「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
現役大学院生に院生生活や研究についてお聞きする連載「大学院生の生活」。今回は、法学研究科 国際企業関係法専攻 博士後期課程2年の田村 侑也(たむら ゆうや)さんにお話を伺いました。田村さんは本学の博士前期課程を修了し、現在は、博士後期課程に在籍しています。博士前期課程の頃と博士後期課程の現在の過ごし方について教えていただきました。
田村 侑也 さん
研究科:法学研究科
専攻:国際企業関係法専攻
課程:博士後期課程2年
研究テーマについて
外国人投資家とその投資受入国との間に生じる投資に関する紛争の解決手段(Investor-State Dispute Settlement: ISDS)の一つである投資仲裁(Investment Arbitration)について、国内裁判所における仲裁判断の承認・執行手続に焦点を当てた研究をしています。投資仲裁件数の増加に伴い、自己に有利な仲裁判断を得た当事者(主に投資家側)が、その内容を強制的に実現しようとする場面が増えています。多くの場合、そのような手続は各国の国内裁判所において行われます。実際の裁判例を分析の対象として、投資仲裁判断の承認・執行の場面での国内裁判所の権限を明らかにすることが研究の目的です。また、日本も投資協定を多数締結しており、日本企業による投資仲裁の利用も近年見られるようになってきました。各国の国内裁判所の裁判例の分析を通じて、我が国での投資仲裁判断の承認・執行手続について、示唆を得ることができるとも考えています。
博士前期課程を振り返って
まずは博士前期課程の頃の過ごし方について、1週間および1日のスケジュールを伺いました。
◆1週間のスケジュールについて
午前 | 午後(昼) | 午後(夜) | |
---|---|---|---|
月 | 研究 | 授業 | 研究 |
火 | 研究・TA | 授業 | 研究 |
水 | 授業★ | 研究 | 研究 |
木 | 授業 | 授業 | 研究 |
金 | 授業★ | 授業 | 自由 |
土 | 自由 | 自由 | 自由 |
日 | 研究 | 研究 | 自由 |
<Pick Up!>
★授業(水・午前)
前期課程1年次では、同じく国際経済法を専攻する中国人留学生の同期2名と、指導教授による研究特論を履修していました。それぞれのテーマはもちろん異なりますが、定期的に研究の進捗を報告し、またアドバイスしあうこともでき、良い刺激を得ることができました。
★授業(金・午前)
中央大学大学院では、他大学大学院での科目履修・単位認定も可能です。私は首都大学院コンソーシアムによる単位互換制度を利用して、週に一度、他大学で専門科目の履修を行いました。この制度を通じて、他大学の院生の方と交流することもできました。
◆1日のスケジュールについて
~6:00 | 睡眠 |
---|---|
6:00~7:00 | 朝食 |
7:00~9:00 | 通学 |
9:00~11:00 | 研究 |
11:00~13:00 | 授業★ |
13:00~14:00 | 昼食 |
14:00~16:00 | 研究 |
16:00~18:00 | 授業 |
18:00~21:00 | 研究 |
21:00~23:00 | 通学 |
23:00~24:00 | 夕食 |
<Pick UP!>
★授業
法学研究科では、英語で履修できる科目が複数設置されています。私が履修した外国法研究科目では、米国連邦最高裁判所の近時の判決を素材として、日本法との比較も含めた、活発な意見のやり取りがなされました。また専攻の垣根を超えた履修が可能なため、他分野の院生の方との議論もでき、充実していました。
現在(博士後期課程)の過ごし方について
続いては現在(博士後期課程)の過ごし方について、博士前期課程と同じように1週間および1日のスケジュールについて例を挙げていただきました。
◆1週間のスケジュールについて
午前 | 午後(昼) | 午後(夜) | |
---|---|---|---|
月 | 研究 | 研究 | 研究 |
火 | RA★ | 研究 | 研究 |
水 | RA | RA | 授業・研究指導★ |
木 | 研究 | 研究 | 研究 |
金 | 研究 | 研究 | 研究 |
土 | 研究 | 研究 | 自由 |
日 | 自由 | 自由 | 自由 |
<Pick Up!>
★RA(火・午前)
後期課程では、中央大学が有する各研究所のリサーチアシスタント(RA)になり、資料収集といった研究活動の補助業務につくことが可能です。私は日本比較法研究所の共同研究グループ「国際関係法(私法系)の基本問題の研究」に所属し、RAを行っています。
★授業・研究指導(水・午後)
研究の進捗を報告し、論文執筆や学内外の研究会報告などについてアドバイスを受けます。指導教授とのやり取りを通じて、考えを整理し、また自身では見えていなかった論点・課題を発見することができるので、研究を進める上では不可欠な時間です。
◆1日のスケジュールについて
~1:00 | 自由 |
---|---|
1:00~7:00 | 睡眠 |
7:00~8:00 | 朝食 |
8:00~9:00 | 自由 |
9:00~11:00 | RA |
11:00~12:00 | 研究 |
12:00~13:00 | 昼食 |
13:00~20:00 | 研究 |
20:00~21:00 | 夕食 |
21:00~22:00 | 自由 |
22:00~24:00 | 研究★ |
<Pick Up!>
★研究
昨今、COVID-19の感染拡大もあり、国内外の研究関連イベントの多くがオンラインで行われるようになりました。時差の関係で難しいこともありますが、自身の研究分野に関する海外の大学・研究機関によるシンポジウム等を時折聴講して、昨今の動向を把握するようにしています。
受験生のみなさんへ
中央大学大学院法学研究科では、広い視野を持った研究を行うことが可能です。分野の垣根を超えた科目履修や、外国人留学生・社会人大学院生といった異なるバックグラウンドを持つ方々との議論、また日本比較法研究所が招聘する外国人研究者との交流等は、自身の研究にとって重要な「気づき」を幾度も与えてくれました。なによりも、指導教授をはじめとして、いつも熱心に指導してくださる先生方こそが、法学研究科の最大の魅力であると考えます。
※この記事は2020年12月時点の内容です。