大学院

【究める vol.37】大学院生の生活⑤(文学研究科 博士後期課程3年 鈴木 将平さん)

2021年01月12日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
現役大学院生に院生生活や研究についてお聞きする連載「大学院生の生活」。今回は、文学研究科 社会学専攻 博士後期課程3年の鈴木 将平(すずき しょうへい)さんにお話を伺いました。

学生共同研究室の様子

   鈴木 将平 さん


  研究科:文学研究科


   専攻:社会学専攻


   課程:博士後期課程3年

研究テーマについて

専攻は社会学で、医療や科学をめぐる人々の知識や意味付け、社会関係の歴史を研究しています。具体的には、死後に大学病院などへ自身の遺体を提供する「篤志献体」の歴史を対象とし、1950年代に長崎、東京、愛知などで展開した篤志家の運動や、医療や科学を介した身体への多様な意味づけが、1970年代以降に全国的に共通の理念へと再編されていく過程、および医学界の変化などを明らかにしたいと考えています。篤志家の団体で発行されていた会報や、医学系の学会誌、関係者の手記、行政資料といったドキュメント・文献資料の収集と分析を中心としつつ、それぞれの運動が行われた地域や、関連のある土地で現地調査・フィールドワークも行っています。地理的な空間や地域における文化(身体や死に対する観念など)と、医療や科学といった制度との間の関係性や歴史が研究のテーマです。

1週間のスケジュールについて

大学院生として、どのような1週間を過ごしているかについてお聞きしました。

  午前 午後(昼) 午後(夜)
自由 ライティング・ラボ★ 研究
ライティング・ラボ ライティング・ラボ 研究
研究 授業★ 授業
研究 研究 授業
研究 RA業務★ 研究
RA業務 RA業務 授業
自由 研究 研究


<Pick Up!>
★ライティング・ラボ(月・午後)
レポートや論文の執筆について相談ができる学内の施設で、チューター業務をしています。大学院に設置されているアカデミック・ライティングの授業を履修したのちに、チューターに応募することができます。研究分野の専門的な内容ではなく、学術的文章の作成に特化した視点で検討します。学生の相談に乗るなかで、自分の論文や学会発表に活かせるアカデミック・スキルを身につけることもできます。

★授業(水・午後)
現在は、オンラインで授業を行っています。演習形式の授業では、10人程度の院生が研究発表を行います。修士論文、学会誌への投稿論文、博士論文、学会発表や研究計画について、ほかの院生や教員から質問・コメントをもらい、研究の構想をブラッシュアップしていきます。文献購読の授業では、内容の把握だけではなく、当該研究をとりまく社会的な背景や、社会学的な研究上の文脈などを含めて議論し、理解を深めます。

★RA業務(金・午後)
指導教授が主宰している社会科学研究所の研究チームの補助業務を行います。研究会を行ったときの記録作成のほか、共同研究に関わる資料の収集や整理・アーカイブ化、調査の計画や準備などを行います。(博士後期課程のみ)

1日のスケジュールについて

続いては1日のスケジュールについて、具体的に例を挙げていただきました。

~8:00 睡眠
8:00~9:00 自由
9:00~10:00 朝食
10:00~12:00 研究★
12:00~13:00 昼食
13:00~16:00 授業
16:00~17:00 自由
17:00~19:00 自主ゼミ★
19:00~21:00 自主ゼミ
21:00~22:00 夕食
22:00~23:00 研究
23:00~24:00 自由


<Pick Up!>
★研究
先行研究の通読や、収集した資料の分析を行いつつ、アイディアの整理や研究計画の立案・構想を行っています。covid-19の影響でほとんど調査をすることができませんでしたが、手元にある資料を見直したり、中央図書館を利用して、論文の執筆や学会発表をしました。また、必要な資料のリスト化や所蔵先の確認を行い、covid-19が収束したあとの研究のための事前調査・計画などをしています。

★自主ゼミ
大学院で設置されている授業のほか、指導教授とつながりがある学部生(文学部や*FLP生)や、すでに卒業した社会人を含めた共同研究プロジェクトとして、自主ゼミを行っています。具体的には、立川市にある公営住宅で長期にわたって集団的に行ってきた参与観察調査を基盤として、コミュニティや福祉などに関心を持つ学生・院生が集まり、それぞれの関心に沿った独自の調査・研究を行っています。
*FLP:所属学部の枠を越え、系統的・体系的かつ学際的に学ぶことを目的とした大学独自のプログラム

受験生のみなさんへ

中央大学大学院では、先生方や大学院事務室の手厚いサポートのもとで、充実した研究生活を送ることができます。covid-19の影響により、研究生活が孤立したものに感じられるかもしれませんが、ぜひ、図書館やライティング・ラボ、学生相談室などの学内の施設・資源を積極的に活用するとともに、同じく研究をする院生なども含めた「他者」との関係のなかで、自分にとって考えずにいられないような問い・問題に取り組み、多様な視点から新たな認識や理解を作り上げてもらえたらと思います。

 

※この記事は2020年12月時点の内容です。