社会・地域貢献

教養番組「知の回廊」2013年度

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(一部、権利問題等により、ダイジェスト版のみを公開している番組もございます)。

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『石炭から原子力へ』の半世紀を問い直す
福島県常磐炭田から見直す『資源』の意味

2011年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故から、3年が経過しました。この震災を契機に日本のエネルギー政策は見直しを迫られていますが、エネルギー問題に関する議論は、しばしば原発の要、不要のように単純化されがちです。
かつて、日本の主要エネルギー資源は、石炭でした。黒いダイヤと呼ばれ、明治時代から、貴重な燃料として利用されてきた石炭は、1970年代以降、石油と原子力の推進によって、その座を奪われたかのように見えますが、実は今でも重要なエネルギー資源として利用されているのです。
日本のエネルギー政策の原点は炭鉱です。炭鉱のあった地域の変容を見ることで、私たちは改めて『資源』という言葉の定義を捉え直し、エネルギー問題を再構築することができるのではないでしょうか。石炭は地域に何を残し、原発は地域に何をもたらしたのでしょうか。今回は日本のエネルギー政策による、地域社会の変容を見つめます。

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ジャーナリズム教育がもたらす知の継承
~台湾二二八事件の取材現場から~

1947年2月28日に発生した、台湾二二八事件。
推定死亡者数は最大2万8千人といわれる、台湾全土に拡がった大虐殺事件は、中国国民党による恐怖政治と戒厳令によって、約40年もの間、言論の自由が制限されていましたが、1988年に就任した李登輝総統による民主化が進むにつれて、その実態が明らかにされました。
現在の台北二二八紀念館には、中央大学の学生帽が展示されています。
実は、この事件に巻き込まれた人たちの中には、中央大学など日本の大学で学んだ、本省人エリート達が多かったのです。
事件から65年が経過した2012年、中央大学FLPジャーナリズムプログラム・松野良一ゼミでは、この帽子の持ち主を探すことをきっかけとして、二二八事件に巻き込まれた中大卒業生を調査するためのプロジェクトを発足し、学生たちが台湾へ渡り、受難者家族の方々から直接お話を伺う現地調査を進めてきました。
若い学生たちが台湾の歴史を学び、いまの台湾を歩き、生きた証言をまとめてゆく…。大学におけるジャーナリズム教育は、彼らに何をもたらすのでしょうか。
今回の『知の回廊』は、学生たちによる、台湾二二八事件の取材現場に密着しました。

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「日本ワインの未来」

いま、日本のワイン産業の躍進が始まっています。 
食文化の多様化とグローバル化が進み、いまでは誰もが手軽に、美味しいワインを楽しむことが出来るようになりましたが、かつては、ワインといえば、輸入ワインが主流でした。 
醸造に適したブドウの生産量が少なく、国内でワインを量産するためには、輸入原料に頼らざるを得なかったのです。 
しかし近年、国内のワイナリーで、良質なブドウとワインづくりに取り組む、人々の弛まない努力と、自治体などの支援によって、国産ブドウを100%原料とする、高品質なワインが増えてきています。 
大手メーカーも地域に根差した取り組みを始め、現在、このような良質なワインは、『国産ワイン』とは呼ばれず、『日本ワイン』と呼ばれて、世界的にも高い評価を受けるようになりました。 
国内のワイン消費量は年々増えていますが、日本ワインの品質向上と、さらなる発展のためには、国内のワイン市場の現状を見つめ直し、国や業界全体が、世界に通用する、良質なワインづくりを目指して行かなければなりません。 
今回は、日本におけるワイン産業の現状と、日本ワインの未来を見つめます。

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「あなたが求める働き方は?」

皆さんの理想の働き方とは、どのようなものでしょうか?
1990年代後半から、私たちの働き方は、多様なものへと変化してきました。安定した仕事に就く若者の割合が低下し、現在、大学卒業をしても4人一人は正社員として雇われてはおらず、安定的な雇用機会が少なくなっているというのが現状です。
その一方で、非正規雇用者の割合が増えており、さまざまな問題点を抱えています。正規雇用者との賃金格差。不安定な雇用形態。能力開発の機会に乏しいなど、安価な労働力として企業に利用されているといった声も多く、2008年のリーマンショック以後、いわゆる「派遣切り」と呼ばれた、派遣社員への待遇が社会問題となり、法改正が行われたことは、記憶に新しいところです。
そして2013年、再び、労働者派遣法の見直しが議論されています。正規雇用者が減少し、非正規雇用者が増えてゆく現在の社会で、私たちはどうすれば、幸せな働き方ができるのでしょうか? 今回は、日本の労働問題に迫ります。

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「バイオインフォマティクスによる新薬の発見」

皆さんは、『バイオインフォマティクス』という言葉をご存じでしょうか?これは生物情報科学とも呼ばれ、生物学(バイオロジー)と情報技術(IT)の、ふたつの分野が融合してできた、新しい研究分野なのです。
私たち人間を含むすべての生き物は、生物の設計図とも言われる遺伝子を持ち、DNAの配列によって、生物学的な個性が決まります。人間のDNAは約30億個もの配列を持っていますが、それらをすべて読み解くためには、コンピュータと情報技術の力が必要となります。たとえば、がんやアルツハイマー病などを引き起こす遺伝子をコンピュータを使って特定できれば、その病気だけに合わせた新しい薬を開発することができるのです。
今回は新しい創薬の研究として、バイオインフォマティクスの世界を紹介します。

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「オープンソースソフトウェアを使おう」

 現在、国内で使用されているコンピュータの、およそ3分の1に搭載されているといわれる、マイクロソフト社のOS『Windows XP』が、2014年4月9日をもって、製品サポートを終了すると発表され、大きな波紋を呼びました。 
コンピュータの買い替えや、OSの更新には、多額の費用がかかるため、特に情報処理にそれほどコストを掛けることができない、中小企業や地方自治体にとっては、たいへん深刻な問題とされています。 
一般的に市販のソフトウェアは、無断でコピーしたり、中身を改変して再配布するといった行為は、固く禁止されています。しかしその一方で、最近はそのような制約に縛られない、『オープンソース』と呼ばれるソフトウェアが注目されるようになりました。 
今回は、オープンソースソフトウェアの普及を目指した活動や、そのメリット。企業による導入事例などを紹介しながら、オープンソースソフトウェアの可能性を探ります。