大学院

【究める vol.47】修了生の声(商学研究科 博士前期課程)

2021年04月05日

儀間 かのんさん(商学研究科 博士前期課程 2020年度修了)

 

儀間 かのん(ぎま かのん)さん

2020年度に商学研究科 博士前期課程 商学専攻を修了しました。

税理士になることを目指して税法を専攻する儀間さんに
ご自身の体験を通じて考える大学院での研究の意義を伺いました。

中央大学大学院商学研究科進学までの経緯

中央大学商学部に在籍していた私は、学部生時代、中央大学大学院商学研究科の先生方の税法の講義を受ける機会がありました。以前までの私は、アカデミックな税法の世界と実務の世界の間には隔たりがあると思っていましたが、その講義をきっかけに、応用力のある実務家になるためには、本質を厳密に理解しようとするアカデミックな観点が重要だと考えるようになりました。そこで、そのような講義してくださった先生方の下で、より発展的に税法を学びたいと思い、中央大学大学院商学研究科への進学を決めました。

大学院での生活

中央大学大学院では、学生にも研究室が割り当てられます。同じ研究室の友人は、忙しい中でも、研究に煮詰まる私が相談すれば自分ごとのように一緒に考えてくれました。時には議論をし、時には研究の一助となるアドバイスをくれ、研究という孤独な時間の中で、同じ分野を研究する友人の存在は大きな支えでした。同じ志を持つ、尊敬する友人たちと出会えた大学院生活は学問以外にも得るものが多かったと感じています。

大学院での研究

学部生の頃の私は、与えられた問題に知っている知識を答えることしかできませんでした。しかし、大学院では、用意された答えはなく、自らの問題意識がないと研究は始まりません。多くの学者が真理の探究を重ねてきた学問の世界で、自ら問題意識をもち、そしてその答えを出すことは困難である、と初めは思っていました。そんな思いを抱きながらも先行研究をひたすら調べ、多くの論文を読みました。そのうちいつの間にか、その弱気な思いは消えていました。どんなに研究が進んでも白黒はっきり断定できる答えはないということに気付いたからです。今、目に見えている「正解」と言われるものも、そこに辿り着くまでの過程において、まだまだ解決すべき点が往々にしてありました。そこに研究の意義を見出せるようになってからは、問題意識も自ずと生まれました。

私は、租税法上における社会通念の位置付けに関する研究を行いました。その問題意識を洗練させていくには、決して自分のテーマについての文献を読むだけでは十分ではありませんでした。大学院での税法一般の講義や演習、友人の発表を聞いたりすることで、抽象的だった問題意識が段々と明確に具体的になっていきました。また、実際に修士論文の執筆にあたって用いた手法である税務訴訟の判例研究は、大学院の演習でかなり鍛えられました。もう一つ、自身の問題意識を探究する手法として他分野である法哲学からのアプローチを用いました。他分野を専攻する友人との交流や論文を読むことにより、専門は違えど研究の根底にあるものは同じだと感じることがあったためです。そこで税法と法哲学の接近を試みました。

研究をする中で不思議だなと感じたことがあります。知れば知るほど自分が何も知らないことに気付かされることです。これは、以前までの、学問に対し受け身であった頃には決して感じることのない感覚でした。研究を進めれば進めるほど、自分の研究が不完全だと自覚することになるのです。それでも報告の日が迫ってくる研究生活はなかなか大変なものでしたが、どうにか折り合いをつけながら少しずつ進めていきました。そうしていくうちに問題意識に対する自分なりの答えが出せてきたように思います。

受験生へのメッセージ

自分自身が心から知りたい、答えを探求したいと思えるものに出会えた大学院生活は、たった二年ではありましたが、私のこれからの人生の指針になったと思っています。そして学問と真剣に向き合うことによる苦悩は、私自身を大きく成長させました。大学院への進学を希望し、これから研究をする方々も、きっとそのような場面に出合うことになると思います。学問と真摯に向き合う環境は、中央大学大学院に整っています。この拙稿がみなさんの進路選択や、研究生活のご参考になれば大変嬉しく思います。

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