲しいですか?

(9)AIとデータサイエンスの教育・研究活動の推進に、今回の新型コロナウィルスの影響はどう関わってくるのでしょうか?

(10)さらにそれらの延長線上に、大学のあり方はどう予想されますか?

(1)大学における、AIやデータサイエンスに関わる教育や研究は、現在どのような流れにあるのでしょうか?

質問1:
大学における、AIやデータサイエンスに関わる教育や研究は、現在どのような流れにあるのでしょうか?

回答:
日本において、大きな動きを起こしたのは、今から5年ほど前でしょうか?ちょうど5年前になりますね。文部科学省の情報学に関する研究を推進している課と、大学の情報学に関する教育を担当している課、その両方の課長さんに入っていただいて懇談会というのを設けました。その懇談会には、両課長、また産業界の有識者、あとアカデミアからも有識者、交えて、ビッグデータを活用して、AI、データサイエンスを身につける人材をいかに早く育成していくか、その懇談会、レポートをまとめました。それがちょうど5年前になります。それをうけまして、日本の国立大学では、日本で初めてのデータサイエンス学部が滋賀大学にできました。その後に公立大学、また日本の国立大学、6大学をデータサイエンス推進の拠点校としまして、またその次の年には、20大学に広げ、国立大学のほうでは、AI、データサイエンスの教育の体制がずいぶんと整ってきています。 一方ですね、私立大学に目を向けますと、理系を中心とする私立大学、もちろん技術を学んでいただくということで、AI、データサイエンスの教育、充実していますけれども、してきていますが、日本の私立大学、文系に強みをもつ大学がずいぶんと多いです。この中央大学も文系を中心とした総合大学、非常に歴史のある総合大学ですが、ほかの私立大学さんと同様、AI、データサイエンスの、またリテラシーレベルから専門教育まで、それらのAI、データサイエンスに関わる教育体制はまだまだです。そのような流れを受けまして、この中央大学でもリテラシー教育を全学展開する、これは喫緊の課題ですので、そのニーズに速やかに応えるべく、このセンターの中では教育部会を設けまして、リテラシー教育の全学展開等々を進めていきたいというふうに思っています。

(2)様々な大学や機関でAIやデータサイエンスに関わるセンターの立ち上げや活動が始まっている(一巡した)中で、中央大学にAI・データサイエンスセンターを設立した意義とは?

質問2:
様々な大学や機関でAIやデータサイエンスに関わるセンターの立ち上げや活動が始まっている(一巡した)中で、中央大学にAI・データサイエンスセンターを設立した意義とは?

回答:
皆さん方も、AI技術の最近の著しい発展にびっくりされていると思います。みなさんもよくテレビ等でご覧になられた囲碁のプロ棋士にAIが勝つ、そういうシーンを何度も目にされたと思います。そのように、AI技術そのものは、日々著しい発展を遂げています。一方、その技術が進むとともに、社会にどのように適応していくか、これが今一番問題となっています。最近、ヨーロッパのほうで、米国を中心としたビッグIT企業がさまざまな情報サービスをビジネスとして成功させ、大きな富を得ている。一方、その富の原資となっているのは私達が日々SNSやE-コマース等々の、私達自身が作っているデータそのものなんです。そのデータをビジネスにつなげる、その上では国によった、国ごとにいろいろな規則の違い、制度の違い、法律の違い、また、文化の違い、様々な違いがあります。それらの違いも受けて、また男性、女性、様々なジェンダーに関わる問題、それらのAI技術を社会にうまく適応していく上では、いろいろな点に配慮していきながら、問題を解決していかねばなりません。今はそのようなフェーズに入っています。もちろん、一般の方々はAIの著しい技術発展に目がいくかもしれませんが、むしろこれから大切になってくるのは、AI技術をどう社会に適応していくか。そのときに問題となる制約となる、法律、規則、慣習、様々な人の考え方、それらを取り込んでいきながら、みんなが納得できるAI、データサイエンス技術にしていかねばなりません。
中央大学は、長い歴史を持つ文系を中心とした総合大学です。その強みを今こそAI技術を、AI技術の社会適応の課題解決につなげていく、これこそがこのセンターの、センターを立ち上げた一つの大きな目標、目的になっています。

