フェンシング部

フェンシング部・関東学生フェンシング選手権(サーブル個人・サーブル団体)

2015年10月27日

10月23日 駒沢体育館

 

関カレ個人戦曽我・白井のワンツーフィニッシュと“疑惑”の団体戦準V

 

 強い中大サーブル陣が、戻ってきた。昨年、一昨年と優勝から遠ざかっていた中大だった。しかし今年は曽我啓介主将(商4)、白井寛夢(法2)の中大対決の関カレ決勝を演じ曽我主将が優勝。団体戦では王者法大に2点差まで迫った。中大サーブル陣のインカレ個人優勝・団体優勝の二冠が、現実味を帯びてきた。

 

 

▲関カレ優勝を決めガッツポーズをする曽我主将

 

 2年生の白井は関カレの出場は初めて。プール(予選)を4勝1敗で勝ち進んで、本選もベスト8まで順当に駒を進めた。ベスト8は日大の古川との対決。先日の海外遠征でも剣を交えてたが、その時は敗北を喫した。それでも「苦手意識はあったんですけど、でも絶対勝ちたいと思った」と持ち前の全力プレーでこの試合を制す。続く準決勝でも森(日大)を接戦の末破った。

 

 一方の曽我主将は白井の反対側のブロックで躍動。山場は3回戦での安藤(法大)との一戦。ジュニア期から競い合っていたライバルで、先日のユニバーシアードでも共に戦っただけにお互い手の内は知っていた。序盤から緊迫したゲームとなり、試合が進むにつれて、まるで決勝戦かのような熱気に包まれる中での試合。終盤戦、僅かに先んじたのは曽我主将だった。この試合を15-12勝利し、その後も並みいる強豪を下し、決勝へと進んだ。

 

 

▲決勝進出を決め吠える白井

 

 「(曽我主将は)自分の目標です」(白井)。憧れの先輩との決勝での同校対決は、静寂の中に包まれての試合となった。  序盤から主将の維持と若手エースのプライドのぶつかり合いとなり、試合は激しい点の取り合いとなる。一時はリードを奪った白井だったが、しかし「最後は自分の気力がなかったです」と終盤は白井の疲労が目立ち、少しずつ点差が離れていく。結局試合はこのまま終わり15-10で曽我主将が白井を下した。

 

 「ジュニアの試合では優勝したことはあるが、学連の試合での優勝は初めて」(曽我主将)と久々のタイトルを素直に喜んだ。白井は「8までは自分のヤマは結果的には他のより(強い選手がいなくて)良かったと思う」と謙遜するも、初出場で準優勝と飛躍。インカレでの活躍を大きく期待させる選手となった。

 

◆大会結果

①曽我主将②白井③大崎(法大)

 

1回戦

○曽我啓介(商4)15-9浅香(立大)●

○後藤駿弥(法2)15-10高澤(専大)●

○小松崎資(法1)15-11武山(早大)●

○山北格也(商1)15-6鈴木(明大)●

○白井寛夢(法2)15-4竹下(早大)●

○森川奨太(総2)15-8青路(日大)●

●横山覚(法4)10-15石川(慶大)

片岩和紀(総3) 棄権

 

2回戦

○曽我啓介(商4)15-8小久保(法大)●

○後藤駿弥(法2)15-14高橋(法大)●

●小松崎資(法1)4-15若林(専大)○

●山北格也(商1)12-15柳(法大)○

○白井寛夢(法2)15-8安部(早大)●

○森川奨太(総2)15-12神尾(日体大)●

 

3回戦

○曽我啓介(商4)15-13安藤(法大)●

●後藤駿弥(法2)12-15大崎(法大)

○白井寛夢(法2)15-3森川奨太(総2)

 

準々決勝

○曽我啓介(商4)15-8中島(拓殖大)

○白井寛夢(法2)15-9古川(日大)

 

準決勝

○曽我啓介(商4)15-14大崎(法大)●

○白井寛夢(法2)15-12森(日大)●

→決勝は曽我と白井の同校対決に

 

個人決勝

○曽我啓介主将(商4)15-10白井寛夢(法2)●

 

