大学院

【究める vol.125】蘇 心寧さん(文学研究科 博士後期課程)がアジア社会心理学会で発表しました

2023年08月01日

文学研究科 博士後期課程 心理学専攻に在籍している蘇 心寧さんが、アジア社会心理学会第15回大会で発表を行いました。

アジア社会心理学会第15回大会(AASP2023)は2年に1度開催される、アジア最大級の社会心理学に関する国際学会です。今年度は2023年7月13日から7月15日の3日間開催され、香港教育大学にて行われました。多くの研究者が参加し、シンポジウムやポスター発表を通して盛んな議論が行われました。

本記事では、蘇さんによる発表内容の紹介や発表にあたってのメッセージをお届けします。

発表について

報告書は、大会1日目(7月13日)に"Attachment security predicts retrieval-induced forgetting of episodid future thinking(アタッチメントはエピソード的未来思考の検索誘導性忘却を予測する)”という題目で1時間(12時15分~13時15分)のポスター発表を行いました。
報告の内容では、親密な関係によるアタッチメントの個人差は将来に対する不快なイメージの抑制効果と関連していることが明らかになりました。

本研究はコロナが流行っている時期に実施されたものでした。先行研究では、コロナの世界的流行が人々の未来に対する見方に影響を及ぼし、不快な未来思考は高いレベルの不安とも関連していると考えられています。
そこで本研究では、将来に対する不快なイメージをコントロールすることで、個人差があるかどうかを調べました。
本研究は探索的な研究であり、この研究で得られた結果は、今後の研究展開に新しいアイデアを提供できると考えています。

発表にあたって

オフラインで行われる国際学術会議に初めて参加しましたので、緊張と興奮の気持ちを抱きながら、会場に着きました。ポスター発表のセッションは昼休憩と同時に行われたため、聴衆が少ないと予想していました。しかし、実際には多くの人々に関心を持っていただき、盛んに議論を行うことができました。
特に、本研究では社会心理学の有名な理論である「アタッチメント」に焦点を当てていたため、多くの人々に関心をもっていただいたような印象を受けました。さらに、その中には「アタッチメント」に関する研究領域では有名な研究者の方たちもおり、彼らとはより専門的な内容で議論を行うことができました。
自分の発表以外にも、他の研究者の発表をたくさん聴きました。事前にプログラムをよく確認し、興味あるテーマの発表を聴きにいき、研究者本人とコミュニケーションをとることができました。
一番印象に残ったのは「文化的自己観」という概念を提唱したMarkus教授(Stanford University)のレクチャーです。レクチャー後に、一緒に聴講した研究者同士と講義内容について話し合ったのは、とても有意義な時間でした。
今回の学会参加によって、英語力、学術力、コミュニケーション能力などが大きく向上したと思います。また、我々の研究内容を学術界に発信できたのは、貴重な経験となりました。今後も国際学術会議に積極的に参加して、その経験を研究活動に活かしていきたいと思います。