(3)センターが特に重点をおく活動をお聞かせください

質問3:
その中で当センターが特に重点をおく活動をお聞かせください

回答:
みなさんは、日々様々なメディアを通してAI技術の著しい発展に、びっくりされていると思います。また皆さんの家庭には、もうスマートスピーカーのような音声を自動で認識し、質問も理解し、内容に答えてくれる、AI機器を利用されていると思います。また、お店にいきますと、様々な所で、実はAIがすでに活躍しています。このように、私達はAI技術の著しい発展についつい目がいきがちで、そちらのほうに話題が集中しがちですが、一方、米国を中心としたビッグIT企業がそのシステムを利用して、私達が発信しているさまざまな情報、SNSやE-コマース、それらの私たちが作っているデータ、それらを効果的、効率的に集め、ビジネスにつなげ、大きな富を得ている。それに対して様々な国々や、様々な人々から、大きな疑問が寄せられています。
また、ビッグデータ、データは、いくらビッグになろうと、有限であることに違いはありません。この有限であるということが様々な問題を引き起こします。集めたデータ、ジェンダーの観点から、或いは宗教の観点から、或いは人種の観点から、バランスはどうなっているのかそのバランスから発生する様々な問題、皆さんも容易に想像できると思います。
このように、今の時代は、AI技術、その技術そのものの発展、むしろそれよりも、AI技術、データサイエンスをいかに社会に適応していくか、社会に適応する際には、ジェンダー、宗教、民族、様々な人の価値観、それらを様々な観点で分析し、どう適応されているのか、社会に適応する方策、これが非常に今、大きな問題となっています。
みなさんは、RRIという言葉を耳にされたことがありますか。あまりないと思います。RRIとは、Responsible Research Innovationの略です。その言葉を聞いてもなかなかみなさん、なんのことだろと思われるかもしれません。先ほど言いましたように、これからの時代は、AIやデータサイエンスの技術をどう社会に適応していくか。その適応する中で、国による違い、文化の違い、ジェンダーの違い、宗教の違い、価値観の違いなど、様々な違いをむしろ取り込んで、そして、AI技術、データサイエンスの技術を社会に適応していかなければなりません。RRIとは、技術を社会、法律、社会における法律、規則、また慣習、多様な価値観、それらを取り込み、社会適応、上手な社会適応を実現していく、それがRRIの考え方、或いは目標になります。
このセンターでは、中央大学の強みを生かして、このAI技術そのものではなく、AI技術をどう社会にうまく適応していくか、このRRIの目標達成を大きな一つの目標にしています。

(4)文系中心の総合大学とのイメージが強い中央大学ですが、AIやデータサイエンスを活用した産業界との連携の可能性は?

質問4:
文系中心の総合大学とのイメージが強い中央大学ですが、AIやデータサイエンスを活用した産業界との連携の可能性は?

回答:
産業界の連携はですね、私もAIやデータサイエンスを専門としていますが、産業界の人と話すたびに一緒に共同研究をしましょうという、いろいろな要望、要請がきています。このように産業界との連携は非常に大切です。
二つお話したいと思います。一つは、先ほど申しましたように、今、産業界は、AI、データサイエンスの技術を非常に求めています。中央大学理工学部は後楽園、東京ドームの隣にあります。この立地の良さ、東京には様々な業種の企業が集まっています。AI、データサイエンス、その技術展開には、やはりその現場に行って、或いは現場の人としっかりとじっくりと話す、これが大切です。理工学部の立地の良さを生かして、さまざまな業種の多くの企業を取り込んで、研究、教育をすすめていきたい。
もう一つはですね、さまざまなところでデジタル革命が起きています。皆さん、俳句、短歌、あるいは絵画、或いは昔の様々な美術品。これらの分析も多様な機器をつかって、ビッグデータから、これまで未解決であった、或いはなかなかわからなかった、大変面白い新発見が次々と起こっています。
このように、これまでAIやデータサイエンスから縁遠いと思われていたような分野にも、どんどんどんどんデジタル革命はすすみつつあります。そうしますとこれまで文系の方々が中心に活躍されていたというような業態にもこのデジタル革命のあと、AI、データサイエンスのリテラシーを備えた人材が必要になるのは当然です。また、それらの企業からのいろいろな共同研究の申込、文系中心と思われているような企業、それらの企業との共同研究も非常に楽しみですね。この2つをこのセンターでは、後押しできるような、いろいろやっていきたいというふうに思っています。

(5)教育界の文理融合の大きなトレンドと本センターの活動はどのように関わっているのでしょうか?

質問5:
教育界の文理融合の大きなトレンドと本センターの活動はどのように関わっているのでしょうか?

