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【究める Vol.26】文学研究科博士後期課程4年の菊地創さんが学会奨励賞を受賞

2020年11月10日

文学研究科博士後期課程4年の菊地創さんが、令和元年度日本カウンセリング学会奨励賞を受賞しました。

日本カウンセリング学会奨励賞は、日本におけるカウンセリング学に関する学術的研究と実践活動を奨励するために、40歳未満の優れた研究者並びに実践者を表彰し、もってカウンセリング学の発展に寄与することを目的とする賞です。

奨励賞の選考基準としては、独創性や独自性を有する研究・活動を行っており、それらが開発的価値を有することや社会の福祉に寄与すること、さらに一連の活動が質的な面でカウンセリング学の発展に価値を有することが挙げられます。

また、日本カウンセリング学会年次大会での研究発表実績や機関誌への掲載、カウンセリングの実践活動なども選考にあたっての材料となっています。

これらに該当する菊地さんの研究、実践活動は下記のとおりです。

・論文
 菊地 創・富田拓郎.夫婦間葛藤が児童の抑うつ症状に与える影響―児童の家族関係認知を媒介したモデルの検討―.カウンセリング研究,49(2),53-63,2016年.
・学会発表
 菊地 創・富田拓郎.児童の家族関係認知と主張性が抑うつ症状におよぼす効果.日本カウンセリング学会第50回記念大会,東京,2017年9月.
 高橋りや・菊地 創・富田拓郎.大学生1年生のデートDV被害経験と抑うつ・Self‐Compassionとの関連.日本カウンセリング学会第51回大会,長野,2018年9月.
 菊地 創・富田拓郎.行動活性化がキャリア探索に与える影響.日本カウンセリング学会第52回大会,北海道,2019年8月.
・実践活動
 精神科病院、児童相談所などで心理職として臨床実践活動。

 

受賞に際して菊地さんよりコメントをいただきましたので、ご覧ください。

○研究内容(研究分野、対象等)について
 私は、児童期の抑うつと家族要因および防御スキルに関する研究を行っています。児童期の抑うつは不登校やいじめなど、その時点での不適応と関連するだけでなく、青年期以降の精神的健康問題のリスクを高めます。そのため、児童期の抑うつのメカニズムや支援方法を明らかにすることは重要な研究テーマの1つだと考えています。
 私はこれまで、心理士としての臨床活動を通じて、さまざまな家庭環境を抱える子どもたちが困難と向き合い、奮闘し、時に翻弄される姿を目の当たりにしてきました。そのような背景から、子どもたち皆が健やかに成長していくために必要なことを臨床心理学の観点から明らかにしていきたいと考え、研究に取り組んでいます。

○受賞にあたっての思いや今後に向けての思い
 私が本賞を賜りましたのは、学部生の頃からご指導いただき、多様な研究を行う機会と環境を与え、サポートしてくださっている文学研究科教授富田拓郎先生をはじめ、これまでご指導いただいた多くの先生方、そして調査に快くご協力してくださった調査校の諸先生方、児童の皆さま、保護者の皆さまのおかげです。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
 私の研究の出発点と終着点は常に心理臨床の現場にあります。今回の受賞を励みとして、より一層の努力を重ね、実証研究を行っていくとともに、心理臨床の現場に根差した研究者として、その成果を心理臨床の実践に還元していきたいと考えています。


日本カウンセリング学会 学会各賞受賞者
https://www.jacs1967.jp/activity/winner