ダイバーシティセンター
『東京クルド』上映会・トークイベント「日本の難民問題を知ろう!」を開催しました(Diversity Days 2023)
2023年07月03日
Diversity Days 2023において、法学部独自のプログラムであるシドニーアクティブラーニングプログラム(SALP)の2021年メンバーとDiversity Creator Teamが、2023年6月3日に映画上映会とトークイベント「日本の難民問題を知ろう!」を開催しました。
今回開催したイベントは、ドキュメンタリー映画『東京クルド』の上映会及び、トークセッションの二部構成で行われました。
このイベントには、中央大学の学生、教職員だけでなく、地域の方々も含めた80人以上の方が参加してくださいました。
*本イベントの様子は朝日新聞(2023年6月4日)にも掲載されました。こちらも合わせてご覧ください。
『東京クルド』は、仮放免中の青年2人の葛藤を描いた作品です。同作では、仮放免という不安定な在留資格に生じる課題が描写されています。
上映後は少人数のグループで感想共有を行いました。いずれの小グループにおいても活発な意見共有が行われ、映画の感想のみならず、難民問題に関する意見交換も行われていました。
感想共有の様子
第二部では、BOND(外国人労働者・難民とともに歩む会)の真栄田早希さんとSALPメンバーの関穂乃佳さんが、現在の日本における難民問題、特に入管法改正が当事者に与える影響についてトークセッションを行いました。
トークセッション中の真栄田さんと関さん
♢関穂乃佳さんのコメント
『東京クルド』の上映は、日本の入管問題について当事者視点から考える機会になりました。小さい頃から日本の学校に通い、日本で過ごしてきたにも関わらず、仮放免者というだけで働くことが許されない。自由に専門学校に通うことができない。このような当たり前に生きていくことも困難である状況は、私たちが当事者と共に変えていく必要があると感じました。
また、真栄田さんのトークセッションでは、入管問題の現状、入管法改正案で当事者に与える影響について学びました。質疑応答でも、沢山の質問やコメントが寄せられ、充実した議論になりました。
イベントを開催して、以下、参加者の方々から多くのコメントを頂きました。
「まず家に帰って家族や友達に共有することから始めようと思います。」「日本国民として、声を上げるべきだと感じた。」「知らないままでなくて本当によかった。」
今後も、その日本の難民問題について考えることのできる機会を創っていきたいと思います。
♢真栄田早希さんのコメント
映画『東京クルド』で描かれていた当事者の絶望は、今この瞬間も続いています。
日本は難民条約を締結していながら、国際基準からかけ離れた、極めて杜撰な難民認定を行っています。母国に帰れば殺される人にも、日本から出ていけと言い続けているのです。
政府が当事者の権利をいくら制約しても、帰国できない事情が変わることはありません。日本が受け入れるべき人なのに、未成年者も含め約4000人が、生きるための最低限の権利すら認められず、先の見えない不安定な状態に置かれています。
支援の現場で日々当事者から話を聴いている立場からすれば、入管の政策に矛盾があることは明らかです。
これは外国人だけの問題では決してありません。誰かの人権が守られていない社会では、実は誰も人間扱いされていない。私たちの社会で実際に起きている人権侵害について、見て見ぬふりをしていいのでしょうか。
私たち学生には、社会を変えていく確かな力があります。選挙で投票をするだけではなく、社会にある問題を知って、一市民として「声を上げる」ことができます。この声が大きくなれば、社会は確かに変わります。変えていけるのは私たちです。
今回の企画が、参加した皆さんにとって、問題を知って行動するきっかけとなったことを嬉しく思います。今後も継続的に、学内で考える場を持ちたいです。
会場入口
私たちSALPは、「SALPで学んだことを生かしたい」という動機の下で、昨年のDCTとのイベント以降活動を続けてきました。
今回のイベントでは、参加対象者を学外へと拡大したことや、学外団体のメンバーを招くことで、より多くの人にダイバーシティに関する問題を考えるきっかけを提供できたのではないかと思います。