大学院

【究める vol.103】在学生の声 松田 敦樹さん(商学研究科 博士前期課程)

2022年09月05日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。今回は「在学生の声」として商学研究科の松田 敦樹さんへのインタビューをお届けします。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院での研究活動・課外活動など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードが載っています。

松田 敦樹(まつだ あつき)さん


研究科:商学研究科
専 攻:商学専攻
課 程:博士前期課程2年

大学院でのご自身の研究について

私は「水平的チャネル拡張は、企業価値を高めるのか?」といったテーマで研究を進めています。
(流通)チャネルとはある製品が製造業者から消費者の手に渡る経路のことを言います。

水平的チャネル拡張とはチャネルを一度構築した後に増加させることを指します。例えば、これまでスーパーマーケットでのみ売られていたお茶が、コンビニエンスストアでも売られるようになったり、ECサイトだけで販売していた製品を実店舗でも販売したりという事例がこれにあたります。
私はこういった、水平的チャネル拡張が企業の成果に与える影響を、二次データを用いて明らかにしようとしています。

大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由

大学院への進学を志した理由は、研究者をかっこいいと思っているからです。
正直に申し上げると研究者のどんなところがかっこいいと思うのか私自身よくわかっていません。ですが、巨人の肩の上に立つとも言いますが、先人の残した知識をもとに新たな発見をするという行為に憧れを持っているのだと思います。これが明確になったのは、学部3年次に所属していた結城ゼミで行った研究です。関心を持った出来事について考え、論文として形になった時、本当に嬉しかったのを今でも覚えています。
中央大学大学院を進学先として選んだ理由は、久保知一先生のご指導を受けたいと思っているからです。私が研究したいテーマが先生の研究領域に近いことはもちろんのこと、研究の方法だけでなく、研究者として働くとはどういうことか、研究者になるためにはどんな過程を経るのかといった私の将来を一緒に考えてくださる先生がいらっしゃったことが中央大学大学院への進学理由です。こうなりたいと思える先生方からご指導をいただけることが私のモチベーションです。

大学院の授業はどのように行われていますか。学部との違いや特徴を教えてください

大学院と学部の授業の大きな違いは、自分の意見を理論立てて話す必要があることです。

大学院の授業では、文献の報告をし、その内容をもとに先生や学生と議論を行います。単に文献を読むだけでなく、文献をもとにどう考えたのかを伝えることが求められます。ですから、文献に書いてあることをまとめるだけでなく、自分の主張を上手に伝えられるような報告ができるよう入念な準備が必要となります。そうしてまとめた資料をもとに議論をし授業が進んでいくという点に大学院の授業の特徴があると思います。

実際に履修した授業について、印象に残っていることを教えてください

久保知一先生の基礎セミナー(商業学)について取り上げます。

この授業では、14回の講義を通して1冊の本を受講生7人で輪読します。受講生は毎週全員が資料を作成し報告します。その資料をもとに先生や受講生と議論を行います。最終週では、学習したモデルを用いて実際の企業活動を分析します。

私は、大学院で研究をしている中で、働いている同期達と比べ、社会の動きがわかっていないと実感することがあります。久保先生はそういった現状を鑑み、「研究対象の実態を知り、理論的枠組みを用いた諸問題の読み解き方を教授する」という目的を掲げ教鞭をとっていらっしゃいました。研究は理論と現実の反復と言われますが、現実を知り事例分析を行うという点でも久保先生の授業は興味深い授業でした。

中央大学大学院に進学してよかったことについて

中央大学大学院に進学してよかったことは2つあります。
第1に、学部生時代に4年間通ったということもありすぐに大学院の生活に馴染めたことです。外部の大学院に入学し、引っ越しなどを済ませ生活に馴染んだ頃にはもう半年過ぎてしまっていたという話をよく聞きます。そういったことがなく、すぐに研究に専念できたことがよかったと思います。

第2に、利用できる資料が豊富であったことです。私は2次データを用いた研究を行なっているため、豊富なデータや文献にアクセスできることは非常に重要です。また、豊富な資料が学外からもオンラインで利用できるため時間や場所を選ばず研究ができます。
 

授業以外の時間はどのように過ごしていますか

授業以外の時間は、ライティング・ラボでチューターとして働いています。ライテインング・ラボは正式には、中央大学アカデミック・サポートセンター ライティング・ラボと言います。ラボでは、論理的でわかりやすく、言いたいことが伝わる文章を作成するお手伝いをしています。

私は、チューターとして働く上で、日頃から読みやすい文章を書くようにしようと心がけるようになりました。また、学生さんの文章を見せていただく中で、文章表現や文章構成など学ぶことも多く楽しく勤務しています。チューター同士で、なぜこの文章はわかりにくいのか議論することも多く、自身の文章を見直す良い機会になっています。

大学院進学を目指すみなさんへ

私からお伝えしたいことは「ミスマッチを起こさないこと」この一点です。
進学したいと思ったら、まず先生に相談してください。その上で本当に進学するべきなのか、やりたいことが大学院でできるのかを考えることが必要だと思います。漠然と大学院に行きたいと思っていると博士前期課程(修士課程)は2年と短く、得るものがないまま、あっという間に終わってしまいます。大学院で何をしたいのか、その結果何を得られるのか考えた上で進学をしてください。

大学院卒業後の進路が進学の方もいれば就職の方もいらっしゃると思います。ですので、まずは自分を受け入れてくださる先生とのミスマッチが起きないよう、なぜ進学したいのか?進学して何をしたいのか?進路はどうするのか?先生にきちんとお伝えすることが大切です。その上で、進学するという決断をした方々には、忙しくも充実した大学院生活が待っています。大学院は知的好奇心を満たす最高の場所です。お待ちしております!

 

 

※本記事は、2022年9月時点の内容です。