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2025年 日・EUフレンドシップウィーク企画展「オットー・ハプスブルク ―その生涯と遺産」が開催されました

「欧州統合の父」としてのオットー・ハプスブルクの役割とその生涯を振り返る

2025年5月29日(木6月17日(火)、中央大学 中央図書館(多摩キャンパス)にて「オットー・ハプスブルク ―その生涯と遺産」が開催されました。本企画展は、EU代表部が主催する「日・EUフレンドシップウィーク※」の一環として、駐日ハンガリー大使館、リスト・ハンガリー文化センター、中央大学図書館 国際機関資料室(EU情報センター)との共催により実現しました。
中央図書館2階の展示スペースには、第二次世界大戦後の日本と欧米諸国との国際関係促進に貢献した、往年の皇位貢献者オットー・ハプスブルクの国際政治のキャリアや功績にも焦点を当てながら、その生涯と遺産を紹介するパネルや書籍が展示されました。
また、第2会場である国際機関資料室では、オットーが深く関わった国であり、ハプスブルク家ともゆかりのあるハンガリーについて、多様な歴史と文化、そして現代の姿を伝えました。

※EU-Japan Friendoship Week 2025
毎年5月9日のヨーロッパ・デー(EU創設記念日)を祝した「日・EU フレンドシップウィーク」は、日本と欧州連合(EU)の人と人の交流を深めるため、駐日EU代表部が、全国のEU情報センターを中心としたパートナーと協力の下、開催しています。期間中は、全国のEU情報センター(大学)で展示会や講演会を実施しています。

ギャラリー展:オットー・ハプスブルク ―その生涯と遺産

オットーの現代的意義を伝える

ギャラリー展では、オットー・ハプスブルクの生涯を通して、現代社会に通じるさまざまなメッセージを伝えました。不安定な国際情勢下にあっても平和と協調を訴えたメッセージ、「寛容な精神」から現代社会が学べる教訓を紹介しました。また、現在のEUにつながる「ひとつのヨーロッパ」を目指したオットーの先見性にも焦点を当てました。パネルコーナーでは、オットー・ハプスブルクの生涯を日本とのつながりを含む9つのテーマに分け、時代ごとの歩みを展示しました。
さらに、駐日ハンガリー大使によるご挨拶をはじめ、オットーゆかりの地ハンガリーとブダペストの基本情報を展示し、さまざまな視点から理解を深められる機会となりました。

オットー・ハプスブルク(1912~2011)

ハプスブルク家が、第一次世界大戦までの時代にオーストリア=ハンガリー帝国のハンガリー王及びオーストリア皇帝として君臨した事はよく知られています。そのハンガリー王及びオーストリア皇帝の最後の長子にして皇位継承者がオットー・ハプスブルクでした。
第一次世界大戦後、オットーが戴冠することはありませんでしたが、第二次世界大戦下では外交上のコネクションを使って、何千人もの迫害された人々を救済し、戦後はヨーロッパのために活動する国際的な組織である汎ヨーロッパ連合の会長や、欧州議会の議員となりました。また、『鉄のカーテン』崩壊に重要な役割を果たした1989年の汎ヨーロッパ・ピクニックの後援者として、国際社会に多大な貢献をしました。
そのオットー・ハプスブルクは、日本を何度も訪問し、皇室や政治的指導者、さらには大企業の経営者とも強い関係を構築し、日本と欧米諸国との国際関係促進にも力を尽くしました。

ハンガリー紹介展示(国際機関資料室)

ハンガリーの文化・歴史に触れる

第2会場の国際機関資料室(EU情報センター)では、オットー・ハプスブルクゆかりの国ハンガリーの文化・自然・歴史など幅広く取り上げました。
首都ブダペストは「ドナウの真珠」と称される美しい都市で、その景観は世界遺産にも登録されています。温泉・音楽・カフェ・美術館・博物館など多くの魅力を持ちます。中でも「温泉大国」としての魅力に注目し、欧州最大規模の温泉施設セーチェーニや巨大な温泉湖ヘーヴィーズ温泉・トルコ式温泉・洞窟温泉など、全国に約400か所ある豊かな温泉文化を、美しい写真とともに紹介しました。
また、カロチャやマチョー刺繍・ヘレンド磁器・ブショーカーニバルといった伝統文化や、マンガリッツァ豚やラツカ羊などの固有動物、グヤーシュスープやラーンゴシュなどの郷土料理も紹介されました。
さらに、世界的発明品であるルービックキューブの体験コーナーや、mRNAワクチン開発に貢献しノーベル賞を受賞したカタリン・カリコ博士の名言おみくじも設置。遊び心のある展示を通じて、ハンガリーを身近に感じることができました。

企画展開催期間中には、学生・教職員に加え、一般の方々も来場され、EUクイズにも多くの方が参加しました。
来場者からは次のような感想が寄せられました。

「西洋史に大きな存在感を示したハプスブルク家の最後の一人の生涯を知ることができ、大変興味深かったです」
「ハンガリーに留学して以来、この国が大好きです。大学でこのようにハンガリーについて深く知れる機会があり嬉しいです」
「パネルで空間が仕切られていて、美術館みたいでよかったです」
「ハンガリーに行きたくなりました!」

中央大学 国際機関資料室

国際機関資料室1994年6月、ニューヨークの国連本部付属ダグ・ハマーショルド図書館によって、中央大学に日本国内13番目の国連委託図書館が設置されることが決まりました。これを受け、1979年から経済研究所に設置されていたEC資料センター(現EU情報センター)の機能を統合する形で、1995年4月、中央図書館に国際機関資料室が開設されました。
国際機関資料室は、国連とEUそれぞれから資料の寄贈を受け、本学学生・研究者だけでなく、広く市民にも利用提供する役割を担っています。2つの役割を兼ね備えた図書館は、全国で8館、首都圏でも本学を含めて3つを数えるのみです。貴重な資料を学修・研究にぜひ役立ててください。