学生サポート

緊急時対応

(1)緊急事態の対応

学生に関わる“緊急事態”も様々です。数年に一度は“想定外”のことも起きてしまいます。どのような場合でも、(1)学生、教職員の生命・身体の安全を最優先にしたうえで、(2)本学の信用に対する影響の最小化に努め、(3)被害や損失から速やかに復旧するようにする必要があります。
緊急事態の発生時には、誰がその学生に対応するかを決めなくてはなりません。たいていは、最初に接点をもった教職員がその後も対応することになります。その方にはとても荷が重いことだと思いますが、今まさに発生しているその事態の流れからは致し方のないことです。
一方、大学では組織的な対応も定めています。中央大学危機管理規程と学生部が定めた緊急時の対応フローとを、まとめて図示(253KB)してみました。
たいていの場合は、最初に相談を受けた教職員と当該学生の所属する学部事務室、それに学生相談室や保健センターなどが連携して対応することになります。しかし、警察・救急が関わる特に緊急性の高い事案や、全学、キャンパス全体に影響が及びかねない重大な事案では、危機管理総括責任者である学長の下に危機対策本部することを含む、よりハイレベルの組織的体制を構築し、全体で対応することになります。
チームの一員は家族との連絡を取るために動く、別の一員は警察へ事情を説明し協力を仰ぐ、別の一員は執行部の意思決定がスムーズに周知されるよう努めるなど。学生相談室の精神科医やカウンセラーもチームに加わって、必要な専門的助言を行うことになるでしょう。
このように、必ず組織的に対応することが大事です。最初に接点をもった教職員は引き続き学生本人と対応せざるを得ないとはいえ、重大な事態においてその個人にすべて丸投げしてしまうことは、最悪の対応になります。
緊急事態が起きた時は、遠慮なく、各学部事務室や、理工学部学生生活課(03-3817-1666)、学生相談室(多摩042-674-3481・後楽園03-3817-1724)、学生課(042-674-3472)にご連絡ください。

(2)入院が必要なケース

学生の中には、険しい表情をして立ち尽くしていて問いかけても無反応、疎通がとれない、意味がわからないことを言うなど、奇妙な言動をする場合があります。最も多いのは統合失調症を発症している場合です。おそらく、ひどく警戒的であることに気づくはずです。その場合は、疎通がとれなくても、穏やかに声かけをして、ひたすら安心させるようにすることが対応の基本です。
疎通がとれないほどの状態であればおそらく入院治療が必要な状態です。家族(保護者)が同伴していないと入院ができないため、至急家族を呼び寄せなくてはなりません。ただし、興奮が激しくて、物を壊す、暴力をふるう、飛び降りようとするなど、いわゆる「自傷他害の行為」が見られる場合は、警察官に保護を依頼することができます。
「(いくつかの行為から)明白に自傷他害のおそれがある」と警察官が判断した場合は、警察官は、本人を保護した上で、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、「精神保健福祉法」)第24条に基づいて、「警察官通報」することができます。東京都は通報を受けると、精神保健指定医の診察を行い、必要があれば強制入院(措置入院)をさせます。
精神科病院への入院は必ず法律に則って行われます。どのような事情、理由があっても法律に則らない入院は行われません。そのため入院が必要かもしれない場合は、急いで家族(保護者)に確認する必要があります。

① 任意入院
任意入院は、精神保健福祉法第20条に規定されている入院形態です。人権擁護の観点から、精神障害者本人の同意に基づいて行われる入院で、最優先に選択されるべき入院方法になります。

② 医療保護入院
医療保護入院は、精神保健福祉法第33条に規定されています。精神保健指定医による診察の結果、“精神障害者であり、かつ医療および保護のため入院の必要がある者であって、当該精神障害のために任意入院が行われる状態にない”と判定された者について、保護者等の同意がある時は、本人の同意がなくても、本人を入院させることができます。 保護者等を説得しさえすれば、本人が不同意でも入院させることができる、と解釈できそうですが、本人の明確な意思表明に反してこの規定に拠ることは、人権侵害の可能性があるだけでなく、家族間の信頼関係を揺るがす事態にもなりかねません。慎重に対応していくことが必要になります。

③ 措置入院
 精神保健福祉法第29条に規定されている入院形態です。都道府県知事は、一般人からの申請や、警察官、検察官などによる通報を受けて調査の上、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければ、自傷他害のおそれがある場合に、法に定められた手続きに従い診察を実施します。精神科医2名以上の診察の結果、医療および保護のために入院させなければ自傷他害のおそれがあることが認められた場合、措置入院となります。また、措置入院に係る手続きができない場合、都道府県知事による行政処分として強制入院させることを緊急措置入院といいます。