水泳部
水泳部(競泳) 特別企画 インカレ展望
2015年09月04日
水の王者中大、新・黄金時代の幕開けなるか
▲昨年度、中京大から天皇杯を奪還。表彰式では喜びを爆発させた
”Marauder”こと中大水泳部が初めて天皇杯を手にしたのは、今から21年前。それから2004年まで、中大は大会11連覇を成し遂げ「水の王者」の名を欲しいままにした。05年は日大に敗れたものの、08年には再び優勝。11、12年と連覇を達成したが、13年は中京大の前に涙をのんだ。 昨年、中京大から天皇杯を奪還すべく立ち上がった中大。前主将の内田仁氏(平26年度卒)がリレーを含む4種目に出場し勢いをつけると、400mフリーリレーでは第3泳者の大本鷹志(経3)が驚異的なスタートダッシュを見せて優勝に貢献。当時1年生だった砂間敬太(法2)が100m背泳ぎと200m背泳ぎでそれぞれ3位と2位に入るなど、全学年がかみ合い、見事総合優勝を達成した。
▲日本選手権で自己ベストを更新した中曽根主将
今季のチームの先頭に立つのは中曽根巧也主将(経4)。昨年度のインカレは100mバタフライで16位(スイムオフで敗れ予選敗退)、200mバタフライで18位と決勝競技に進めていない。しかし4月に行われた日本選手権の200mバタフライでは1分59秒65の自己ベストを記録し、初の決勝競技進出へ着実に力をつけている。中曽根主将の目指す「魅せる泳ぎ」で、名実ともにチームに勢いを付けたいところだ。
▲ジャパンオープンの100m自由形に出場した西井。インカレの50m自由形は大会最初の種目だけに大きな期待が懸かる
中曽根主将とともにチームを支える副将は西井良(法4)だ。「インターハイレベルの競技力は高いが、インカレでは今までも得点を取れてこなかった。だからこそ活躍してほしい」と髙橋監督は期待を込めた。大会最初の種目、50m自由形に出場予定の西井。「ベストを出してA決勝に残る」と静かに意気込みを語ったが、そこには最終学年としての並々ならぬ決意があふれていた。
▲新山はユニバでの悔しさをインカレにぶつけられるか
大学生活最後のインカレとなる今年は、初めて全員が同時に出場する最後の年ともなった。7月に行われたユニバーシアード競技大会では予選敗退に終わり悔しい思いをした新山政樹(総4)のリベンジや、日本選手権の50mバタフライで2位、8月の関東学生選手権では100mバタフライで1分を切る好タイムを出し優勝した黒木満佐子(文4)の活躍が見どころだ。
▲日大・中大対抗戦の400m個人メドレーで優勝した手塚祐樹(総3)
1年次のインカレでは中京大に敗れ準優勝。昨年度は中京大に勝ち優勝。1位と2位には天と地の開きがあることを、痛いほど感じているはずだ。1年次から結果を残してきた佐藤祐斗(法3)、今季はベストタイムを連発し好調の平野誠(文3)、3年目にして念願のインカレ出場を決めた塩浦旺臣(理工3)らが自身2度目のインカレ制覇へと挑戦する。
▲今年も2年生の活躍がインカレの結果を大きく左右する。写真は宇都宮
「インカレでは1年生は力を出せないのが普通」と言う髙橋監督。しかし昨年度は、砂間を筆頭に宇都宮壱基(法2)や深澤康平(経2)の大健闘が光り、優勝に大きく貢献した。2年目の今年は、泳ぎはもちろんのことながら「他の面でもチームを盛り上げる存在になってほしい」(中曽根主将)と期待が懸っている学年だ。
▲1年生で唯一2種目に出場する龍宏樹(経1)
今年は昨年度より1名多い、6名がインカレへ出場する。初のインカレということもあり、中曽根主将は「リラックスして、自分のレースに集中してほしい」と気遣ったが、髙橋監督の言葉どおり「1年生がどのくらいA決勝、B決勝に残ってくるかが勝敗の分かれ目」であることは間違いない。
「今年のチームは予想だと5位か6位」と髙橋監督が口にした。さらに「(今年も)勝てるんじゃないかという気持ちはさらさらない」と続けた。塩浦も「今年がここ何年か、これから先においても一番難しいチャレンジになると思う」と厳しい戦いを予感していた。天皇杯を奪還してもなお、一切のスキを許さない姿がある。予想を覆すだけのチーム力がある。これこそが”Marauder”、まさに「挑戦者」であるゆえんだ。
「新・黄金時代」への第一歩。明日からの3日間、浜松の主役はMarauderたちだ。
