全学連携教育機構(全学的教育プログラム)

【FLP国際協力】中川康弘ゼミの活動報告

2023年10月19日

広瀬浩二郎先生(後列向かって右から3人目)

 2023年10月13日(金)FLP国際協力プログラム中川康弘ゼミでは、国立民族学博物館教授の広瀬浩二郎さんをゲストスピーカーに迎え、「この子らから世に光を」をテーマにお話をいただきました。

 全盲の研究者としても有名な広瀬さんですが、前半は自分史・盲人史とともに、障害者権利条約の策定過程での障害者の思いを示した「nothing about us without us」の意味の深さを私たちに教えてくださいました。日本語では、一般に「私たちのことを私たち抜きで決めないで」と訳されますが、広瀬さんは、それだと「私たちのことは私たちにしかわからない」ととられかねないことを指摘されました。そして、そうならないために、「usの幅を広げる」ことが大事だということも強調されました。

 後半は、広瀬さんが盲学校時代の”触る授業”から得た「触覚」をテーマとする、「ユニバーサル・ミュージアム」の活動についてのお話をいただきました。広瀬さんは触覚観察に、3要素、すなわち”入” ”流” ”求”を取り入れ、見えている人も見えていない人も楽しめる「触る」展覧会の企画・運営に携わっています。また、近著である広瀬浩二郎・相良啓子(2023)『「よく見る人」と「よく聴く人」共生のためのコミュニケーション手法』(岩波ジュニア新書)に込めた思いもうかがうことができました。

 私は広瀬さんのお話を聞き、自分の生活がいかに「視覚」に偏っているかを痛感したと同時に、日常で「触覚」に少しでも気を配ることで新しい世界に出会うことができる気がしました。

 

執筆:文学部人文社会学科心理学専攻2年 坂本優芽