TOP

玉川上水から外濠への通水 中央大学らの提言が現実的に②      ― 議員団の外濠及び日本橋川への影響に関する研究視察を実施 ―

2022年05月30日

 2022年5月29日(日)、玉川上水から外濠への通水に向けた外濠及び日本橋川への影響に関する研究視察を実施しました。

 この視察は、2021年4月20日に実施された外濠視察に続くもので、中央大学市ヶ谷田町キャンパスをスタートし、市ヶ谷橋から外濠の現状を確認、その後、日本橋川→隅田川→神田川を船上から研究視察し、玉川上水からの通水による外濠から日本橋川を通って隅田川に至るまでの影響について検討を行いました。今回は特に、下流にあたる日本橋川への影響を確認することを目的として実施されました。

 この視察には、太田昭宏元国土交通大臣、石井啓一元国土交通大臣を始め、国会議員、都議会議員の議員団、松田芳夫元国土交通省河川局長、東京都都市整備局の担当者、そして、日本橋川の再生に取り組む「名橋「日本橋」保存会」「日本橋再生推進協議会水辺再生研究会」他の団体代表者らが参加しました。本学からは、山田 正 研究開発機構教授ら、都市河川の水問題に取り組む研究者が参加し、東京の水循環を改善する重要性を訴えました。
 外濠では山田 正 研究開発機構教授により、アオコが引き起こす水質問題とそれを抜本的に解決するための玉川上水からの通水の重要性が語られ、その後、船上において視察団からの質問に松田元局長、山田教授ほかの専門家が説明する形で視察が進められました。
 今回の研究視察は、2019年9月17日、中央大学、法政大学、東京理科大学の3大学で、小池百合子 東京都知事に対し、外濠・日本橋川の水質浄化と玉川上水・分水網の保全再生に関する提言を提出したことが契機となっています。その後、東京都は令和3(2021)年3月に“「未来の東京」戦略”を発表し、その戦略における【ビジョン16 水と緑― 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京】に、「玉川上水や河川等の清流が復活し、浄化や自然環境の改善が進んだ外濠では蛍が舞い、江戸の昔ながらに再生された美しい水と緑が東京を代表するシーンとなっている。」など、2040年の東京の姿が描かれました。これを受けて、東京都では順次基礎調査が進められており、今年度中には玉川上水から外濠への導水路の基本設計が実施される予定です。
 山田教授は「玉川上水からの通水実現に当たっては、上流から下流までの多種多様な課題を解決しつつ、沿線に住む人たちの想いを実現できるプロジェクトにしなければならない。上流と下流では川(水路)としての特性も違えば、住んでいる人たちも異なり、水辺がもつ役割も異なる。それを理解した上で国及び東京都にはプロジェクト実現に取り組んでほしい」と語りました。日本橋川及び神田川では船上にいても悪臭が酷く、また、建物は河川に背を向けた形で建てられており、「日本の中心である東京の水辺がこのような川で良いのか、今一度考えてほしい」と訴えられました。さらに、松田元河川局長からは日本橋川のもともとの流れについて説明されるとともに、現在は、首都高の橋脚を支える河川になってしまっていることが説明され、「日本橋再生推進協議会水辺再生研究会」からは首都高の地下化に伴う再開発計画について説明されました。
 なお、今回の外濠・日本橋川の浄化プロジェクトは、中央大学が積極的に働きかけている事業であり、山田正研究開発機構教授をはじめ、谷下雅義理工学部教授、手計太一理工学部教授、細見寛研究開発機構教授(客員)、辻野五郎丸研究開発機構教授(客員)や学生らが、水質改善、景観保全、防災対策のための研究を行うと共に、近隣の高校や地元自治会、市民団体等と連携し、多彩な研究・教育・社会活動を展開しています。
 今後も、産官学連携ならびに、法政大学、東京理科大学と連携しながら、未来の東京の都市空間づくり、外濠の再生活動に貢献してまいります。