石炭火力発電の代替燃料としての新エネルギーRPFの利用拡大を目指して

埼玉県立浦和第一女子高等学校 SS1-1チーム(2年 金澤 伶)

Ⅰ.はじめに
近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染などの環境問題が起こっている。私がUSのカリフォルニア州に短期留学した際、日本のように無料でビニール袋が配布されることは一度もなく、どの商店でも袋が必要か必ず確認され、提供される紙袋は有料だった。ゴミの分別は日本より細かい。私は日本の環境意識がまだまだ甘いことを痛感した。
2017年12月、中国は環境汚染の問題の深刻化を受け、石油由来製品の原料に利用していた廃プラスチック(以下、廃プラ)の輸入を停止した。それにより世界各国で廃プラが大量に滞留し、不適正な処理が行われる懸念が高まっている。そこで国内資源循環に向けた廃プラのリサイクル体制の整備と、環境負荷を抑えた活用手法の確立が急務であると考えた。

Ⅱ.新エネルギー「RPF」とその特長
「RPF」とは主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙及び廃プラ類を主原料とした高品位の固形燃料で、石炭やコークス等、化石燃料の代替として需要が高まっている新エネルギーである。

  1. 安定した品質
    発生履歴が明らかで選別された産業廃棄物を原料として使用しており、品質が安定している。
  2. 熱量変更可能
    古紙と廃プラの配合比率を変えることで容易に熱量変更が可能である。
  3. 高い熱量
    原料として廃プラを使用しているため熱量が高く、石炭及びコークスと単位発熱量が同等で化石燃料代替として利用可能である。
  4. ハンドリング性が良い
    RPFは固形で密度が高い為、コークス、粉炭等と同等の利便性があり、貯蔵にも向いている。
  5. ボイラー等燃焼炉での排ガス対策が容易
    品質が安定し、不純物混入が少ないため、塩素ガス発生によるボイラー腐食や、ダイオキシン発生がほとんどない。硫黄ガスの発生も少なく、排ガス処理が容易である。
  6. 他燃料に比較して経済性がある
    石炭の1/4~1/3という低価格であリ、代替により化石燃料によるCO2排出権の購入の費用削減に繋がる。灰化率が石炭に比べ1/3以下となる為、灰処理費が削減可能である。
  7. 環境にやさしい
    総合エネルギー効率の向上と化石燃料削減により、石炭に比べ約33%のCO2排出量低減効果がある。

 

Ⅲ-1.廃プラのリサイクル
リサイクル手法は、マテリアルリサイクル(MR)、ケミカルリサイクル(CR)、サーマルリサイクル(TR)の3つに分かれる(図1、2)。

Ⅲ-2.容器包装リサイクル法(以下、容リ法)におけるRPF
容リ法が認めているリサイクル手法は、3つのリサイクルのうち、MRとCRのみであったが、2006年の法改正によって、補完的手法という条件付きで、TRの固形燃料(RPF)化も追加された。

 

Ⅳ.真に環境にやさしいリサイクル手法とは
一般的に、熱回収によるTRより、プラスチック原料として再生するMRの方が評価される傾向がある。だが環境影響評価の観点において、本当にMRが優れているのだろうか。そこで、それぞれのリサイクル手法において、リサイクルしなかった場合の環境負荷とリサイクルした場合の環境負荷の差の大きさ、すなわち環境負荷削減効果を比較し評価する(図3)。
プラスチックのMR は、輸送や洗浄、再加工の過程で環境負荷が大きいため、環境負荷削減効果がTRより小さくなってしまう。循環型社会をつくるための「正しいリサイクル」とは、石油などの資源の消費と環境負荷を低減できる実現可能なリサイクルだ。資源の消費、環境への負荷、社会的コストを総合的に見た最良の選択はMRの再生利用ではなく、TRの固形燃料化すなわちRPF化ではないだろうか。

図3

 

Ⅴ-1. これまでのRPFの生産拡大における問題点と提言

  1. 良質な廃プラは国外、主に中国に流出しているか又は、MRに優先的に使われ、充分な原料が確保できていない。
  2. 新たな分別回収システムの開発には費用や環境負荷がかかる。
  3. 容リ法においてRPFはTRに分類され、緊急避難的、補完的な場合しか認められていない。

                   ↓
中国が廃プラの輸入を停止した今こそ、国内に滞留している質の高い廃プラを確保し、国内資源循環を推進する絶好の機会である。
RPFの生産拡大に向けて、容リ法におけるRPFの地位向上を進めるべきである。

 

Ⅴ-2.RPF の需要普及拡大のために行うべき施策

  1. 潜在的ユーザーへの市場開拓
    石炭やコークス等、化石燃料の代替として、大手製紙会社、鉄鋼会社、石灰会社など多くの産業で利用可能である。特に比較的高価で海外から燃料を輸入している小口ユーザーなどの開拓が有効である。
  2. 補助金導入によって限界収入を上乗せ
    市場価格=限界収入=限界費用となるところまでしか生産できないので、RPFの生産に補助金を導入し生産量を増やす。
  3. 原料の安定的確保
    RPF の原料となる製紙スラッジは充分確保可能である。これに加え、これまで国外に流出していた質の高い産業系廃プラ(2017年度廃プラ輸出量139万トン)を確保することにより、安定的な生産が可能となる。
  4. 一般系廃棄物の活用のための容リ法の見直し
    CR においても最終的には熱回収利用しているものが大半であり、TR の固形燃料化と差異はない。現在のプラスチック製容器包装再商品化における「固形燃料等の燃料として利用される製品」の負荷条件(緊急避難的・補完的)を撤廃し、リサイクル手法として一般枠入札を認めていくべきである。

