ダイバーシティセンター

活動報告書(2021年度)

テキスト版は以下のとおりです。

ダイバーシティセンター主催イベント

2021年度、ダイバーシティセンターでは、昨年度に増して多くのイベントを開催しました。学生対象のカジュアルなイベントから学外の方も対象にした講演会まで、バラエティに富んだ企画を実施し、多くの方にご参加いただきました。

ダイバーシティスクエアオープニングイベント「Dスクエアってどんなところ?オープニング見学会」 5/14・5/17(対面)

学生のための居場所スペースである「ダイバーシティスクエア」のオープンを記念したイベントを実施しました。2日間、全6回で計15名の方にご参加いただきました。本イベントでは、「中央大学ダイバーシティ宣言」公表(2017年10月)以降のダイバーシティの取り組みを概観したのち、学生の個別的で具体的な相談内容に対する支援の現状についても参加者の皆さんと共有しました。

Diversity Day「自分も大切にするためのダイバーシティ」 6/30(オンライン)

ダイバーシティを考える1日、「Diversity Day 2021」を開催しました。本イベントには、ダイバーシティセンターのほか、学生相談室、各学部のキャンパスソーシャルワーカー(CSW)、国際センター、ハラスメント防止啓発支援室が登壇しました。学内でダイバーシティ推進に取り組む諸機関が、それぞれの取り組みを紹介することにより、学生がそれぞれの機関を利用しやすくすることがねらいです。参加者は20名でした。学内の複数の機関が合同で情報発信する機会はなかなかないことから、学生・教職員双方にとって貴重な情報共有の場となりました。

Dトーーク! 10/6・11/8・12/10(オンライン)

学生向けのカジュアルなトークイベントをコーディネーターを中心に企画しました。自分の思いや経験を共有したり、関心が近い人同士で交流したりすることで、身近な話題からダイバーシティや社会課題を考えるきっかけづくりを目指しました。全3回の開催で参加者はのべ17名でした。参加した学生からは、「自由に話せてよかった」、「他の人の意見が聞けてよかった」などの感想が届いています。また、「開催回数を増やしてほしい」、「対面での開催も検討してほしい」などの意見もありましたので、来年度の参考にしたいと考えています。
第1回 「アニメ・マンガから考えるダイバーシティ」
第2回 「○○らしさを考えるとき」
第3回 「就活とダイバーシティ」

連続セミナー「人生の先輩たちの社会課題との関わり方~仕事としてライフワークとして~」 10/20・12/13(オンライン)

社会課題に関わっている人たちを講師に招いて、連続セミナーを開催しました。仕事として取り組んでいる人や、仕事とは別にライフワークとして取り組んでいる人など、講師の人生やキャリアと社会課題に関する活動を紐づけながら伺いました。参加者は各回あわせて約30名でした。第1回講師の松岡宗嗣氏(一般社団法人fair代表理事)からは、学生時代の取り組みから現在の性的マイノリティに関する政策や法制度の情報発信まで詳しく伺うなど、これからの時代の働き方を考える機会となりました。 来年度も同様の企画を続ける予定です。

ダイバーシティウィーク「CHUO Diversity×ハラスメント防止啓発Week 2021~戸惑いの時代のダイバーシティ~」 11/4~11/13(オンライン・対面)

2018年から開催している、ダイバーシティ推進とハラスメント防止啓発について考え、理解を深めながら、現代が抱える様々な課題に触れるウィークです。今年のテーマ「戸惑いの時代のダイバーシティ」は、昨年来のコロナ禍でこれまで私たちが疑わなかった「確かさ」が揺らいでいるさまを「戸惑いの時代」と表現しました。すでに揺るぎないものと信じていた価値観や社会の有り様を今一度考えなおすチャンスだとして、一緒に考え、学ぶウィークを目指しました。今年度は10日間で8企画を実施し、参加者はのべ約340人でした。
1. 座談会「留学生の語りから見えるもの」
2. 講演会「トランスジェンダーの経験に触れてみよう」
3. 白門一新会共催 Job Rainbow講演会「社会人の新常識!ダイバーシティな職場とは何か~LGBTフレンドリー企業の事例を中心に~」
4. 座談会「心のモヤモヤ、考えてみませんか?」
5. 犯罪被害防止講習「ロジカル護身術~痴漢、性犯罪、ストーカーなどから身を守る~」
6. 合同ゼミ発表会「Diving into Diversity~ダイバーシティにダイビング~」
7. 講演会「パラリンピックは共生社会をもたらすことができるのか?~パラアスリートの多様性と限界~」
8. 講演会・ワークショップ「第2回知ろう!語ろう!Diversity!~インターセクショナリティってなんだろう?~」

ダイバーシティウィーク関連企画「重度障害者の自立と社会参加、そして政治へ」 12/23(オンライン)

参議院議員の木村英子氏をお呼びして、広く学外の方も対象に講演会を実施しました。障害をもつ当事者が政治の場に参加するようになってからも様々な困難を余儀なくされている中、障害と政治において何が問われるべきかを考えました。約50名の方にご参加いただきました。

活動報告

グローバル領域

学生有志による「Diversity Creator Team(DCT)」が発足

学部も学年も様々な学生が集まった有志団体DCTが発足しました。中央大学のダイバーシティを推進することを目標とし、イベント等の企画・運営・実施や情報発信などを通じて、中央大学に通う学生の豊かな学生生活のためのサポートをしていきます。

