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『第二回 ノジマアントレプレナーシップ塾』(中央大学野島廣司学術奨励基金事業 presents)学生実施プロジェクトメンバーによる実施レポート

 2024年1月26日(金)、29日(月)、30日(火)、『第二回ノジマアントレプレナーシップ塾』が後楽園キャンパスにおいて開催されました。
 この企画は、本学の卒業生である(株)ノジマ 取締役社長の野島廣司氏の寄付による「野島廣司学術奨励基金事業」によるプログラムで、2023年9月開催の『第一回ノジマアントレプレナーシップ塾』に続いて2回目の開催です。野島廣司学術奨励基金規定に基づき、野島氏の篤志(とくし)を具現化するとともに、学生の起業家精神を涵養(かんよう)し、実業界において活躍する人材の育成に資する事業を実施することを目的としています。 また、本学の全学連携推進会議において、外部資金獲得を視野に入れた全学的なグローバル人材育成の取り組みとして「グローバル×アントレプレナーシップ教育」を推進することが決まっています。野島廣司学術奨励基金と全学的な取り組みが連携を図ることによる相乗効果を生み出すことも期待されます。

 このプログラムは、「アントレプレナーシップ=起業」という狭義で捉えるのではなく、むしろ「不確実性の伴う状況で新たな創造に挑戦するマインドの醸成」と定義しています。そして、失敗を恐れず、さまざまなことにチャレンジするおもしろさ、行動することによって拡がる未来を創るワクワク感を、参加者一人ひとりが持ち帰ってもえるようなプログラムです。3日間のグループワークを中心としたワークショップを体験し、ダイバーシティのあるチーム作りから、シリコンバレー式ピッチ発表までを体験します。

 初日となる2024年1月26日(金)、中央大学後楽園キャンパス3号館14階 中央大学産学官連携・社会共創フロアに、7学部から22人の学生と、実施プロジェクトメンバー(第一回参加学生)5人が集まり、3日間に渡るイベントが始まりました。
 以下で、『第一回ノジマアントレプレナーシップ塾』に参加し、今回は実施プロジェクトメンバーとして3日間の運営をサポートした武内麻紀さん(文学部4年)によるイベントの様子と感想をご紹介します。

3日間に行われたプログラムの様子

【Day1】

 アントレプレナーシップ塾の初日は、異なる学部の学生・留学生など、初対面のメンバーでチームを作りチームビルディングを、(株)イノベスト  曽我部さんのご指導の下で行いました。最初はやや皆に緊張が見られ、グループ内での発言も少ない様子でしたが、午前中のウィンドウズ自己紹介、リーダーシップ・PM理論の講義を通じて、チームメンバー同士が打ち解けていきました。午後は、ペーパータワーを通じてグループワーク、目的意識の有無の差異を経験から認識すること、個人目標の設定、チーム内でのCEO、COO、CTOなどといった役職決め、チーム目標を設定しました。このころになると、少しずつグループ内の活気が出てきて話し合いが活発化してきました。チームを考えるにあたり、PM理論というものがあり、P(パフォーマンス、成果)とM(メンテナンス、協力関係)のどちらを重視するかを学んだこともあり、メンテナンス・忖度なく言い合える関係の構築を目指す班が多めでした。最終日のピッチ発表で必要となるコラージュ作成のグループワークでは、ひとつの国をグループで選びその国の農業課題を1枚のスライドにまとめるうちに、チームとしてのまとまりが作られていく様子が見られました。

【Day2】

 2日目は、午前に本間さんによる講演、午後は(株)グローバルステージの森さんによる講義・ディスカッションが行われました。本間さんの「Connecting the dots」という内容の講演は、海外に目を向ける重要性について考える機会になりました。午後は、森さんのスタートアップとアグテック( ICTやロボット技術を用いて農産物を生産する新しい農業)に関する講義と世界の有名スタートアップについてのクイズとワークから学び、3日目のピッチの準備と1日目に設定した目標へのフィードバックを行いました。各班のリーダーと特徴が出始めてくるように感じました。