 

Ⅵ.RPFの展望 ~石炭火力発電所におけるRPF 利用の未来~
現代まで原子力発電はCO2 を排出せず、低コストですぐれた発電方法であるともてはやされてきたが、老朽化した原発を今後維持していくことはデメリットばかりか、リスクが大きい。東日本大震災以降、原子力による発電量は34.3% から3.1% までに落ちており、それを火力発電によって補っているが、数年を経て、原発再稼働の動きさえある。そこで、石炭の代替エネルギーとしてのRPFによる火力発電に注目したい。前述の輸出分の廃プラが確保されれば、新たに348~696万トン*1のRPFの生産が可能となる(生産量に幅があるのは用途により廃プラの配合割合が違うため)。そして発電その他で消費されている石炭、年間約1 億9000万トンのうち1.83~3.66% をRPFに置き換えることができる。それにより、石炭燃焼によるCO2排出量の約0.61~1.22%*2の削減が実現可能となる。例えば、原子力による発電量3.1%を石炭火力発電に置き換えると約1061万トン*3の石炭が必要となるが、考察に挙げた施策によりRPFの生産を拡大することができれば、その石炭をRPFで代替することも可能であろう。

注釈)
*「エネルギー白書2019」「火力発電燃料消費実績」-経済産業省エネルギー庁2017年度発電電力量の割合…新エネ等8.1%、石油8.7%、天然ガス39.8%、石炭32.3%、水力8.0%、原子力3.1%
石炭火力発電消費量…約1億1056万トン(2018年度)
*1 RPFの廃プラ配合割合40~80%で算出 139万トン÷40%≒348万トン
*2 石炭98.17%+RPF1.83%=100%→1.83%のRPF代替部分のCO2排出量が約33%低減されるため、98.17%+1.22%=99.39%→CO2が約0.61%削減
*3 1億1056万トン÷32.3%×3.1%≒石炭1061万トン≒RPF1061万トン(石炭とRPFの単位発熱量が同等であることによる)

Ⅶ.まとめと主張
ある電力会社の職員の方に、石炭火力発電の代替燃料としてRPFはどうか、と提案したところ、返ってきた答えに内心驚いた。「自分はRPFをそもそも知らない。電力会社は保守的なところがあるので、そのようなことが実現するのは少なくとも10年後以降だ。」
しかし実際のところ、RPFを主燃料とする発電所は既にあり、石炭をRPFに代替することで私たちが得られるメリットはとても大きい。日本のエネルギーの未来と環境のために、RPFの認知及び普及と、真摯に挑戦する企業姿勢が重要となると改めて実感した。
私も、容リ法を知るまではリサイクルに関して曖昧な知識しか持っていなかった。容リ法というゴミの資源化システムがあるものの、未だ人々の「資源プラスチック」と「燃やせないゴミ」の分別意識は不十分だ。各人の徹底した資源化への取組が、これからのより効率的なリサイクル、ひいてはRPFの普及に繋がっていくだろう。
今まで再利用や再生利用など形のある方法が環境意識を高めやすく、また有効利用できていると評価されてきた。しかし、リサイクルはリサイクルが目的ではない。リサイクル手法の選択は、どの方法がより適切か、回収や輸送、再製品化などで生じる環境負荷を総合的に考えることが必要である。
現状では、MRのうちの66.8%が輸出、TRのうち70%は単純焼却によるエネルギー回収に頼っている。 RPFは、CO2排出の低減だけでなく、枯渇性資源の節減、埋立て処分場の延命、焼却によるダイオキシンの発生抑制など多くの相乗効果が期待できる新エネルギーである。RPFをTRと一括りにせず、正しく評価し、容リ法を見直すべきである。RPFの普及は、日本の国内資源循環における前進の一歩となるとともに、地球環境の保全に寄与できると断言する。

◆参考文献

  • *日本RPF工業会 「RPFとは」「RPFのCO2削減効果」⟨http://www.jrpf.gr.jp/⟩(2018年9月閲覧)
  • *(前掲図1~3)一般社団法人プラスチック循環利用協会 ⟨http:// www. pwmi.or.jp/⟩(2018年9月閲覧)
  • *経済産業省エネルギー庁 「平成30年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2019) HTML版 ⟨https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019html/⟩(2019年8月20日閲覧)
  • *時論公論「問われる“プラスチック社会”」 NHK 2018年11月14日(水)23:40放送
  • *「プラスチック資源循環を巡る最近の動向について」経済産業省産業技術環境局資源循環経済課(2018年8月発行)
  • *「容器包装リサイクル制度をめぐる最近の動向について」経済産業省リサイクル推進課(平成29年9月発行)
  • *「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」一般社団法人プラスチック循環利用協会(2018年12月発行)
  • *「プラスチックリサイクルの基礎知識」一般社団法人プラスチック循環利用協会(2019年7月発行)