「究める」では、大学院に関わる人や活動についてご紹介しています。
今回は、2019年度に総合政策研究科 博士前期課程を修了し、2022年4月より作新学院大学経営学部スポーツマネジメント学科で特任講師として勤務されている、武田 作郁さんにお話を伺いました。
武田 作郁(たけだ さくふみ)さん
中央大学法学部法律学科を卒業後、中央大学大学院総合政策研究科博士前期課程に進学し、2019年度に修了しました。取得学位は修士(総合政策)です。その後、同志社大学大学院総合政策科学研究科の博士後期課程に進学し、在学中です。
2022年4月からは、作新学院大学経営学部スポーツマネジメント学科特任講師として勤務されています。
ご自身の研究テーマについて教えてください。
専門分野・研究分野:スポーツ法学、スポーツ法政策
研究テーマ:「スノースポーツの安全に関する法政策」「スポーツの安全に関する法政策」
スポーツ法学は、その役割や重要性について十分に認識されていない未発展の分野です。しかし、スポーツが抱える多くの課題の奥には法的な問題が隠れています。スポーツが抱える問題・課題を法的な視点で捉え、解決の糸口とするのがスポーツ法学の役割であると考えています。
中央大学大学院へ進学した理由を教えてください。
大学卒業後、中央大学保健体育研究所において研究に携わる機会を得たこと、またスポーツ指導に携わる中でスポーツの現場での問題を目の当たりにしたこと、指導教授である小林先生との出会いがきっかけです。
院生時代はどのような生活を送っていましたか。
主に平日は保健体育研究所および体育センターに勤務し、退勤後に2号館の大学院の学生共同研究室で研究活動をしていました。仕事と学業の両立は困難の連続でしたが、室長はじめ事務室員のみなさまにご協力いただき、授業時間だけ仕事を抜けさせていただくなどして学業、研究活動を続けることができました。
博士前期課程を修了した後の進路について教えてください。
博士前期課程修了後は、同志社大学大学院博士後期課程へ進学するとともに、上武大学非常勤講師、中央大学商学部特別講師、流通経済大学客員講師などを務め、2022年度からは作新学院大学で特任講師として勤めます。
また、保健体育研究所客員研究員として研究活動を継続しています。大学院では、自らの研究テーマに沿う形で先生方にご指導いただくことになります。一人前の研究者になるための修業としての面があるからです。しかし、実際の社会課題解決に向けた研究活動には他の研究者や現場との連携協働が不可欠であり、ひとりよがりな研究態度では社会に還元できるような研究活動を進めることは難しいでしょう。自らの研究活動に専念できるのは学生のうちだけですし、学会で発表するなど外に向けて発信する機会もあるでしょうが、研究所で他の研究者と肩を並べて研究活動を行っていくチャンスというのは、大学院生にとってとても貴重なものとなります。その点、中大には多くの研究所があるので、大学院生が積極的に参画する機会を得られれば良いと思っています。
研究者となった現在、どのような日々を過ごされていますか。4月からは大学教員になると伺っています。そのことについても、可能な範囲で教えてください。また、今後の抱負についてお聞かせください。
4月からの業務および生活について、私の場合、担当するコマは週7コマから9コマ程度、5つの委員会と教授会で会議日は週1日、スポーツ部会の部長も任されています。残りは学生対応と研究に費やす時間となります。専任教員になれば、自らの研究活動ばかりではなく、授業や学生指導、学内業務などたくさんのタスクを抱えることになります。
膨大な業務に忙殺されることなく、うまく時間を作り出して、大学教育と研究活動の両立を図っていきたいと思います。たとえば、教壇に立って気づいたことなのですが、スポーツを専門的に学んでいる学生であっても、スポーツと法の関わりを感じないままに日常的に法的問題と接している学生がほとんどです。私の研究分野や研究テーマの講義を通して、こうした学生が新たな発見をしてくれることをとてもうれしく、とても興味深く思っていますし、大学教育と研究活動が不可分一体であると感じるところでもあります。
中央大学大学院へ進学してよかったことについて教えてください。
中央大学大学院は、チャレンジする学生を応援してくれます。さまざまな分野の先生方が、さまざまな視点からアドバイスしてくださるので、私のようにニッチでマニアックで研究者が少ない研究テーマでも、型にはまったアプローチにとらわれずに、広い知見をもって一歩一歩研究活動を進めていくことができました。こうした点が中央大学の、そして総合政策研究科の強みだと思っています。
研究者を目指しているみなさんへ
研究者を目指す方が大学院進学を考えるにあたってもっとも不安に思うことは修了後の進路についてだと思います。修了してすぐに安定した職に就くことができる人はほんの一握りだと思いますし、運やタイミングもあるでしょう。とても苦しい思いをします。
こうしてなかなか事がうまく運ばないとき、わたしが最も必要だと思うのは「学ぶことをあきらめない胆力」です。ある先生が私に言いました。「この授業の評価のポイントは、あなたが研究者を続けることができる人物かどうかを見極めることです。」研究センスやテクニックももちろん必要ですが、研究者として歩み続ける胆力がもっとも大切なのではないかと私は解釈しました。そしてこれは大学院での学びの中で鍛えていくことが可能です。学位を得ることもまた、忍耐と努力と継続が成せる業だからです。
さらにみなさんには頼りになる仲間や教員がいます。大学院で出会う人たちはみんな同じ経験をし、同じ悩みを持っています。研究上の壁にぶち当たったとき、自分に負けそうなとき、きっとそばにいる人が力になってくれます。
だから私たち研究者はチャレンジし続けることができるのです。
ともに歩み続ける仲間を募集します!
※本記事の内容は、2022年4月時点のものです。
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