【Day3】

▲審査員の先生方による講評

 最終日は、午前中にZak Muraseさんの講演が行われ、午後はピッチ発表の準備後に発表を実施し、最後に、3日間のフィードバックを行いました。オンラインで行われたZakさんの講演では、「投資家目線の良いピッチについて考える」をテーマに、キャッチコピーの重要性や熱量、ピッチをするときの話し手のポイントについて学びました。
 午後はピッチ発表準備が大詰めを迎え、グループ内での会話が活発化していました。そして、各班3分のピッチ発表が行われ、各班で練り上げた農業系スタートアップの事業内容等について発表しました。緊張しているグループも見られましたが、それぞれが3日間の成果を見事に発表することができたようです。発表の振り返りでは、自分たちの軌跡を思い起こして共有を楽しんでいました。参加者のみんなの清々しい顔が印象的でした。
 ピッチ審査は、Zak Muraseさんのほか、理工学部特任教授の藤井真也先生、そして本学卒業生で現役起業家の(株)Eight Good  井下田さん、ヤッターホールディングス(株)新島さんがご担当いただきました。審査結果は、分析やボディランゲージなどが評価された順位となりました。さらに講評では学びの得られる言葉をたくさんいただき、目標・チーム内のリーダーシップについてのフィードバックを行って、密度の濃かった3日間に渡るアントレプレナーシップ塾が終了しました。

実施プロジェクトメンバーとして3日間の運営に関わって感じたこと

文学部人文社会科西洋史学専攻4年 武内  麻紀 

 2023年9月に行われた『第一回 ノジマ アントレプレナーシップ塾』への参加がとても印象的で、私にとっては4年生の夏休みを代表するイベントになりました。文学部という自分の学部だけの学びから、起業やリーダーシップのための実践的な取り組みを学ぶことは目新しく、学べることが多くありました。そして今回は、大学生活の最後に、誰かのそのような経験に携わることをお手伝いできたらと考えて実施プロジェクトメンバーに参加しました。
 実施プロジェクトメンバーは、私を含めて第一回目の塾に参加経験のある5人。役割としては、司会、タイムキーパー、資料・弁当等の配布、拍手、参加者の様子の管理、アドバイザー等を行いました。

 3日間、一歩引いたところからこのプログラムを見てみると、大学の授業やゼミでのグループワークよりも、参加者が熱量を持って取り組んでいることに気が付きました。また、今回は前回と比べると、課題に取り組む時間が長いことと、成果よりも協力関係を重視した構成で行われました。その成果かどうかは分かりませんが、私が参加した一回目よりも、各グループのスライドにはそれぞれの主張が出ていて、完成度が高いと感じました。自分たちの主張を数少ない画像に集約させて、見た人が一目で分かりやすいものに仕上がっていました。各グループそれぞれが班の役割に真剣に務めたり少し背伸びをして挑戦する様から、中大生のやる気を感じて誇らしくなりました。

▲藤井先生による講評の様子

 今回は直接の参加ではないため、輪から外れるような疎外感をなんとなく感じましたが、他の人の学びに貢献できる楽しさがありました。講師の先生方の講義は参加者と一緒に聞いていましたが、講師の先生方が前回の内容に少しずつ工夫やアレンジを加えてくださっていたので、興味が途切れることなく聞くことができました。前回とは異なるポイントに着目することができたり、内容への理解がより深まりました。しかし、会の進行や運営プロジェクトの業務については、工夫や改善すべき点があると感じました。今後、そのような部分を見直しつつブラッシュアップさせるとともに、 参加者だけでなく運営メンバーがさらに増え、以前開催されていたビジネスコンテストのように、この講座が成長して続いくことを願っています。

参加したことのない学生の皆さんへ ~アントレプレナーシップ塾の魅力

 全学部からの参加者が集まる塾なので、学部を超えて、熱意のある仲間とつながれます。そして、講師の先生方の講演からは、サンフランシスコの世界の起業精神を学べるとともに、魅力的な先生方とたくさん話せる機会があります。普段の授業とは異なる講義を3日間集中して取り組んだことにより、日常にも生かせるリーダーシップ・アントレプレナーシップを学べました。3分間のピッチ発表の実践的な練習もあり、すべてが今後の就職活動に良い影響を与えてくれる経験につながるように思います。参加する価値の高いプログラムです。
 

