修了生の声(文学研究科 博士前期課程)
研究でもお世話になった高尾山にて
嶋名 晶(しまな しょう) さん
文学研究科 博士前期課程 国文学専攻を
2021年度に修了しました。
大学院時代の研究について
修士論文のテーマは「高尾山天狗説話の由来と変化」です。テーマ決定の理由はいくつかあるのですが、一番大きいのは物心ついたころから八王子に住んでいてその歴史に興味を持ったことです。既に卒業論文では八王子の文学について取り扱ったこともあり、その一部として取り扱った「八王子にどのような説話が残っているのか」という部分を発展させた形です。
特に時代を設定しないテーマだったので、高尾山の記録が残る近世から近現代の文献が研究対象です。
特筆するようなユニークな研究方法はないのですが、参考となる建築物などの写真撮影や現代の高尾山ではどのように天狗が扱われているのか、反対に近世期の記録に多く残されている名所は現代ではどうなっているのかといった観察の為に何度も高尾山に登ったことが思い出深いです。
大学院へ進学した理由を教えてください
学部4年生のころの就活があまり納得のいくものではなく、このまま卒業・就職をしていいものかと悩んでいた時に友人に声をかけてもらったこと。そして同時進行していた卒業論文の執筆作業が思いのほか面白かったこと。この2つが主な理由です。
他にも学部生時分にとても仲良くしてもらった大学院生の方がいたこと、モラトリアム期間を延長してもう少し遊んでいたかったこと、なんか「大学院生」という響きがカッコいいなと思ったこと、などなど細かい理由もいくつかありましたが、少なくとも「研究こそ我が使命!」「俺は絶対に研究者になるんだ」というような高尚な意思を持って進学をしたわけではないです。
中央大学大学院へ進学した理由を教えてください
率直に申し上げれば他大学院への進学は全く考えていませんでした。上記のようにハングリー精神を持ち合わせていなかったので研究環境にこだわりはなく、学部時代に慣れ親しんだ環境がいいな、指導教授にそのままお世話になりたいな、というようなフワッとした理由で決めました。
ご自身にとって大学院はどのような場でしたか
大学院とはどのような場だったか、という話ですが、特別に学部生の頃と変わったという印象はありません。もちろん大学院生用の共同研究室があることや図書館中央書庫に特別な手続き無く入れることなど大学院生用の特別なシステムなどありますが、その他はほとんどが学部生の頃にも利用できるものがほとんどです。利用するキャンパスの設備は同じものですし、先生方も大学院生でないと指導をしないということもありません。
質問の趣旨とは異なるかもしれませんが、学部生の頃には注目していなかった大学の便利な部分に触れることができたのが大学院の生活でした。ぜひ進学を検討している皆さんも、今まで活用していなかった設備などないか探してみてください。
中央大学大学院へ進学してよかったことについて
私は中央大学の出身ですので、勝手知ったる我が庭という具合でとても居やすい場所だったのが中央大学大学院に進学した一番のメリット、よかったことだと考えています。それに加えて学生時代にあまり利用したことのない施設や、交流の無かった人(学生、先生どちらも)との関わりが増えたこともよかったことの1つです。
大学院時代の印象に残っている出来事について
学部生のころから知っていた国文学専攻内の各種行事や発行誌の多くに、大学院生が運営としてかかわっているということを知ったときは驚きました。専攻の同級生が少ないためその運営にかかわることも多く、会場の確保や各所への告知、外部講師の方々とのやり取りなどは新鮮な体験でした。加えて院生の先輩方がこのような苦労をしていたことを思えば前からもっとそういったイベントに積極的に参加していれば、とも思いました。
現状諸般の事情もありイベントの開催も以前通り活発に、とはいきませんが、機会があれば皆様もぜひ積極的に参加していただければと思います。
修了後の進路について
修了後は一般企業に就職します。研究内容とは全くといっていいほど関係ありません。しかし大学院で得た経験は研究に関するものだけではないので、それをどこかで活かすことが出来ないかとも考えています。
受験生へのメッセージ
文系大学院への進学ということであまり世間的にも王道とは言い難い進路で、どうしようかと悩んでいる方もいらっしゃると思います。学部と比較して多少安いとはいえ2年分の学費がかかること、就職するのであれば社会人としてのスタートが遅くなりその分生涯年収が下がること、研究科にもよりますが別段就職に有利になるわけではないこと、簡単に思いつくだけでもこれだけのデメリットがあります。
しかし少しでも研究が面白いな、大学院に行ってみたいなと思ったその気持ちは大切にしてもらいたいなとも思います。これは私見ではありますが、一種趣味として、キャリアなど気にせずにやりたいと思ったから進学して何かを学ぶ、という行為にはその人の「学ぶ」という行為への熱意が現れているのではないでしょうか。
人に「文系なのになんで大学院?」と問われたときに、胸を張って「やりたかったから!」と答えて、研究内容を滔々と語ってあげる、そんな状況をカッコいいと思える人はぜひ熟考の上で進学を検討してみてください。応援しています。
※この記事は、2022年3月時点の内容です。
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