出場選手一覧
4年
中曽根巧也主将(経4):100mバタフライ、200mバタフライ
西井良(法4):50m自由形
金井佑馬(法4)200m個人メドレー、400m個人メドレー
竹下正悟(経4):100m平泳ぎ
長曽我部一大(法4):200m自由形
新山政樹(総4):100m平泳ぎ、200m平泳ぎ
岩嵜有加里(総4):200m個人メドレー、400m個人メドレー
黒木満佐子(文4):100mバタフライ
3年
岩田哲也(総3):100m背泳ぎ、200m背泳ぎ
大坪駿也(文3):200m自由形
大本鷹志(経3):50m自由形、100m自由形
佐藤俊也(法3):50m自由形
佐藤祐斗(法3):400m自由形、1500m自由形
塩浦旺臣(理工3):100m背泳ぎ
田上勇気(経3):100mバタフライ
手塚祐樹(総3):400m個人メドレー
平野誠(文3):400m自由形、1500m自由形
瀧口真帆(法3):200m自由形、400m自由形
2年
赤井晨(文2):リレー補欠メンバー
新谷一総(総2):100m平泳ぎ、200m平泳ぎ
池永旬輝(総2):200m自由形、400m自由形
宇都宮壱基(法2):200m平泳ぎ、200m個人メドレー
小形純平(法2):100m自由形
砂間敬太(法3):200m背泳ぎ、200m個人メドレー
深澤康平(経2):200mバタフライ
1年
鵜池海大(総1):400m個人メドレー
熊谷和哉(法1):200mバタフライ
小松代和磨(経1):1500m自由形
坂井孝士郎(法1):100m自由形
須藤大貴(文1):リレー補欠メンバー
髙橋一貴(法1):100mバタフライ
福重浩太(文1):リレー補欠メンバー
藤原諒大(経1):リレー補欠メンバー
龍宏樹(経1):100m背泳ぎ、200m背泳ぎ
中大水泳部インカレアラカルト
◆中大最初の優勝
中大水泳部の選手で初めてインカレの個人種目優勝を果たしたのは、昭和29(1954)年の第30回大会。胡麻鶴寿氏が100m平泳ぎ(1分12秒0)と200m平泳ぎ(2分40秒0)の2冠を達成した。リレー種目は昭和34(1959)年の第34回大会で400mメドレーリレーを4分21秒8で制したのが最初だ。
◆黄金時代
平成6(1994)年の第70回大会から、平成16(2004)年の第80回大会まで総合優勝を成し遂げた中大。個人種目やリレー種目でも中大が1位を独占した。特に、平成10(1999)年の第74回大会と翌年の第75回大会では、全16種目のうち10種目で中大の選手が表彰台の頂点へ立った。また、平成7(1995)年の第71回大会から平成11(2000)年の第75回大会、平成16(2004)年の第80回大会では400mフリーリレー、800mフリーリレー、400mメドレーリレーの「リレー3冠」を達成している。
◆個人種目4連覇
日本でも指折りの選手が集うインカレの舞台で、個人種目4連覇を達成するのは簡単なことではない。過去に中大では以下の4名が大会4連覇を成し遂げている。 山野井智広氏(平11年度卒):50m自由形(第72回大会から第75回大会) 谷口普矢氏(平14年度卒):400m個人メドレー(第75回大会から第78回大会) 田中雅美さん(平12年度卒):200m平泳ぎ(第73回大会から第76回大会) 中村真衣さん(平13年度卒):100m背泳ぎ(第74回大会から第77回大会)
◆不思議な縁
平成23(2011)年の第87回大会は神奈川・横浜国際プールで行われた。大会最終種目の800mフリーリレー予選を6コース、決勝を1コースで泳ぎ、天皇杯奪還に繋げた。昨年度のインカレも横浜国際プールで行われ、800mフリーリレーの予選を6コース、決勝を1コースで泳いだのだ。予選の順位はどちらも7位で、どちらの大会も中京大から天皇杯を奪還した。中大水泳部と横浜国際プールには、言葉には表せない不思議な縁がありそうだ。
◆次期主将対決
昨年度のインカレでは、中大と日大の「次期主将対決」が見られた。中曽根主将と中澤(日大)が200mバタフライのスイムオフで対決。結局中澤に軍配が挙がったが、今年は100mバタフライで両者が出場予定。インカレの借りはインカレで返すしかない。
写真・記事:「中大スポーツ」新聞部