大学院

【究める vol.49】修了生の声(法学研究科 博士前期課程)

2021年04月14日

坂口 滉季さん(法学研究科 博士前期課程 2020年度修了)

 

坂口 滉季(さかぐち ひろき)さん

2020年度に法学研究科 博士前期課程 政治学専攻を修了しました。

ご自身の研究内容を中心に、学生生活をはじめ
大学院における研究活動について詳しくお答えいただきました。
大学院に興味のある方はぜひご覧ください。

大学院時代の研究について

大学院入学当初は核兵器の問題についての比較政治的検討を予定していました。しかし大学院入学後、核兵器の問題について考える中で、核戦略を支えるインフラとしての宇宙アセット(人工衛星などの宇宙に関連する一連の資産)の重要性に気付き、またその役割が近年、急速に変化していることを知り、それらに興味を覚えました。更に調べていくと、海外では、この分野の研究がかなり進展していること、日本は宇宙開発における先進国・大国の1つとして高度な技術を持っているにもかかわらず、国内での研究がほとんどないことを知りました。そこで、宇宙と国際政治、安全保障を博士前期課程での検討課題としました。

1年次は研究資料の収集を中心に行い、邦語文献だけでなく、英語文献、具体的には各国政府の公開文書、シンクタンクによる分析資料、主要な海外研究者による論文等を広く検討しました。また大学院の授業では国際法など関連する科目を履修し、その中で研究に必要な技能と幅広い知識を涵養できました。

2年次に上がる前後には、これまでに修得した基礎知識をふまえて、まずは宇宙開発にどのような変化が起こっているのかを包括的に検討する必要があると認識して研究を本格的に始めました。宇宙開発における変化の中で、最も明白なものとしては、地球軌道上に存在する人工衛星の破片などの宇宙ゴミ(スペースデブリ)の増加があると考え、まずはそこに焦点を当てて研究しました。このときの研究成果は、『大学院研究年報』(中央大学の大学院が発行する研究雑誌)の第50号に「政治的問題としてのスペースデブリ問題‐宇宙開発の新たな時代的区分の検討‐」として載っています(大学の機関リポジトリから閲覧できるようになるはずです)。

2年次の後半は、もっぱら修士論文の執筆に取り組みました。修士論文(「宇宙開発をめぐる変化と、安定的宇宙利用のための国際的取り組み」)では、宇宙開発における変化を「宇宙の軍事利用の拡大」「宇宙の商業化」「宇宙の混雑化」に位置づけ、具体的な検討を行うと共に、これら変化の相互の関係を検討し、国際社会が変化に対応して行なうべき取り組みについて考察しました。

ご自身にとって大学院はどのような場でしたか

第一には研究の場です。中央大学大学院は少人数であり、教員から手厚いサポートを受けることが出来ました。また大学院図書館や情報自習室などの各種設備、文献センターなどの研究支援体制が整っており、充実した研究生活を送ることができました。

日常の授業でも教員との距離は近く、こちらの興味関心や研究テーマに合わせて、授業内容はかなりの柔軟性がありました。また、授業の成果が研究に直接結びつくため、やりがいもありました。

さらに、少人数で利用する共同研究室は同級生や先輩との交流の機会を与えてくれました。そこでの交流で、研究に当たってインスピレーションを得ると共に、切磋琢磨する良い機会になりました。

大学院時代の印象に残っている出来事について

大学院生活のメインとなる修士論文の執筆が最大の出来事でした。コロナ禍という状況もあり、基本的には自宅で資料分析と執筆とを行うことになったのですが、オンラインで先生方から個別の指導を受けることができ、様々な示唆を受けました。

学外での研究会や、学会などにも出席する機会がありましたが、研究の最先端の状況や、他の研究者がどのように研究を進めているのか、何に着目しているのかを知ることができました。それらで得ることができた知見は研究に当たって大いに参考になりました。

修了後の進路について

中央大学大学院の博士後期課程へ進学することになりました。修士論文を引き継ぎながら、検討範囲の拡大と更なる理論化などを進めたいと思っています。

受験生へのメッセージ

大学院での研究は、研究計画の策定に始まって、資料の収集や分析を行い、その成果は論文の執筆を通してはっきりと可視化され、教員による審査を経て学位へと繋がります。この「(数年間を要する)1つのプロジェクトを計画から実施までを1人でやり通す」という体験は大学院以外ではなかなか出来ないことです。その経験は、社会に出てからも役に立つと思います。

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