 直前に行われた個人戦の優勝者、準優勝者を擁する中大が関カレ団体準優勝を果たした。法大との差は縮まった。確かにそれを感じることのできる関カレだった。ここまできたら、法大を倒してのインカレ優勝を期待せざるを得ない。

 

 

▲決勝戦で得点しガッツポーズをする後藤

 

 波乱の最後回りだった。曽我主将の相手は安藤(法大)。安藤とは個人戦で戦い、曽我主将が勝っている。それでも、45点先取の団体戦において4点差は大きい。38-41まで追い上げたその後に、波乱が始まる。  フルーレ、サーブル、エペの3種目のうち、サーブルが最も攻撃的な種目である。プレーが始まると、お互いが寄って行って切りつけ合う。一瞬でひとつのプレーが終わることも多い。ここで重要になってくるのは攻撃権だ。もしも得点を知らせるランプが両方点灯したときは攻撃権のある側に、点数が入る。そして、その攻撃権の判断は審判に委ねられる。

 

 39-44となった。会場中から、審判の判定に疑問の声が上がる。「あれはない。普通ならこれ中大がリードしてる」という他大選手の声が聞こえた。曽我主将が審判に疑問を呈する。それは主将として、チームに勝利をもたらしたいという気持ちの裏返しである。しかし判定は覆らず。

 

 

▲44点目を取られたシーン

 

 マッチポイントを取られ、このまま法大の優勝か、という空気が会場を満たしていた。しかしここで負けないのが中大であり、曽我主将である。  空気を変えた。1点も取られてはならない場面で曽我主将の怒とうの攻撃を見せる。4連続得点で、43-44とする。あと2点。もしかしたら、中大が勝つかもしれない。そう誰もが考えた。  曽我主将と安藤が剣を交える。両方のランプが点く。どちらの選手も、自分に攻撃権があるというのを訴えるために大きなガッツポーズを取る。会場が湧く。審判の判定は。  43-45。法大の優勝だ。審判が判定を下した後に会場を満たした声は「ええ〜」という声だった。会場からは再び審判に対する疑問の声が上がる。異様な雰囲気の中、法大は円陣を組み優勝を喜び合った。 その会場の雰囲気について、曽我主将はこう話す。「そういう(審判の判定に対する疑問の)声があるということは、大半の人は自分の勝ちだと思ってくれている。だが、大半の人が思ったことが正解という訳ではない」。波乱の中心となった曽我主将だが、あくまで冷静に答えた。

 

 

▲45点目を取られた後、審判にアピールする曽我主将(手前)とベンチ

 

 今回の敗戦について「(自分が得点したと思っても)取ってくれない人もいる訳で。だからもっと完璧なプレーをすればいい。(たとえ客観的に見て正しくとも)お互い悪い部分がある」。そう反省をした。あくまで冷静な曽我主将の目指すチームは「たとえプラスで回せなくともカバーし合って、みんなで戦う」チーム。それは、この大会でクリアできているように思われる。白井は個人戦の疲れから団体戦では思うようなプレーの出来なかった。23-30で回ってきた後藤が圧巻のフェンシングで11得点。34-35で回した。そして36-40から疑惑の判定がありながらも最後回りの曽我主将は法大を追い詰めた。調子の悪い選手をカバーし合った結果の43-45だ。

 

 5月のリーグ戦、29-45。6月の王座決定戦、28-45。法大との差は明らかだった。それが、関カレでは43-45。インカレでの優勝を期待せざるを得ない。法大の安藤は怪我をしていたとは言え、中大も白井が満足のいくプレーができていない。中大、法大の両校の選手が万全な状態でのインカレの決勝を見たい。インカレサーブル団体戦で笑うのは、どちらの大学か。疑惑の判定はあったが、11月上旬のインカレの前哨戦にふさわしい関カレ決勝戦であった。

 

◆大会結果

①法大②中大③日大

 

2回戦 中大45-21拓大

準決勝 中大45-43日大

決勝 中大43-45法大

 

写真・記事:「中大スポーツ」新聞部