大学院

【究める vol.102】在学生の声 倉野 靖之さん(文学研究科 博士前期課程)

2022年08月31日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。第102回となる今回は、「在学生の声」として文学研究科の倉野 靖之さんにお話を伺いました。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院で得られる体験など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードが載っています。ぜひご覧ください。

右側が倉野さん。左側は同専攻の岡本 多久実さん。

 

倉野 靖之(くらの やすゆき)さん


研究科:文学研究科
専 攻:東洋史専攻
課 程:博士前期課程
学 年:2年

大学院でのご自身の研究について教えてください

近代のパレスチナにおける指導者と報道の関係について、研究しています。
当時発行された複数の新聞を取り上げ、各紙ごとの論調を分析することで、それぞれの新聞がどのような指導者のイメージを普及させようと試み、それが歴史的にどのような意味を持ったのかを調べています。

大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由を教えてください

進学を決めた理由は、学部で学んだ中東・アラブの歴史についてより深く学び、将来的に研究者になりたいと考えたからです。学部卒業後に諸事情で社会人をしていましたが、中東への関心が尽きなかったため、進学を決めました。
中央大学大学院を選んだ理由は、自身の研究に関係する蔵書が豊富であり、大学の立地的に研究に集中できると考えたからです。また、特に東洋史学専攻は先生方が専門とする地域が様々であることからカバーしている地域が広く、私が研究対象とする地域だけでなく他地域の歴史についても深く学び、自身の研究に活かせると考えたからです。

実際に入学してみて、大学院はいかがでしたか

大変充実しています。学部から大学院入学まで2年ほどブランクがあることを不安に感じていましたが、その点も踏まえた今後の進路について先生方から様々ご助言をいただけたので、安心して大学院生活を送れています。大学院での研究に関しても、先生方のサポートのおかげでコロナ禍の影響はさほど受けず、順調です。私の専攻には研究対象とする地域が異なる院生が所属しており、院生同士の会話でも刺激の多い日々を送れています。

大学院での授業はどのように行われていますか

基本的には演習形式の授業と外国語の文献講読形式の授業になります。
2〜4人の少人数授業が基本で、先生との会話の機会も増えます。受講者が少ない授業は先生と学生が1対1になります。演習形式の授業内容は学生の関心や研究テーマに沿った内容が含まれたものになっているので、自身の研究テーマについての理解が自ずと深まります。授業内では先生方の経験を踏まえたお話なども聞けるため、ニュースや文献からだけでは知ることができない海外事情についても知ることができます。

文献講読の授業は英語だけでなく、一般的にマイナー言語とされるような言語についても、講読する授業があります。今年度履修しているアラビア語講読の授業では、先生から適宜、口語的表現、司法関係の文書に見られる表現、文語的な表現などの文法書や市販のテキストだけではカバーしきれない知識についても教えていただけます。細かな知識が得られるのは、少人数授業だからこそだと思います。
毎週の授業準備には膨大な時間が必要で、1週間のほとんどの時間を費やすこともありますが、得るものが多い授業ばかりです。

実際に履修した(している)大学院での授業を一つ取り上げて、内容や進め方、印象に残っていることを教えてください

今年履修しているイスラーム史演習が特に印象に残っています。授業の内容は学生が事前に選んだ論文について内容をまとめて発表し、全員でそれについて議論をするものです。発表用資料を作る段階で、選んだ論文に対する理解も深まります。また他の院生の発表によって、自分の専門外の論文についても理解が深まります。加えて、授業を担当されている鈴木先生のご指摘から、私が全く知らなかった話や文献では知ることができない現地社会に密着した情報まで知ることができるので、大変勉強になります。
授業内では現代の中東・アラブ世界についての話が多く登場します。特に先生のお話からは、アラブ世界の異国情緒とその壮大なスケールを感じることができます。

中央大学大学院に進学してよかったことを教えてください

得た情報の正確さや発信の意図を自分で確かめる習慣がついたことです。新聞を利用して研究を行っていることもあり、ニュースや情報を個別のものとして理解するだけでなく、関連情報を交えた上で、大きな流れとして情報を把握することの重要性を学べたと感じています。また確かな情報からそうでない情報までが溢れる現代社会において、自分で確かめる習慣がついたことはよかったと感じています。
また、大学院には同じような環境にある院生が在籍しているため、会話の中で常に刺激があります。またかつて院生を経験してきた先生方が居られるため、今後の進路をイメージしやすく、進路面での不安は自ずと消えます。

授業以外の時間はどのように過ごしていますか

ほとんどの時間は授業準備と研究に費やしています。余った時間はアルバイト(週2)や運動に使っています。授業終わりの時間は院生研究室でゆっくり過ごしたりもします。

大学院進学を目指す人へのメッセージをお願いします

学部を卒業してから、大学院生と社会人の両方を経験しましたが、どちらにも楽しさと大変さがありました。自分の思う方に進めば、そこにしかない経験と良い結果が待っているはずです。大学院進学を検討中の方はぜひ、進学されることをお勧めします。

 

※本記事は、2022年8月時点の内容です。