イベント「知ろう!語ろう!DIVERSITY!」を開催

DCTの企画・運営により、ダイバーシティに関心をもってもらうためのイベント「知ろう!語ろう!DIVERSITY!」を2回、開催しました。第1回(2021年7月3日)はケイン樹里安氏(大阪市立大学都市文化研究センター研究員。専門は社会学、文化研究)をお招きし、ダイバーシティにおける「よい」言葉の効果と課題について学びました。第2回(2021年11月13日)は清水晶子氏(東京大学大学院教授。専門はフェミニズム、クィア理論)をお招きし、本センターのGSコーディネーターの小川も登壇して、インターセクショナリティや複合的マイノリティについて考えました。合わせて約70名が参加し、参加者同士の意見交換も通じて共に学びを深める貴重な機会となりました。

ジェンダー・セクシュアリティ(GS)領域

相談・支援事例(計8名)
  • アウティング(自分の意思に反してセクシュアリティを他の人に暴露されてしまうこと)
  • SNS にまつわるトラブル
  • 性別に対する違和感
  • 将来への不安

などの相談に対応しました。

学生用ハンドブック・教職員用ガイドブックを作成

学生および教職員にジェンダー・セクシュアリティへの理解を深めてもらうため、啓発冊子を作成中です。2022年4月より配布を開始します。

生理用品の設置準備中

「生理の貧困」が社会問題化する中、生理のある人への支援の一環として、無料で利用できる生理用品の設置を進めます。現在は試験的に多摩キャンパスFOREST GATEWAY CHUO内の一部のトイレに設置する準備をしています。

障害領域

相談・支援事例(計12名)
  • ノートテイクの依頼(聴覚障害)
  • 体育の授業への参加に関して(身体障害)
  • 試験の別室受験(難病)
  • 就職活動での自己開示について(難病、身体障害)

などの相談に対応しました。

SA講習会・SA交流会を実施

ノートテイクなどで障害のある学生をサポートするSA(スチューデント・アシスタント)を養成するための講習会を前後期1回ずつ開催しました。約150名の学生が参加してくれました。また、SAが互いに交流する時間を設け、情報交換を行いました。

重度重複障害をもつ研究者を支援

本学では、重度重複障害をもつ研究者である、日本学術振興会特別研究員の天畠大輔さんの研究活動を支援しています。10月には天畠さんの単著『〈弱さ〉を〈強み〉に:突然複数の障がいをもった僕ができること』が刊行された他、NHK「ハートネットTV」の放送でも活動が取り上げられました。

その他の取り組み

研修、学外のつながり
  • 新入生オリエンテーション
  • 新任教員研修
  • 新入職員研修
  • 教職課程の研修
  • 他大学(5校)との情報交換と交流
  • 授業・ゼミでのゲスト講演
  • FD・SD活動

を行いました。

附属の中学・高校との連携
  • 附属校(3校)での教職員対象の研修
  • 附属校4校の校長、スタッフとダイバーシティセンター所長、スタッフの懇談会を実施しました。とくに、ジェンダー・セクシュアリティ領域に関する課題を共有し、「生徒が自然体で自分らしくいられる」学校づくりにむけた懇談を行いました。

ダイバーシティスクエアのご紹介

2021年5月、ダイバーシティセンター事務室の隣に、ダイバーシティスクエア(通称Dスクエア)を開設しました。Dスクエアの主な機能は①安心・安全な居場所の提供、②相談対応、③情報収集・発信、啓発・研修の3つです。授業実施日にあたる月曜日~金曜日の10:30~14:30に開室しており、年間で78名の学生・教職員が来室しました。

コーディネーターのご紹介

ダイバーシティセンターには専門の知識や経験を有するコーディネーターが在籍しています。

小川奈津己(ジェンダー・セクシュアリティ領域)

中附・中大出身です。当事者として、専門職として、何でも気軽に相談してください。

髙口僚太朗(障害領域)

「こんなこと無理だよなぁ」と思わず、一回、お話しだけでもしに来てください。

三宅大二郎(ジェンダー・セクシュアリティ領域)

おしゃべり好きです。たくさんの人と知り合い、一緒に考え、行動していきたいと思っています。 ぜひふらっと遊びに来てください。

ご理解とご支援の御礼

2019年度から正式に始まった中央大学のダイバーシティ推進の取り組みも3年目となりました。スタートアップ期間に位置付けた3か年のうち2年間がコロナ禍と重なることになり、試行錯誤の日々が続いておりますが、Dスクエアの開室をはじめ少しずつ取り組みを広げることができました。私たちの緩やかな歩みを見守り、ご理解・ご支援くださっている皆様に心から感謝申し上げます。私たちのダイバーシティ推進の活動は、大学予算と、皆様よりいただいたご寄付、民間財団からの助成金等によって支えられています。この3か年にご寄付いただいた皆様をはじめ、ご関係の皆様には厚く御礼申し上げます。ダイバーシティセンターでは、引き続き、個別の学生サポートや、ダイバーシティに関する理解促進のための取り組みを実施してまいります。個人の尊厳が守られ、誰もが安心して、のびのびと学ぶことができるキャンパスの構築を目指して活動を進めてまいりますので、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。