大学院

【究める vol.74】在学生の声(文学研究科 仏文学専攻)

2022年01月19日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
今回は、文学研究科 博士前期課程 仏文学専攻の在学生(2021年度入学)のみなさんからのメッセージをお届けします。「大学院進学を決めた理由」や「大学院での授業の様子」、「進学してよかったこと」など、貴重な生の声がたくさん載っていますので、ぜひご覧ください。

伊藤 椋(いとう むく)さん

<研究内容>

伊藤さんは、19世紀後半の作家であるモーパッサンを研究しています。登場人物や情景描写に注目しながら、作品の考察を深めているそうです。モーパッサンと同時代の作家や芸術家との交流にも関心を広げています。

1.大学院進学しようと思ったきっかけや、理由を教えてください

私は、元々大学院に進学するつもりはありませんでした。学費の負担や、今後の展望を考えたとき、それほど進学する利点を見つけられなかったからです。しかし、私におとずれたいくつかの変化が、大学院進学を決定的なものにしました。

一つ目は、大学4年時の7月に偶然遭遇した、一冊のフランス文学の小説でした。日常的に読書を好む一方、フランス文学の内容のやや難解な点、とりわけ翻訳の読みづらさは私の読書欲を刺激しませんでした。フローベールの『感情教育』も同様に、漠然と読んでいました。ところが、作品後半の内容に心を打たれ、衝撃が走り、フランス文学の魅力を肌で感じました。それから、自分の将来の進路は、フランス文学に携わることだと確信しました。

二つ目は、卒業論文を執筆したことです。卒業論文を書き終えた達成感ではなく、執筆していた期間が非常に有意義でした。一つの作品に長期間向き合い、読み返し、考え続けた背景が、日に日に私をフランス文学の世界へと押し進めていきました。同時に、指導教授の親身な指導、進路の助言をしてくださった点も私にとって貴重でした。

この二つの経験を通して、私がフランス文学に深々と身を置ける環境は、大学院という考えに至りました。大学院は、作品を精読し考え続けるために非常に適した環境だからです。フランス文学の熱意が芽生えたために、前述した大学院に対する後ろ向きな考えは、あまり重要性をもたなくなりました。以上が、私の大学院進学のきっかけです。

2.授業についてはどうですか? 

5つの授業を履修しています。4つは自分の専攻のフランス文学に関する授業です。残り一つは、学術的な文章を書くための技術を学ぶ授業です。フランス文学の授業は、翻訳ではなく、フランス語の文章を軸に精読しています。学部の授業より、深く、細部までテクストを掘り下げていきます。扱うテクストも難解なので、それなりのフランス語の知識と、十分に予習をする必要があります。予習の内容は、指定された箇所のフランス語の文章を読み、語彙の確認、文構造の把握、内容の考察など様々です。四苦八苦しながらも、自分の考えを先生や他の学生と交換し合う場は非常に有意義で刺激的です。

3.先生方の印象について教えてください

どの先生も非常に親身な指導をしてくださっています。先生方の膨大な知識にはたびたび圧倒されます。先生方の話も興味深い内容であふれています。授業中、同じ文章を読むと、私が考えもしない意見を述べます。理路整然としているため、納得させられることが多いです。

4.大学院に進学してよかったと思う点を教えてください

自分が興味をもつ分野を存分に学べる点です。考えたことを文章にしてアウトプットする機会も増えました。学部在学時よりはるかに、自分の考えを見つめ、深めることができています。私とフランス文学との距離も近くなりました。以前より、文章を見つめ、寄り添う意識をもてているからだと思います。そして、作品に触れる喜びをかみしめながら日々を過ごせています。今日はどのような文章を読むのか、自分は何を感じるのか、楽しみと若干の緊張が織り交じった感情が私を占めています。大学院に進学したことは、私にとって類なき選択だったと実感しています。

 

関連ページ(文学部フランス語文学文化専攻(語学文学文化コース)HP)

 

若林 範子(わかばやし のりこ)さん

 

<研究内容>

若林範子さんは、近代以降の陶芸を中心とする工芸や美術史に関心を持ち、戦後の日仏の陶芸の交流についての研究に取り組んでいます。

1.大学院進学しようと思ったきっかけや、理由を教えてください

私は学部生だった頃、所属していた陶芸サークルや課外活動で多くの時間を過ごしました。同じ趣味を持つ仲間と出会えたことや、彼らと過ごした時間はとても楽しく、それはそれで大学生だからこそ出来た経験だったと思います。しかし一方で、就活の時期になっても、今の自分が社会に出て、いきいきと働くイメージが出来なかったことが、正直にいうと、進学を考えたきっかけの一つです。

学部で受講した美術史の授業は、入学前までの美術鑑賞のイメージを覆すものでした。そこには作品を見た時の主観的な好き嫌いを超えた、膨大でゆたかな世界が広がっていました。卒業後の進路を考えたときに、学術的に美術と対峙できる大学という場がいかに恵まれているかを意識させられ、執筆した卒業論文より一歩踏み込んだ研究に触れることで、自分が生きていくのにきっと役立つ力を身につけたいと思い、進学を決めました。

2.大学院の受験のために、どのような情報収集をし、誰かに相談しましたか?

進学するなら当時ゼミの担当教員であった教授の研究室で学びたいと考えていたので、はじめはその教授に進学を視野に入れていることを伝え、ガイダンスの案内などをしていただきました。両親には就活の時期になってから相談しました。

3.授業についてはどうですか?

週に4コマ履修しています。さらに、聴講生として、学部の2つの授業に参加しています。大学院の授業は少人数なので、教授とのやりとりや研究の過程を発表する機会も多いです。与えられた課題をこなすだけではなく、自分から積極的に研究する意思が必要になります。教授は、学生が主体的に参加しようとする限りは、どこまでも親身に指導してくださいます。

 

関連ページ(文学部フランス語文学文化専攻(美術史美術館コース)HP)

 

石渡 遼(いしわたり りょう)さん

 

<研究内容>

石渡遼さんは、学部生の時に卒業論文で論じた画家フィンセント・ファン・ゴッホを大学院でも引き続き研究しています。とりわけゴッホのフランス時代に注目し、学部の時は色彩について考察しました。大学院ではゴッホと日本の関係について調べ、日本から何を吸収し、作品に反映させたのかについて考察しています。

1.大学院進学しようと思ったきっかけや、理由を教えてください

コロナウイルスの影響もあり、やりたいことのために就職するというよりは、ただ就職することがゴールのようになっていました。そして、改めて今後のことを考え、自分にできることを増やしたいと思い、専門的な知識を身につけるべく大学進学を希望しました。

2.大学院の受験のために、どのような情報収集をしましたか?

過去の問題を大学院事務室から取り寄せて、フランス語と美術史の問題傾向を把握するなど、入学試験に関する情報を集めました。

3.授業についてはどうですか?

授業は週に4つ履修しています。美術史の授業は、出された課題を自分で調べ、授業内で発表するという形式のものとなっています。学部生のころと比べると、課題の量が増えたため大変ではありますが、知識がしっかりと定着していると感じることができ、「知る」ということが更に楽しくなりました。

先生方の印象について

通常の授業に加え、研究に関する相談にものっていただき、丁寧に指導してくださっていると感じています。先生方の持つ知識や経験など、多くのことを学ばせていただいています。

 

関連ページ(文学部フランス語文学文化専攻(美術史美術館コース)HP)

 

※本記事は、2022年1月時点の内容です。

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