
大学院理工学研究科数学専攻博士課程後期課程一年 谷口 晃一
(私立明治学院東村山高校)
10th International ISAAC Congress(第10回アイザックコングレス)
2015年8月3日-8日
マカオ大学(澳門・中国)
私は、今年の八月上旬に、中国のマカオで開催された解析学の国際会議に参加しました。八月のマカオは日差しが強く、世界遺産やカジノ街があるマカオ半島は観光客でにぎわっていました。会場は、昨年開設されたばかりのマカオ大学横琴キャンパスで、広大な土地に博物館やショッピングセンター、湖などがあり一つの街のようでした。この会議には、毎回世界各国から関数解析学、調和解析学、及び微分方程式に関連したさまざまな分野の研究者が参加し、講演内容は純粋数学から応用数学まで多岐にわたっています。私は二日目に、シュレディンガー作用素の関数の可積分空間における有界性に関する研究について、25分間の口頭発表をしました。今まで幾つかの研究集会や学会に参加し発表していますが、大規模な国際会議に参加することは今回が初めてで、世界で活躍する研究者と交流し、彼らの研究に積極的に触れることを目標に、会議に臨みました。

学会会場となったマカオ大学
この会議は23のセッションに分かれているため、自分の講演をどれくらいの人が聴きに来てくれるか分かりませんでしたが、講演開始直前、会場には思っていたよりも聴衆がいて少し安堵したと共に緊張したことを覚えています。聴衆の中には、初日に交流した研究者や、快く了承してくれた先生もいました。講演後その先生の元へ伺い、今回私が発表した有界性の結果やその関数空間論への応用に関して議論し、関連する先行研究や文献を紹介していただきました。その後、ほかにも何人かの研究者から専門分野に関する知見を伺うことが出来ました。私はつたない英語と紙とペンを使って研究内容を説明しましたが、皆私の英語に真摯に耳を傾け議論してくれました。
今回、海外の研究者との交流・議論を通じて、自分の研究に対する理解が深まったと共に、彼らが取り組んでいる最先端の知識や情報を知り、より広い視野を得ることが出来ました。また海外の研究者との交流は苦労することもありますが、その分多くの刺激を受け、現在の研究のモチベーションになっています。
大きな国際会議の場で自分の研究を発表し、海外の研究者とも活発な議論が出来る研究者になれるよう、またそのような交流を通じて自分の研究の質を高め、幅を広げられるよう精進していきたいと思います。今回、航空機代と宿泊費を中央大学の松山登喜夫教授の科学研究費から援助していただいたことで、この会議に参加することが出来ました。このような機会を与えてくださった松山先生に深く感謝申し上げます。