大学院

〈Focus〉大学院に進学するメリットと大学院の種類について

2021年12月01日

大学院への進学を検討している人の中には、大学院を修了した後の進路が気になったり、就職して社会人経験を早く積んだ方がよいのか悩んだりしている人もいるのではないでしょうか?

 

大学院への進学は、これからの進路・キャリアに大きく影響を与えるため、慎重に決断することが大切です。そこで本記事では、大学院に進学するメリットやデメリット、大学院の種類を紹介します。

大学院に進学するメリット

初めに、大学院に進学する主なメリットを3つ紹介します。

整った環境のなか研究に励むことができる

大学院では、整った研究環境の中、高い専門性を持つ教員のもとで、集中して研究活動に励むことができます。

大学院の授業は、学部の授業に比べて専門性が高くなります。専門性の高い講義・演習で学び、よりよい研究環境のなかで自分の研究に没頭し、専門性を深めることができるでしょう。また、同じ分野に関心を持つ他の大学院生と交流することで、研究における新たな視点を獲得することにもつながります。

専門性の高い職に就きやすくなる

専門性の高い職に就きやすくなる点もメリットです。職種によっては、修士号・博士号の学位を取得していないと採用にエントリーすることができない場合があります。例えば、大学教員や研究機関の研究員などが代表的です。

最近では、私立の中学・高等学校の教員でも修士号以上の取得を求めているケースもあり、国連やOECD、WTOといった国際公務員(国際機関職員)の募集では、専門領域に則した修士号以上の高い学歴が求められます。

さらに、修士号・博士号の取得を絶対としない企業に就職した場合でも、就職後のキャリアアップで優位になる場合があります。特にIT系や外資系企業では、課長や部長などの役職に社内公募の手続きが取られる際に、候補者がどのような知識を有しているか、どのような学位を持っているかなどを元に選考が行われることがあります。

また、企業で一定程度の就業経験を積み、管理職や経営陣に加わる際には、その業種の専門性や実務経験に加えて、会計や経営、マーケティングなどの高度な知識が求められることがあります。

ただし、大学院を修了しても大学院で学んだ専門性を活かせる職に必ず就けるとは限りません。特に文系では、大学院で学ぶような専門性の高い知識やスキルを必要としていない企業も多く、専門性があっても直接的には採用につながりにくいケースもあります。

一方の理系の場合、大学院修了以上の人材向けに研究職や開発職を募集している企業はありますが、数は限られています。多くの大学院生と少ない採用枠を取り合うことが予想され、倍率が高く狭き門となることが多いです。

よって、大学院で学んだ専門性を活かせる職に就くためには、幅広い業種や職種を視野に入れることが大切です。高い専門性だけでなく、社会の中で多様な人々と仕事をしていくために必要な能力や自身の強みもあわせて磨く必要があります。

初任給が高い

大学(学部)卒業者より大学院修了者の方が、初任給が高く設定されている傾向があります。大学院での学び・研究を通じて、専門性はもちろん、論理的思考能力や分析能力などを高めている個人を採用しているからです。

厚生労働省が行った学歴別にみた初任給の調査によると、大学卒業者の平均は21万200円であるのに対し、大学院修士課程(博士前期課程)修了者の平均は23万8,900円です。このように大学院卒だと、初任給が約3万円もの差がつく可能性があります。

参照:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況 学歴別にみた初任給

社会人経験は早めに積んでおくべきか?

大学を卒業してすぐに就職した人と比べ、約2年ほど社会に出るのが遅れることを気にしている人も多いでしょう。しかし、大学院で研究に没頭し、より深い学びを得ることは大切な財産であり、この先の人生において有益となるはずです。

さらに、高い専門性のある知識を身につけるだけでなく、高い論理的思考能力や分析能力、プレゼンテーション能力など、さまざまな能力を高めることができるのが大学院での学びのよさでもあります。

大学院修了者の初任給が高いのは、こうした大学院での学びによって得られる知識や能力に対する企業からの評価であるとも言えるでしょう。

大学院の種類

大学院には主に2つのタイプがあります。それぞれの大学院で目的やできることが異なるので、それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。

大学院

一般的な大学院は、研究者や大学教員として研究活動に取り組む高い研究能力と、その基礎となる学問的な知識を養うことを目的としています。また、研究者や大学教員を目指す人だけでなく、国際機関、国内の公的機関、その他民間企業において高度な能力を用いて職務に従事することを目指す人が、必要な知識や能力を修得する場でもあります。

他大学の大学院への進学については、こちらの記事で詳しく解説しています。

専門職大学院

専門職大学院は、従来の研究者養成を目的にせず、高度で専門的な職業能力のある実務家を養成する大学院(ロースクール(法科大学院)やビジネススクールなど)です。現場での問題解決を図るために、必要な知識と技能の獲得を目指した教育が行われます。

例えば、法科大学院は、法曹(弁護士、裁判官、検事)として従事するのに必要な実務に結びつきのある専門性の高い知識や能力を培うことに特化しています。そして、法科大学院を修了することで司法試験の受験資格を得ることができます。

まとめ:大学院に進学するなら目的を明確に!

今回は、大学院に進学するメリットやデメリット、大学院の種類を紹介しました。大学院の進学を検討するときには、自分の将来も見据えながら進学の目的を明確にする必要があります。大学院でどのような専門性を身につけ、修了後にどのようなキャリアを歩みたいのかを予め考えることが大切です。

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