社会・地域貢献

教養番組「知の回廊」2015年度

画像をクリックすると番組がご覧になれます
(一部、権利問題等により、ダイジェスト版のみを公開している番組もございます)。

109

安楽死・尊厳死をめぐる法対応 ー終末期医療の現場からー

現在、我が国は高齢化社会を迎えており、これに伴う高齢者介護の問題や、終末期医療の問題が、重要な課題とされています。医療の進歩により、それまでは助からないとされていた命が助かるようになった反面、末期のがん患者などは、治療困難で耐え難い苦痛にあえぐ人も少なくはありません。終末期において、患者が安らかに眠りにつきたいと考えた場合、どのようにその希望を叶えることが出来るのでしょうか。

現在の日本には、安楽死や尊厳死に関する法律はありません。例えば、アメリカの一部の州では、安楽死や尊厳死をめぐる「死ぬ権利」法案が可決し、現在6つの州が、安楽死を法的に認めています。また、スイスやベルギー、オランダ、ルクセンブルクにおいても、安楽死が合法化されていますが、積極的な自殺幇助に対する大きな批判も出ています。

このような状況のもと、我が国においても、多くの末期患者に接している医師たちは、日々、刑事的な処罰の可能性も想起しながら医療行為にあたっており、臨死介助におけるガイドラインの作成が急務であるとされています。

医療と法律の分野から、専門家の方々にお話を伺い、これからの日本における、安楽死と尊厳死について考えます。

108

「お墓」の民俗学

「お墓」とは何でしょうか?

わたしたちが普段連想するお墓といえば、四角い石塔に「◯◯家之墓」と刻まれた墓石のことでしょう。「唐櫃(カロウト)」などと呼ばれる、納骨室の上に石塔を建て、お盆やお彼岸にお参りをして、線香を焚き、手を合わせ、先祖の霊を慰めるのが、死者に対する儀礼や祭祀であるという認識が一般的です。

しかし、このような現代のお墓のありようは、実はそれほど歴史の古いものではなく、近現代の現象にすぎません。現在でも日本列島各地を歩くと、さまざまな形態の「お墓」に出会います。

たとえば、現在でも、近畿地方を中心に、「両墓制」という学術用語で示されてきた「お墓」が存在していますが、この「両墓制」は、私たちが普段連想する「お墓」とは、明らかに異なる形態を持っています。日本の伝統文化といわれる「お墓」といえども、決して画一的ではないのです。

各地でのフィールドワークに基づいた、民俗学の視点から、日本の「お墓」とは何かを探ります。

107

擬人化・萌えキャラの創造によるICT教育の試み [ 前編 ]

インターネットとは、人と人を『つなぐ』ための技術です。

そこでは利用者の様々な要望に応えるために、多くのIT技術が連携し合いながら、様々なサービスを提供しています。これらの技術は一見、コンピュータ上の0と1で構成される、無機質な電子の世界のように思われますが、実はそれぞれの技術には『個性』と言えるものが備わっているのです。  では、もしもその技術たちに『人格』があったとしたら...?

 このような発想から、ICTと『萌え』を融合させた、IT擬人化プロジェクトが始まりました。ネットワーク技術であるIPやTCPを『萌えキャラ』に擬人化することで、情報通信技術の仕組みを、わかりやすく学んでもらおうという取り組みです。

 日本のクリエイターたちが創造する萌え文化は、世界中から注目されています。クリエイターに命を吹き込まれた萌えキャラたちが、日本の将来を担う、ICT技術者を生み出す可能性さえあるのです。

今回は『擬人化・萌えキャラの創造によるICT教育の試み』前編をお送りします。

106

中央大学ビジネススクール(CBS)が生み出すイノベーション

変化が激しく不確実性が高い、グローバルな経済社会において、企業が存続し、成長していくためには、絶え間なく新しい事業や、ビジネス・モデルを構築し続ける必要があります。現在の企業に求められているのは「イノベーションの創造」である、と言われるのは、このためです。

言うまでもなく、ビジネス・パーソンが新しい何かを生み出せる人材になるためには、後ろ向きに過去の仕事の経験や、成功体験にしがみついているわけにはいきません。一企業の中にとどまっているだけでは、新しい仕事を作り上げたり、新しい仕事に対応できる柔軟な能力を持つことはできないからです。

それでは、どのようにすれば、企業人はそのような新しい何かを生み出す能力を、身につけることができるのでしょうか。そのひとつの解決策を提供しているのが、「ビジネススクール」と呼ばれる社会人大学院です。

今回は、中央大学ビジネススクール(CBS)における、社会人学生の学びをドキュメンタリーで紹介し、ビジネス・スクールにおいて、新しく生まれつつあるイノベーションをご覧いただきます。

105

女も男も輝く社会 フランスの少子化対策に学ぶ

現在の日本では、女性も男性も、自らの能力を活かして、社会や家庭で生き生きとした生活を送る事が望まれています。少子高齢化社会の到来が懸念されていますが、これからは様々な対策を考えなければなりません。

フランスでは以前からこの問題に取り組み、少子化を克服した国として注目されています。フランスがどのようにして女性の能力を活用し、少子化を克服したのかを参考にしながら、日本の社会と少子化問題を考えます。

104

巨大津波と防波堤、そして避難

2011年に発生した東日本大震災によって、わが国における防災のあり方が問われています。先の震災では、地震による被害よりも、津波による被害のほうが甚大であり、2万人近くが犠牲となりました。これにより防波堤や防潮堤などの、海岸沿いの防護施設の存在を、疑問視する声も上がっています。
「防波堤や防潮堤は、本当に効果があったのか?」
「震災後も莫大なコストをかけて、堤防を作る意味があるのか?」

東日本大震災以降、そのような疑問を、多くの人が持ちました。

いま、日本の津波防災のあり方を、考え直す必要に迫られています。 最新の津波工学の知見から、日本における津波防災のあり方を提案します。