大学院

【究める vol.94】研究科委員長に聞く大学院での学びと研究⑧(小林 勉 総合政策研究科委員長) 

2022年05月26日

小林 勉 総合政策研究科委員長

 

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
今回も「研究科委員長に聞く大学院での学びと研究」というテーマで、大学院についてや学部との違い、研究の特徴などについて研究科委員長へインタビューした記事をお届けします。今回は総合政策研究科の小林 勉(こばやし つとむ)委員長にお聞きしました。
受験を検討している方や大学院という場所に関心をお持ちの方は、ぜひお読みください。

大学院はどのようなところか

大学院とは、大学の学部以上に「自律型学習者」の人材が育成されていくところだと考えています。大学の学部教育においても自分で学習することは求められますが、大学院ではそれ以上に、自身で研究を推し進めていく姿勢が求められます(もちろん指導教員は適宜助言をしてくれます)。ですので、指導教員からの「指示待ち」のスタンスではなく、自ら問いを立て、主体的・積極的に自分から動いて解題していく心構えが求められるところだと捉えて頂ければと思います。

大学院で学ぶ意義

近年、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の4つの頭文字で特徴付けられる「VUCAの時代」という言葉が使われ始め、既存の枠組みにとって未知な状況が次々と生起し、従来の延長線上では予測できない事態が世界各地で生じてきていますが、こうしたVUCAの時代においては、自分自身で考え判断し、その判断材料から自身で決断して行動に移していく力が強く求められます。現下のコロナ禍の状況はまさにその典型例といえますが、こんな時代だからこそ、学生自らが課題解決方法を発見・獲得していこうとするスタンスを習得していくことが以前にも増して重要になってきています。大学院で学ぶ意義のひとつも、そんなところにあると思います。

大学院での研究で求められること

大学院へ進学すると、教員から学生への一方的な知識の伝達の形態は少なくなり、受動的な姿勢で授業に臨むよりも「主体的に」授業にコミットすることが求められます。その際、重要となるのが「ASK」という心構えです。つまり「受け入れる(Accept)」「見つけ出す(Seek)」「知る(Know)」といった心構えを踏まえつつ、自身の研究にとって有用となる情報や意見を周囲から引き出していくことができるような環境を、自ら構築していくことが求められると思います。

大学院を目指すにあたって

学部時代には卒論の執筆に必死に取り組んでほしいと思います。大学院の入学試験では研究計画が重視されますが、卒業研究に精力的に取り組むことで大学院進学後の研究テーマを見つけやすくなります。ですので、大学院進学を目指すのでしたら、学部での卒業研究にしっかり取り組んでください。受験対策のための勉強も大事ですが、一番大切なのは学部での卒業研究をやり切り、研究論文を執筆することの「大変さ」と「面白さ」を実感していることです。そしてその経験が、大学院での研究生活をスムーズに送れる大事な布石となるはずです。

 

※本記事は、2022年5月時点の内容です。