回答:
文理融合、私はあまりこの言葉は好きでありません。それはですね、文理融合という言葉自体が日本独特のものなのですね。そもそも諸外国においては、高校生、日本の高校生は高校2年生に進学するときに、あなた文系理系どちらに興味がある? 先生から、君はこういうところが得意だから、こっちのほうがいいんではない?そんなふうにして、文系、理系に別れてしまいますよね。こんなことは日本独特のことなんですね。ですから私、あまり文理融合という言葉は好きではないんです。
確かに文理融合、ドメインに、専門にいき、そこの知識を深め、スキルを身につけ、社会に進出する、社会で活躍する、これまではそれでよかったかもしれません。これまでの日本の繁栄は、そのような教育体制でずいぶんと発展してきました。ところがみなさんも、この10年、ビッグデータの登場以降、ちょっと違ってきたんじゃないかというふうに思われませんか?データというのは透明ですよね。モノではないです。そうしますと、上手に使えば、ある分野とある分野をつなぐことができますね。このように今の時代は様々な分野をつなぎ、自分らの、或いは私達の将来をデザインする力、これが大きなものを言っているわけです。米国のビッグIT企業も歴史はそんなに長くないわけです。10年、10年程度しかないわけですね。当時、ビッグデータの登場、そこにAI、データサイエンス技術を融合させ、そして新しい生活スタイル、新しい未来を創っていこうという若者が、このビッグIT企業の今を担っている人達なんですね。
これからは分野を超え、分野をつなぐ、そして未来をどういう社会をつくっていきたいか、デザインする力、これが重要です。ですので、これからの人材育成の観点から、文理融合はもう当たり前なんですね。最初に言いましたように、私は文理融合という言葉はあまり好きではありません。分野をつなぐ、分野を超える、そういう言葉のほうがむしろ好きです。アメリカの教育はダブルメジャーという体制をとっています。みなさんダブルメジャーってわかりますか? アメリカの大学生は専門を選ぶとともに、もう一つ専門を選びます。ほとんどの学生が情報学、統計学を選択します。それはなぜかといいますと、専門を深めるとともに、分野をつなぐ、そのツールであるAI、データサイエンス、情報学をダブルメジャーのもう一つのメジャーにするわけです。中央大学に本センターを設立し、教育部会でリテラシー教育をすすめることによって、中央大学、真に文理融合、実現できる身に着けた人材を育成していきたいというふうに思っています。

(6)AIとデータサイエンスの違いとは?

質問6:
AIとデータサイエンスの違いとは?

回答:
ありがとうございます。AIとデータサイエンス、どこがどう違うのか?これは難しい質問です。私は、第2次AIブーム、1980年代の半ばに大学で、大学院で学びました。当時、ニューロ、ファジィといった技術用語を冠としたさまざまな電化製品を電機メーカーは出していました。例えば冷蔵庫、洗濯機、そういう家電製品にもニューロ、ニューロ冷蔵庫、ニューロ洗濯機、そんな製品が時代に非常に話題になってました。わたしはそれから一貫して、データに基づいて、意思決定する学問、その技術、研究を行ってきました。その当時はですね、AIといいますと、ニューロ、その言葉に近い技術的な用語、或いは、その研究分野という捉え方が多かったと思います。しかしながら、この数年間のAI技術の著しい発展と、普段の社会生活まで溶け込んだ状態、これを毎日毎日メディアが取り上げ、また、私達も普通に使うようになりましたよね。私はそれらを指して、広義のAIといいます。広義とは広い意味という意味ですね。今からお話するのは、狭義のAI、昔の技術分野の言葉、或いは、研究分野と思われていたAIとデータサイエンスの違いをちょっとお話したいと思います。AIの技術、これはもうみなさんあまり説明不要ですよね。NHKの番組等々でも、或いは民放の放送でも、普通に取り上げられています。データサイエンスとAI、技術の観点からは重なっているところは非常に大きいです。今のAI技術は、正確に言えば、統計的機械学習、この技術でほとんど出来上がっています。ですので学問的に見れば、その両方は非常に重なっています。では私、データサイエンス、AIと対比したときに、データサイエンス、どこが違うのか。私はデータサイエンス、ドメイン力のことだと思います。ドメイン力というのは分野において、そこの課題を発見し、それを定式化し、そして、AIやデータサイエンスの技術につなげていく。出てきた成果をユーザーに一般の方に、わかりやすく伝える力、また、今話たようなことをぐるぐると循環できる力、そこが狭義のAIとデータサイエンスの違いではないかと思います。データサイエンス、その技術を生業とするデータサイエンティストには、3つの力が必要と言われています。データサイエンス、これは機械学習、統計学、あと狭義の人工知能の技術になりますね、もう一つは、データエンジニアリング力、ビッグデータを取り扱いますから、大きなコンピュータのシステムにいろいろなソフトウェアとして実現したり、いろいろな大きいプログラムを走らせねばなりません。あともうひとつがビジネス力といわれています。このビジネス力こそが、私が先ほど説明しました現場において問題を発見し、課題として定式化し、最先端の適切な技術と結び付け、その結果をユーザー、一般の人たちにわかりやすく伝えることができる力、ビジネス力、データサイエンスにおいてはこのビジネス力は非常に大切だと私は思っています。

