大学院

【究める vol.133】研究科委員長に聞く大学院の学びと研究(法学研究科 只木 誠委員長)

2024年01月31日

只木 誠 法学研究科委員長


「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
第132回となる今回は、「研究科委員長に聞く大学院での学びと研究」というテーマで、大学院で学ぶ意義や学部との違い、研究の特徴などについて研究科委員長へインタビューした記事をお届けします。今回は法学研究科の只木 誠(ただき まこと)委員長にお聞きしました。
受験を検討している方や大学院という場所に関心をお持ちの方は、ぜひお読みください。

大学院はどのようなところか

大学院法学研究科では、院生のそれぞれが、専門の法律分野において自身が設定した課題や選定したいずれかの個別専門テーマについて、内外研究者の手になる先行研究を参照し、そこに示された理論や法解釈の仕方の検討、考察を行い、それを通して自らの考え(試論)を導き出し、まとめていきます。そして、最終的には、そのような自らの考えを世に問うべく、指導教授の指導のもと、学位論文という形に仕上げるという作業を行っていきます。大学院とは、このような一連の学術的な「研究」活動を行う場です。

大学院で学ぶ意義について

特定の領域に関する研究活動を行う場である大学院で学ぶと言うことは、とりもなおさず、「その道の専門家」へと歩みを進めることでもあります。博士前期課程、博士後期課程修了後は、生業の点では、その専門的知識を活かして、例えば、研究機関、高等教育機関等に仕事を得るということも視野に入ってきます。とはいえ、そのような先々の職業の可能性の点はおいても、本義にかえって考えるならば、大学院で学ぶということの意義は、すなわち、学問的な思考力の鍛錬、そして、学界への貢献とつながる真理の探究の実践にあると言えます。

大学院での研究で求められること

大学院では、専門の法律分野全体に眼を配りつつも、自身の設定した特定の課題、テーマに集中した研究態勢を整え、新たな地平をも切り拓かんとするまでの強い思いのもと、粘り強く、根気強くこれを行っていかなければなりません。また、同じテーマを研究している国内外の研究者からも日々の研鑚のたまものである研究成果が発信されるところ、それらに常にアンテナを高く張っていることも必要です。このように、大学院における研究活動の実践には、倦むこと、弛むことのない地道な継続力が求められるでしょう。

学部と大学院の違い

社会秩序の維持、保障のための法運用やその機能とは。法による紛争解決、法的正義とは。大学の法学教育は、これらを学び、いわばリーガルマインドを養うことを学修の目的としています。一方、大学院が担っているのは研究者養成と高度専門職業人の育成であり、院生各人における研究活動の目指すところは、専門的知識のもとに行う法にかかる真理の追究であり、研究テーマに対するより深く幅広い考察とそれに基づく既存の解釈理論の検証、試論構築の試み、そしてその外部への発信です。両者は、このような点において異なっているのです。


※本記事は、2024年1月時点の内容です。
​​​​​​