
博士課程前期課程2年
■活動内容■
●学会発表
(1)『第49回複素環化学討論会 オンライン開催』、口頭発表(2020, 2O-13)
(2)『第10回CSJ化学フェスタ2020 オンライン開催』、
ポスター発表(2020, P3-063)
(3)『日本化学会第101春季年会 オンライン開催』、
口頭発表(2021, A09-2am -13)
(4)『Pacifichem 2021ホノルル開催』、ポスター発表予定
●論文発表:Shota Kato, Daichi Mizukami, Tomoya Sugai, Masashi Tsuda, Haruhiko Fuwa, Chem. Sci. 2021, 12, 872 | 879. selected as a Pick of the Week and inside front cover.
私は学部4年で研究室に配属され、共同研究者となる先輩の加藤将太さん(当時M2)と、抗がん作用のある天然有機化合物(天然物)の全合成に取り組むことになりました。
全合成とは、市販の試薬を原料とし、さまざまな有機化学反応を施すことで分子を組み立てていき、最終的に目的とする天然物を合成することです。私は加藤さんと日々、朝から晩まで切磋琢磨しながら研究を進めました。先輩の実験のスピードについていくのがやっとで、失敗を繰り返したことも多々ありました。しかし、めげずに実験を繰り返した結果、先輩が卒業するまでに全合成に成功しました。また、全合成研究の過程で天然物の構造式に誤りを発見し、同時に正しい構造式を解明することにも成功しました。研究の成果が認められ、英国王立化学会の機関雑誌に論文が受理されただけでなく、注目論文に選出されたほか、雑誌のカバーにも掲載され、自分がやってきた研究が認められた喜びとテーマを完成することができた達成感を得ました。
論文投稿と並行して、研究室の教授にある国内の討論会への参加を提案していただきました。私はプレゼンテーション能力を養いたかったため、「ぜひ参加させてください」と即答しました。初めての学会で10分の口頭発表をすることになり不安でしたが、教授や研究室のメンバーに発表練習のフィードバックをいただくことで、プレゼンテーション能力を鍛えることができました。その甲斐あって、本番では落ち着いて発表や質問対応をすることができ、今後の学会発表に向けて自信につながる経験となりました。
次は12月にハワイで開催予定の環太平洋国際化学会議で発表する予定です。国際学会では研究成果を英語で発表し、ディスカッションしなければなりません。そのため私は、通学中に英単語を覚えたり、香港の先生が英語で授業をする先端有機化学特論を履修したりして、英語力を鍛える努力を日々続けています。
最後に、長い時間を掛けてご指導くださった不破春彦教授と共同研究者である加藤将太さん、天然物有機化学研究室の皆さまに深く感謝を申し上げます。