学長挨拶

實地應用ノ素ヲ養フ
新時代を拓く白門の伝統と実績

 中央大学は、「實地應用ノ素ヲ養フ」との建学の精神のもとに、135年の歴史と白門を象徴とする伝統と実績を築き、社会を支え、未来を拓く人材を数多く送り出してきました。この建学の精神は、本学が、2019年開設の2つの新学部を含めた8学部、大学院7研究科、専門職大学院2研究科、4附属高等学校、2附属中学校と9研究所を擁する総合大学・総合学園となった今日、多様な学問研究と幅広い実践的な教育を通して「行動する知性」を育むというユニバーシティメッセージとして受け継がれています。
 中央大学の誇るべき伝統の一つは実学教育ですが、それは決して表層的な技術教育ではありません。本学が誇る実学教育とは、理論を究め、実務を拓き、理論と実務とを融合して知識や技能をもとに知性を磨き、その知性を社会のために発揮する力を養うことを意味しています。本学では、世界水準の研究にもとづく教育活動において、実学の伝統を継承するとともに、特色ある教育システムを数多く開発して活用し、グローバル・コンピテンシーを育成し、グローバル・プロフェッショナルを養成しています。そのために、学際的かつ問題発見・解決型の学部横断教育を実施するファカルティリンケージ・プログラム(FLP)、グローバル人材育成のための各種プログラム、全国の大学に先駆けて国内でも海外でも実施している多様なインターンシップ、教育力向上推進事業として実施するチャレンジングな教育活動等を展開しています。これらは、手厚くハートフルな修学支援・学生生活支援、力強い資格取得支援、ボランティア活動等の社会貢献活動支援、綿密なキャリア・就職支援、スポーツ・文化芸術活動支援とともに、本学の学生達を豊富で多様な進路へと導いています。
 現在、新型コロナウイルスの感染が地球規模で拡大し、多くの人々が生存の危機と生活の困難に直面しています。こうした時であるからこそ、私たち中央大学は、人類の持続的発展に寄与してきた大学の存在価値を強く認識し、パラダイムシフトが不可避な時代における大学の果たすべき社会的責務と新たな役割を追求します。
 中央大学では、ICTを活用した教育研究支援システムと情報インフラを強化し、オンデマンド・コンテンツ等の知的資産を活用して、試行錯誤を重ねつつも、本学の学生に学びの機会を確保するため、いち早くオンライン授業を開始しました。また、すべての学生を対象に学修支援金を給付するために総額13億円を超える財源を確保し、さらに、修学と生活に経済的困難が生じる一定の学生を対象とする手厚い奨学金制度を運用しています。
 私たちは、今こそ、白門を象徴とする伝統と実績を誇る中央大学の総力をもって、困難に立ち向かう人々と連携し、新時代を切り拓くときであると確信し、Society5.0を支える人材を育成するために、新しい挑戦をはじめています。
 教育研究のウィングを健康スポーツ、AI・データサイエンスなどの新領域にも広げつつ、2020年4月の「グローバル館」「国際教育寮」開設に続き、新たな教育研究の制度と施設の整備を進めます。その一環として、早期法曹資格取得を可能とする新法曹養成制度に対応するとともに、新時代を見据えて、法学部・大学院法学研究科・法科大学院・専門職大学院のあり方を検討しつつ、都心キャンパスの整備を進めます。
 伝統と実績があってこそ拓かれる未来があります。本学は、IT化とグローバル化が急速な少子高齢化ともに進行するわが国の社会において、ユニバーサル化と多様な価値観への対応を進めながら、研究・教育の本来的な役割をしっかりと果たし、未来の社会を築き支える有為の人材を養成します。そして、さまざまな社会連携を深め、SDGsを共有して持続可能な社会の構築に貢献し、「時代とともに社会とともに、愛され存在感のある中央大学」の新たな伝統を築き、新時代に相応しい大学(University3.0)のあり方を追求して参ります。

2020年6月

学長 福原紀彦

1954年滋賀県生まれ。1977年中央大学法学部卒、1984年同大学院法学研究科博士後期課程満期退学、1995年中央大学法学部教授、2004年同大学院法務研究科教授(現)、2007年同大学院法務研究科長、2008年学校法人中央大学理事、2011年中央大学総長(2013年6月まで)・学長(2014年11月まで)。2018年5月より現職。その他、弁護士(現)、文部科学省大学設置・学校法人審議会委員(現)、大学基準協会理事、日本私立大学連盟常務理事(現)、公認会計士試験試験委員、防衛省防衛施設中央審議会会長、矢野恒太記念会評議員(現)、法科大学院協会理事、東都大学野球連盟理事長(現)、大学コンソーシアム八王子理事(現)、学術・文化・産業ネットワーク多摩理事(現)、私立大学退職金財団理事(現)、大学スポーツ協会〔UNIVAS〕理事(現)等。専攻は、民事法学(商法・IT法)。