(7)これから本学に進学されるみなさんが進路、特に職業選択を考える上で、センター長としてメッセージは?

質問7:
これから本学に進学されるみなさんが進路、特に職業選択を考える上で、センター長としてメッセージは?

回答:
みなさんは、こんなことを勉強したい、将来こんな職業に就きたい、職業については、まだ具体的にイメージもってないかもしれませんね。でも、こんなことを勉強したいというのは確実にもって大学に入学されてきたかと思います。これからの時代は、専門を深める、自分が興味をもったこと、深く勉強したいと思ったこと、一生懸命勉強してください。でもですね、リテラシー教育で勉強するAI・データサイエンス、これはどんな分野にも使えるツールなんですね。考え方なんですね。みなさんは専門知識を、或いはいろいろなスキルを深めていくうえでその専門分野、どんどんどんどん興味をもっていく、強くなっていくとおもいますが、リテラシー教育で勉強したAI・データサイエンス常に思い出して、もう一つ興味を持てる分野ないかな、或いは将来考えると、こんな分野とこんな分野がつながるとおもしろいんじゃないかなとか、新しいビジネスが起こせるんじゃないかな、私は将来をみて常にそのことを意識してほしいなと思っています。
そうしますと、専門、勉強するだけで日々大変かもしれませんが、でも自分の潜在力、或いは応用力、今後社会がどうなっていくのか、だれもわかりません。私はわからなくていいと思うのです。なぜかというと、皆さんたちが将来をつくっていくんですね。データをもとにです。データをもとにこういう社会を創りたい、こういう生活で自分は過ごしたい。そんな希望、それをデザインし、データをもとにビジネスにする。あるいは、シェアリングやエコシステムといった今の若者たちがもつ、素晴らしい価値観、これをビジネスや生活スタイルに是非結び付けていってほしいなというふうに思っています。これが本センター、AI・データサイエンスセンター長としての私からみなさんへの大きな期待です。

(8)大学に進学するまでの間に、みなさんには何を学んだり、経験してきて欲しいですか?

質問8:
大学に進学するまでの間に、みなさんには何を学んだり、経験してきて欲しいですか?

回答:
一言でいえば、たくさん勉強してきてほしいですね。それに尽きますけれども、みなさん、文系理系、別れちゃっていますよね。文系理系、これは、別れて勉強するのは日本独特のスタイルなんですね。諸外国では、AIやデータサイエンスをビッグデータとつなげて、新しいビジネスを次々と生む、大きな富を得ている若者達がいっぱいいます。彼らが重要視している勉強の中身とは何なのか。それはですね、数学と論理力なんですね。数学、数学があまり得意じゃなかったから文系に進んだんだ、なんかそんな風に言う人もいっぱいいると思います。私が言う数学というのは、AIやデータサイエンスの基礎となっている数学、将来、数学を極め、数学の研究者として、どんどん新しい数学を創っていく、そんな数学を言っているわけではありません。AIやデータサイエンスの基礎となっているのは、数学です。
みなさん、ちょっと数学が苦手とか、あんまり好きじゃないなとか、そんなことを言わずに、是非数学をしっかりと勉強してほしいと思います。
もう一つは論理力ですね。論理力は、もちろん数学で養うこともできますが、いろいろな言語に基づいて、日本語、英語に基づいて、人々は考え方をお互いに公開しています。そこで重要なのは論理力ですね。コンパクトに起承転結、論理的におかしくなく話せる力。これが論理力ですね。論理力がないと、データサイエンスの重要な要素であるビジネス力、ビジネス現場において相手の希望、期待、要望を正確に読み取り、また最後には技術の成果として出てきたものをユーザーやお客さんにきちんと伝える。やはりそこで重要なのは論理力ですね。私はうわべ上の表面的なコミュニケーション力、それを言っているわけではないです。人は、その上手なしゃべり方、そこだけに目がいく、そんな風に思っている人がいるかもしれませんが、そんなことは決してありません。適切な用語をどう選択し、その用語をどのような順番で話すのか。それは論理力の一つの表れだと思います。みなさんには、大学に入る前には数学と論理力、これをきっちりと身につけて、入ってきてほしいですね。

(9)AIとデータサイエンスの教育・研究活動の推進に、今回の新型コロナウィルスの影響はどう関わってくるのでしょうか?

