保健センター
ポストコロナの学生生活について
2023年05月02日
ポストコロナの学生生活について
―ニューノーマルの時代を過ごすために―
中央大学保健センター所長
石田 和之
皆さんは、この5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、2類相当から5類へ変更されたことをマスコミやインターネットなどを介して既に知っていると思います。感染症法上の分類が5類に変わると言うことは、新型コロナウイルス感染が季節性インフルエンザと同等の危険度の感染症と見なされ、行政の対策・指導や医療機関での扱いが同じになると言うことです。さらに、学校保健安全法上も季節性インフルエンザと同じ分類となり、各教育機関での対応も同等になることが発表されました。これは新型コロナウイルス感染のパンデミックが終了し、ポストコロナの時代に移行したことを明確に示すマイルストーンです。このような状況の変化を受け、学生生活において新型コロナウイルスに感染しても、今後は季節性インフルエンザに感染した際と同じような対応となります。
―新型コロナウイルス感染症の怖さ―
インフルエンザウイルスも新型コロナウイルスもどちらもウイルス感染ですから、ウイルスを含む飛沫への暴露などを通して感染し、数日の潜伏期の後に発症します。体内に入ったウイルスは体内への侵入直後から増殖を始め、発症する前の潜伏期の段階でウイルスを排出するようになり、人への感染性が高まります。この感染性は発病後5日程度で低下し、人へ感染させる危険性が低下します。ここまでは季節性インフルエンザも新型コロナウイルスも大きな違いはありません。ところが、両者には大きく異なる特徴があります。季節性インフルエンザは感染すれば、ほぼ例外なく発病し、高熱・身体痛など全身症状が出現して、自ずと外出を控えて自主隔離することになります。また、症状緩和を求めて医療機関を受診するようになります。一方、新型コロナウイルス、特に最近の主流の変異株であるオミクロン株においては、発病しても軽い咽頭痛しか出ない場合や、感染症状がほとんど出ないこともあり、医療機関を受診することなく、ウイルスを排出しながら外出してしまい、周囲の人を感染させてしまう危険性が高いのです。10代〜20代の皆さんにとって、新型コロナウイルスは既に恐ろしいウイルスではなく、仮に感染したとしても生活の上で大きな影響はないでしょう。しかし、高齢者や基礎疾患がある人、いわゆる重症化リスクのある人々にとっては、相変わらず要注意のウイルスです。自分の周囲に感染した人が潜んでいる可能性だけでも、彼らにとっては脅威です。
―感染しない・感染させないことの重要性―
新型コロナウイルスを始めとした様々なウイルス感染症の予防・拡大防止には、手洗い・うがい・3密回避・換気等の基本的な感染対策が有効であることは論を待ちません。一方、マスクの有用性については様々な意見が交わされてきました。しかし、最近の報告によれば、マスクの着用は人への感染の危険性を低下させる効能のみならず、自らの感染予防にも有効であることが示されています。従って、何らかの体調不良に気がついた時はもちろんのこと、人が密集する場所など、感染のリスクが高いと思われる場所に滞在する時は自主的にマスクを着用して下さい。
そして、体調不良が続く場合は、新型コロナウイルスに感染していないか検査を受けることが肝心です。さらに、新型コロナウイルス感染症では、一部の方で咳・倦怠感・記憶力低下などの症状(罹患後症状、いわゆる後遺症)が残り、長い場合は半年から1年以上もの間、後遺症に苦しむこともあります。当然、この間は学業にも少なからず影響が出てしまいます。そのためにも、体調不良を感じたら早めの医療機関受診が望ましいです。
ようやく訪れたポストコロナの新しい時代に、自分自身にとっても、学業や課外活動を共にする仲間にとっても、お互いに健康で安心安全な学生生活を送るために、自ら適切に判断して行動しましょう。「自身を感染から守るために」そして「周囲の方に、感染を拡げないために」、本学学生の皆さんの引き続きの配慮をお願いいたします。
以 上
【参考】
保健センターホームページ
「感染症対策の基本的な考え方について」
https://www.chuo-u.ac.jp/campuslife/health_center/news/2023/03/65172/
厚生労働省ホームページ
「感染拡大防止へのご協力をお願いいたします!」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku.html
「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html