 <終了後のアンケートより> 参加した学生の感想の一部をご紹介します

・チームビルディングやグループワークにおいて、コミュニケーションや計画、適材適所などを踏まえて周りを見ながら行動する学びがあり、今後のゼミ活動などに活かしていきたい。

・自分には何ができるのかを明確化できたので、それを活かせる分野や進路に進みたいと思った。

・本間さんの講義での「コンフォートゾーンからの脱却」が印象に残りました。自己成長、自己実現のためにコンフォートゾーンからの脱却を意識していきたい。

・リーダーシップについて体感し、それをいつでも発揮できるようにしていきたい。

・ピッチ発表のやり方について学ぶことができてよかった。

・誰かを魅了するには、「多大な準備と情熱が必要」ということを学べたので、ゼミや就活に活かしたい。

・チームタスクの難しさを学ぶとともに、個々がもつリーダーシップを発揮すれば、個人単位ではできないことを実現できるということを実感した。自分でこなしてしまいがちだが、効率が悪いし、完成したものの質も劣ると感じた。自分の持つカードを最大限に生かし切ることは、チームで動く中で非常に重要だと感じたし、気持ちよく頼る・頼られる技術を身に付けたい。

・起業家として活躍する方から直接心構えなどを聞き、アントレプレナーシップの精神を大事にしていこうと思った。

・実際に起業してみたくなった。

 講師のご紹介

曽我部   梨羅 氏/(株)イノベスト
2018年立教大学経営学部卒業。在学中はリーダーシップ論中心に経営学を学び、留学したトゥルク大学(フィンランド)にてアントレプレナーシップ論を学びながら現地の学校・教育機関に興味を持ち見学。大学卒業後、株式会社イノベストに入社する。現在は、チームビルディングや個人の興味関心を実現するためのリーダーシップに関心をもち、アントレプレナーシップ関連プロジェクトやリーダーシップ科目導入大学において、講座の設計運営支援や学生アシスタント制度構築やコーチングを実施している。名古屋工業大学や上智大学にて非常勤講師を担当。

本間   毅 氏/HOMMA Group, Inc. Founder&CEO
中央大学商学部卒業。学生時代に起業したWEBインテグレーションを行うイエルネットのスタートアップを経て、2003年にソニーに入社、ネット系新規事業の開発、事業戦略に従事する。2008年よりアメリカへ赴任。電子書籍の事業戦略等を経て、2012年楽天株式会社入社。執行役員として、デジタルコンテンツのグローバル事業戦略を担当。2016年楽天を退社し、シリコンバレーにて HOMMA ,Inc.を創業(現在は、HOMMA Group, Inc.に社名変更)。

森   俊介 氏/一般社団法人国際エデュテイメント協会 代表理事
中高時代に、ベルギーのインターナショナルスクールにて国際バカロレアプログラムを受講。 帰国後に高校生ビジネスコンテストで優勝。上智大学大学在学中にはカンボジアの農村部で英語映像授業プログラム「EDUCA」を立ち上げ、準グランプリを受賞。ジョイズ(株)ではAl英会話サービス「TerraTalk」の立ち上げメンバーとして参画した後、現在は国際エデュテイメント協会の代表理事として、EdTechツールの導入や教材企画・制作事業を推進。教育の革新と国際的な学びの環境の向上に貢献している。


Zak Murase(村瀬  功) 氏/Managing Director, Pacific Sky Partners 
シリコンバレー 在住25年。 SonyでパソコンVAIOの立ち上げなとを経て、 2013年に日系ベンチャーキャピタルのシリコンバレー オフィスを立ち上げスタートアップ投資に従事。 2017年に独立し、 シリコンバレーにおける日本企業やスタートアップの支援を中心に活動している。特に最近は日本からグローバルヘ展開するスタートアップや起業家の支援に力を入れている。