質問9:
AIとデータサイエンスの教育・研究活動の推進に、今回の新型コロナウィルスの影響はどう関わってくるのでしょうか?

回答:
みなさん毎日、今日の感染者数は何人だろうかとか、亡くなった方は何人だろうかとか、諸外国ではどんな動きになっているのか、日々メディア等をとおして、毎日心配に感じられていると思います。もちろん私もそうです。また、中央大学ではこの新型コロナウィルスへの対応として、早々にオンライン授業を始めています。私も自宅からオンライン授業をやっています。みなさん先生方が自宅からオンライン授業をどんな風にやっていると思われていますか?ちょっとみなさん想像つかないと思います。私、わかりやすく言えば、料理番組、テレビでよく見ますよね。レシピがあって材料を用意して、作り方順番を間違えないよう手際よくやって、解説する。あれを全部ひとりでやっているようなものです。この結果、いままでは学生のみなさんと、face to faceでいろいろお話ししたり、質問を受けていたことがすべてデジタル化しています。今回の新型コロナパンデミックへの対応として一番重要なものは、これまであまり意識的にデジタル化されていなかったコンテンツが強制的に一気にデジタル化されたということです。これはもう私達後戻りできません。一気にデジタル化されたことによって、やっぱり少しは元に戻るかもしれませんが、私達はこれから、withコロナ、コロナとともに生活を、或いはビジネスを進めていかざるをえません。この強制的にデジタル化されたその後には、ビッグデータが蓄積されているわけです。そのビッグデータを利活用できるツール、それは、AI、データサイエンスそのものですね。
この新型コロナウィルス、これへの対応で、この数年間、産業界、生活の場面に大きな革命が起きてきましたが、この対応で、この革命はより一層すすむと、私はそう思っています。

(10)さらにそれらの延長線上に、大学のあり方はどう予想されますか?

質問10:
さらにそれらの延長線上に、大学のあり方はどう予想されますか?

回答:
様々な形で、この新型コロナウィルスへの対応、その結果はwithコロナとして今後も続いていくと思います。そのことは、確実に大学にも起こります。私は、毎日オンライン授業をやっています。これまでは、ちょっと面倒くさいなとか、いろいろコンテンツを丁寧にそろえるの大変だなということで、あまり乗り気でなかった部分も正直ありました。でもオンライン授業をやってみると、自分の一生懸命やったコンテンツがビッグデータとして蓄積されるわけですよね。いろいろな先生方が、今、そんな風に思っているのではないかと思います。学生のみなさんも随分とオンライン授業の受け方に慣れ、また、オンライン授業、逆に言えば、お互いにビデオオフになれば、音声だけでちょっと質問しづらいことも質問できるんですよね。学生さん、図が必要だったら画面を共有すればよいわけです。そのように、学生さんのほうも、ずいぶんと、この新しい、最近はニューノーマルと言っていますね、それにずいぶんと慣れてきた感じがします。先生のほうも、いいコンテンツが指数関数的に膨れ上がっていますね。そうしますと今後の大学の授業というのは、オンライン授業を見る、またオンライン授業、様々な大学でコンテンツが蓄積されています。大学間の垣根もひょっとしてずいぶん低くなり、ある大学のこの先生のこの授業をとって、こういう課題を出したならばOKとしましょうというような、大学間の相互乗り入れもどんどん進んでいくのではないでしょうか。また、リアルの場面の講義形態も座学ではなくて、むしろ反転学習、演習を中心としたようなものがもっと増えていくのではないでしょうかね。また、グループ学習も増えるのではないでしょうかね。私は今後は、この、今、或いは今後ますます膨れ上がっていくオンラインコンテンツ、これらを大学がどう上手につかっていくか。大学間の垣根を越えてどうアライアンスを組んでいくのか。また、リアルの場を大学としてどのように良さを出していくか。そういうところを模索していく数年間が続くと思います。大学に改革まったなしです。