大学院

【究める vol.85】修了生の声(文学研究科 博士前期課程)

2022年04月21日

修了生の声(文学研究科 博士前期課程)

 

長瀬 有輝(ながせ ゆうき) さん

文学研究科 博士前期課程 日本史学専攻を
2021年度に修了しました。

 

 

大学院時代の研究について

私は、南北朝期に東国(関東)の統治機構として成立した鎌倉府について、特に初期段階にあたる「薩埵山体制」の東・北関東支配の実態について研究しました。史料上の東国守護や武士の命令系統・従属関係に着眼することで、東国を去って京都に帰洛した室町幕府将軍足利尊氏の影響力が、依然として当該地域(東・北関東)に強く残っていたことを指摘し、当該期(「薩埵山体制」期)の鎌倉府支配体制が東国一帯に一様に及ばない未成熟・限定的なものであったと結論付けました。

大学院へ進学した理由を教えてください

私は高校時代から社会科の教員を目指して大学に入学しました。しかし、大学で歴史学の授業やゼミを経験する中で、より専門的な職業で働きたいと考えるようになりました。そうした中で博物館学芸員という職を知り、地域の歴史や文化、慣習を資料・モノとして保存し、展示・教育普及を通して地域住民や来館者の記憶として残すという仕事に感銘を受けました。その資格課程が中央大学で履修可能だったこともあり、本格的に目指すことにしました。一般的に学芸員は、大学院(博士前期課程)で学び、自身の専門分野・研究を深めることも必要なため、進学を決断しました。

中央大学大学院へ進学した理由を教えてください

一番の理由は、学部生時代から慣れ親しんだ学習環境、ゼミの先生(指導教員)のもとで研究を続けたいと思ったからです。また、中央大学には学部生時代から大学院の授業・ゼミに参加する履修制度があり、私もそれを利用して実際の雰囲気を体感し、院の先輩とも交流を持ってお世話になっていたことも大きかったです。さらには、同じ専攻から院に進学する友人・同級生が複数人いたこともきっかけになりました。今振り返ると、内部進学のメリットは想像以上に大きかったと思います。

ご自身にとって大学院はどのような場でしたか

学部生時代以上に、同じ志を持つ院生と切磋琢磨できる場でした。各々専門とする分野・時代は異なっていても、逆に新たな視点や方法、考え方の発見につながり、自らの研究に活かすことができました。特に私の在籍した日本史学専攻は前期・後期課程ともに院生の人数が多く、様々な興味関心や考えに触れ、刺激を受けることができました。院生のみが共同で使用する研究室も用意されるため、学部生の頃とは全く違った環境で学問・研究に集中できる場となりました。

中央大学大学院に進学してよかったことについて

中央大学の日本史学専攻が設立した学会である中央史学会の大会報告で発表する機会が得られたことです。普段のゼミ以上に、広く一般に向けてわかりやすく自分の研究を説明し、大勢の前で議論する経験を得られたことは、今後社会に出てからも活かされてくると思います。また、指導教員にも恵まれたことで、学部生の授業のTA(ティーチングアシスタント)も任せていただくことができました。教える立場になったことで今まで学んできたことや考えが整理されるだけでなく、実務経験の一つにもなり、就活の面接でも体験談として話せる材料が増えました。

大学院時代の印象に残っている出来事について

コロナ禍一年目に入学したため、初めは授業形式に慣れるのに苦労しました。対策としてオンライン会議ツール(Webex)が導入され、自宅からパソコンで授業を受けることになったのは、今でこそ当たり前ですが、当初は印象的に感じたと記憶しています。文献・書籍や辞書を頻繁に参考する必要のある歴史学においては、授業中、自宅の本棚に即時に手を伸ばすことができるなど、オンライン授業にも様々なメリットがありました。また、同ツールを用いて他の院生・ゼミ生と勉強会や研究報告会なども計画できました。大学に赴くことなく、時間さえ調整すれば自宅からいつでも手軽に開催できたことで、非常に効率的な会になったと思います。

修了後の進路について

群馬県のある町の博物館学芸員として働かせていただくことになりました。直近の大きな目標であり、進学する理由の一つでもあった学芸員という職に就けたのは、この大学院で学べたことのおかげです。特に前述したTAとして、学芸員課程の博物館実習という授業のアシスタントを担当させていただき、資料の扱い方を学部生に教える経験までできたことは大きかったです。私は関東地方の歴史を専門として研究してきたので、町の歴史やその良さを他の地域と比較して客観的に捉え、説得力ある展示や教育普及、ピーアールができるよう努めていきたいと思います。

受験生へのメッセージ

一昔前と比べて、現代社会においては転職が増えていると言われています。そうした中で腰を据えて、自分のやりたいこと、なりたい職業、目標をしっかりと見定め、そのために必要な専門的な知識・スキル・経験を得て、社会に飛び立つ準備をすることも一つの道だと考えられます。大学院はそうしたことができる価値ある貴重な場所です。コロナ禍で多少の不安もあるかと思いますが、思い描く夢や楽しんでいる自分を想像し、受験の決断やその先の勉強、研究を頑張ってください。

 

※この記事は、2022年3月時点の内容です。

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