大学院

【究める Vol.6】教員紹介 薮田雅弘(経済学研究科)

2019年07月12日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。第6回は経済学研究科の薮田雅弘教授にお話しを伺いました。


経済学研究科

薮田 雅弘 教授

やぶた まさひろ

教員紹介


専門分野 

公共政策、環境経済学、観光経済学


担当科目 

演習Ⅰ・Ⅱ(公共政策)

公共政策Ⅰ・Ⅱ

特殊研究(公共政策)


先生の学生時代

院生時代のテーマは「所得分配論」でした。生産関数から考える完全配分の考え方は、モデルの仮定が非現実的で、なにかしら、しっくりこないものがありました。今でも、その問題が解けたわけではありませんが、問題を残したまま時間だけが過ぎている感じです。


尊敬する人物

大学時代の恩師ですね。いまの、研究、教育スタイルの基礎を教わったと思います。

(なかなか到達できませんが…)


趣味・特技

音楽が好きです。作曲もしますし、自分でもエレクトーンを演奏します。

(最近は少し機会が少なくなっていますが…)


指導学生から紹介します!

   薮田先生は、大変お忙しい中、学生に対して非常に時間を
  割いて向き合ってくださる先生です。
  学部生で研究のことをよく分からなかったころから、
  真剣に向き合い、教え導いてくださいました。
  私の尊敬してやまない先生です。

(博士課程後期課程2年 Tさん)

授業風景

研究テーマ

経済学の伝統的な分析枠組みは、どちらかというと市場機構や政府の機能に関係したものが主流でした。これに対して、市場の失敗という視点から公共政策を考える場合に、市場でもなく、政府でもない、いわゆる第三の道である「共」すなわち地域の共同(コミュニティ)を軸に問題への施策や対応を考えるアプローチがあります。この方法論は、ノーベル経済学者であるE.Ostrom教授によって展開発展されてきたものです。これは、コモンプールアプローチと呼ばれていますが、私は、公共政策を考える場合、すこし広い範囲を視野に入れて、主に地域の経済社会の問題を考えています。最近では、この方法を観光経済に応用して研究しています。もっぱら観光発展や観光成長という「光」の部分のみならず、観光がもたらす「負」の部分に焦点を当てて研究を進めています。

論文・著書・学会発表


・『観光経済学の基礎講義』九州大学出版会(共編著)、2017年。

・「エコツーリズムと環境保護」『環境政策の新地平』岩波書店、2015年。

・『コモンプールの公共政策』新評論、2004年。

・「コモンプールと環境政策の課題」『計画行政』(共著)Vol.18、No.4、1995年。


・Applied Analysis of Growth, Trade, and Public Policy(共編者)Splinger, 2019.

・Structural Changes of the Electricity Market in Japan : A Theoretical Perspective of  

 Consumers’ Eco-friendlyBehavior( 共著)IERCU Discussion Paper, pp.1-27.2012.

・“ Dynamic Property of a Tourism Destination Network,” Tourism Analysis, Vol 16, No 4,

 493-498 2011 (with Noel Scott).

・“ Is a Consumer an Ecotourist? A Theoretical Framework for Empirical Research on

 Tourists’Behaviour as Consumers,”(with Noel Scott, Forthcoming as a refereed research

 paper for the CAUTHE conference in Adelaide February 2011)

最近のトピックス

直近では、博士課程の院生と博士課程を修了した修了生との共同研究と、私が編集者となり取りまとめたものがあります。前者は、農水省の農林業センサスデータをもとに、農村集落の変容過程と農村の地域資源の利用、ならびに所得や生産などのアウトプットとの関係はどのようなものであるか、を中心に研究しています。加えて、グリーンツーリズムなどの展開との関係についても定量的に分析を行っています。後者は、「あたらしい観光の姿―地域の持続可能な観光と政策」という冒頭言を書かせていただいたもので、私と博士課程2年の院生高尾美鈴さんとの共著を含む研究論文5本を編集し、この9月に『計画行政』誌において発行予定のものです。

受験生のみなさんへ

公共政策に関する研究にとって最も重要な点は、「何が問題であるか」という点であり、また、「その政策的な意味は何か」を明確にすることです。そのために、日々、アンテナを立てて情報収集にいそしむことが重要です。研究室で、大いに議論し問題を整理する作業を行いましょう。

※掲載内容は2019年7月18日時点のものです。