中央大学について

浮世絵展示を活用したアクティブラーニング

【取組概要】

本取組では、浮世絵に造詣が深い専門的知識を有する学芸員の教育的な指導のもとで、講義と展示(実習活動)を有機的に関係づけたアクティブラーニング環境を構築することによって、学生に多様な学びの機会を提供します。
本取組を通じて、アクティブラーニングでの学びによって、学生が従来の座学では得られない多様な知識や能力を獲得し、グローバル社会に通用する人材として成長・発達するという直接的効果、浮世絵展示を参観した学生が、伝統的で固有な自文化としての浮世絵の価値を認識し、海外での自文化発信のツールとしてデジタル化された浮世絵を利用するという波及的効果が期待されます。

【取組実績】

 本取組は2016年度から2018年度までの3年にわたり実施された。平成28年度には文学部提供課外プログラムとして「実践的浮世絵学」を設定し、正規外の授業の活動として位置づけて本事業を推進することとした。受講生は10人だった。「実践的浮世絵学」の最終目標である学生主導による浮世絵展示会に向けて、公益財団法人平木浮世絵財団の現職の学芸員2名の指導のもと、同財団から借り受けた江戸から明治にかけての浮世絵40点余りの浮世絵の中から22点を学生が選び、「浮世絵美男美女競(ミス・ミスターコンテスト) あなたはダレ推し?」というテーマのもとに、ちらし、ポスター、パンフレットを作成した。それぞれの浮世絵についての説明文章(キャプション)も、学生が考証をしつつ書いた。浮世絵の額入れ(額装)、展示会場への設置などの作業も学生自身がおこない、展覧会会期中の受付も交代で担当した。展覧会は、2018年1月26日から31日の5日間(日曜日を除く)実施し、249人の来場者があった。
 2017年度は、2016年度の活動内容を引き継ぐ形で、「実践的浮世絵学」を開講した。受講生は17人だった。平木浮世絵財団の現職の学芸員2名に指導をお願いし、少人数の授業により浮世絵の知識を深めると同時に、学生自身が展示を企画し、実現までの工程を自ら実践していった。9月より実際の授業を開始し、浮世絵の歴史・種類、絵師の系譜、採寸の方法、調書の取り方などを学んだ後、平木浮世絵財団が所蔵する美術品としての浮世絵(40点余り)の採寸ならびに各自の分担(2点ずつ)の作業をおこなった。11月以降は、実際に展示する浮世絵の選択(テーマ設定)、解説文の作成、案内チラシ・ポスターの作成などの作業をおこなった。2017年度の展覧会テーマは、「浮世めぐり ~江戸からはじまる名所道中膝栗毛」だった。チラシ、ポスター、パンフレットは、パソコンを用いて作業をおこない、12月中旬にポスターとチラシの原稿を印刷所に入稿した。また、実践的浮世絵学のTwitterを新しく立ち上げ、展覧会に向けての広報を積極的におこなったほか、八王子市広報のイベント欄にも掲載を依頼し、2018年1月15日発行の広報に掲載された。プレスリリースをおこなったところ、八王子FM(2018年1月29日)とケーブルテレビJ・COM(2018年2月2日)から取材を受け、オンエアされた。展覧会は、2018年1月30日~2月4日の6日間実施し、324人の来場者があった。
 2018年度も、これまで2年間のやり方を踏襲しつつ、さらに発展させる形で「実践的浮世絵学」を開講した。受講生は、15人だった。これまでは9月から行われていた「実践的浮世絵学」の事前学習として、6~7月に計8回の講義を本計画の担当教員である都筑学文学部教授がおこない、浮世絵に関する基礎的な知識(浮世絵の歴史・種類、絵師の系譜、採寸の方法、調書の取り方など)を講義した。9月からは、例年通り浮世絵展の実施に向けての授業を開始した後、平木浮世絵財団が所蔵する美術品としての浮世絵(20点余り)の採寸ならびに各自の分担(2点ずつ)の作業をおこなった。学生たちは、平木浮世絵財団の学芸員の指導のもと、会場班、広報班、図録班の3グループに分かれて、連携を取りつつ展覧会準備を進めた。2018年度の展覧会テーマは、「来て! 見て! 遊べる!? 浮世絵横丁 ~あなたの知らないおもちゃ絵の世界」だった。展覧会に向けて、チラシ、ポスター、パンフレットは、パソコンを用いて作業をおこない、12月中旬に原稿を印刷所に入稿した。広報面においては、昨年度立ち上げた「実践的浮世絵学」のTwitterを利用して、展覧会に向けての広報を積極的におこなった。また、八王子市広報のイベント欄にも掲載を依頼し、2019年1月15日発行の広報に掲載された。プレスリリースをおこなったところ、朝日新聞朝刊東京版(2019年1月25日)と東京新聞朝刊(2019年1月26日)にイベント記事が掲載され、ケーブルテレビJ・COMから取材を受けてデイリーニュースでオンエアされた(2019年1月31日)。展覧会は2019年1月29日~2月3日の6日間実施し、321人の来場者があった。
 受講生からは、浮世絵の知識が深まったという意見のほか、展示や企画を学生自らが主体的に行うことに対し、座学では得られない体験をすることができたという意見もあった。