「究める」では、大学院に関わる人や活動をご紹介しています。
154回目となる今回は、留学生の徐 堂栄さん(経済学研究科 博士前期課程)に中央大学大学院へ進学を決めた理由やご自身の興味関心、研究テーマについてお話を伺いました。

徐 堂栄(ジョ ドウエイ) さん
経済学研究科 博士前期課程 経済学専攻
研究テーマや大学院で過ごす日々の様子について、詳しくお答えいただきました。
中央大学大学院への進学を考えている留学生の方はもちろん、大学院で研究をすることに関心があり、進学を検討しているみなさんは、ぜひご覧ください。
日本の大学院で研究しようと思った理由について教えてください。
経済学は社会のあらゆる側面と関わりがあり、現代の複雑な経済問題に対する理解を深めることは、実務の場でも非常に役立つと考えています。日本は独特な経済システムと多様化になった技術が共存する国であるため、日本で学ぶことで、理論と実務の双方から貴重な知見を得られると感じました。また、日本での留学は新しい文化や価値観に触れる貴重な機会でもあり、異なる視点から経済学を学ぶことができることも魅力でした。
さらに、将来的には経済に関わる分野および数理分析に関わる分野の仕事に就くことを希望しており、データを用いて実証的な課題解決を行うスキルを磨きたいと考えています。日本の大学院で学ぶことで、スキルの基礎をしっかりと築き、グローバルな視野で経済理論を捉える力を養いたいと思い、日本での進学を決めました。
中央大学大学院を進学先として選んだ理由を教えてください。
私が中央大学を進学先として選んだ理由は、経済学分野における高い教育水準と、実務に即した研究環境が整っているからです。中央大学の経済学研究科は長い歴史と実績を持って、多様な研究が行われており、特に現代社会での経済動向や政策に関する研究が盛んです。私の研究分野についても、魅力的なカリキュラム、充実な学術リソース、多方面からの指導を得られる環境が整っていると感じました。
さらに、指導教授の中村彰宏先生は数理分析が得意で、実証分析の分野で豊富な知識と経験をお持ちであるため、その指導の下で学べることは、私にとって大きなメリットです。
大学院での研究テーマについて
私は日本で4年間、外食産業で働き、複雑な日本のキャッシュレス決済の現状に興味を持つようになりました。特に、他の先進国と比較して日本のキャッシュレス決済普及率が低い現状に気がつき、その背景や要因を深く理解したいと感じるようになりました。日々の業務の中で、日本社会における現金志向の強さや、消費者の決済手段に対する意識の違いを目の当たりにしたことで、この分野に対する関心が一層高まりました。
日本の大学院での研究を通じて、キャッシュレス決済の普及に影響を与える要因を分析し、なぜ日本での普及が遅れているのか、その背景を経済学的な視点から解明したいと考えています。
中央大学大学院に進学してよかったこと
中央大学大学院に進学して本当に良かったと感じるのは、先生方や周りのサポートに恵まれ、充実した環境で学べることです。特に印象深いのは、研究で困難に直面したときに先生が親身になって指導してくださったことです。私の指導教授である中村彰宏先生は、毎週のゼミで私に親しくアドバイズをくださって、基礎なものであるにも関わらず、いつも丁寧に指導してくださいます。先生方は研究に対してだけでなく、学生一人一人の生活面やメンタル面にも気を配ってくださり、その温かさに支えられています。また、事務室のスタッフの方々もとても親切で、各種手続きでわからないことがあると丁寧に案内してくださいました。
さらに、中央大学は課外活動が盛んで、学業以外でも多くの仲間と交流できる点も魅力的です。もちろん、学術資源も手に入りやすく、図書館や研究設備も充実しているため、調査やデータ分析など、研究に必要なリソースにスムーズにアクセスできます。大学院生として、これほどの恵まれた環境で学び、充実した毎日を過ごせていることに感謝しています。
ご自身にとって大学院とはどのような場所ですか。
私にとって大学院は、知識と経験を深めるだけでなく、自らの研究テーマに対する理解を深め、実践的なスキルを養うための重要な場です。大学院では、自分の興味や疑問に対して徹底的に向き合い、学問的な方法論に基づいて解答を見出すという姿勢が求められます。これは、単に知識を吸収するだけでなく、未知の問題に対する探究心や解決力を培う大きな成長の機会でもあります。
また、大学院は多くの優れた指導者や仲間とともに学ぶ場でもあります。先生方や他の学生とのディスカッションを通じて、異なる視点や新しい考え方に触れることができ、視野が広がると同時に、自分の考えを磨き上げることができます。このような環境で学ぶことで、学問的なスキルのみならず、社会に出てからも活かせる問題解決能力や、批判的思考力を身につけることができると感じています。
大学院を目指すみなさんへのメッセージ
大学院は、自分の興味や課題意識を深く追求し、専門知識を磨き上げるための貴重な場所です。その道は決して平坦ではありませんが、努力すればするほど得られるものも大きく、自己成長を実感できる場所でもあります。
進学を考える際には、入学試験の準備として筆答試験や口述試験に向けた勉強と練習は大事ですが、自分が本当に研究したいテーマや解決したい課題を明確にすることも大切です。特にそのテーマに対する情熱が、困難な時期を乗り越える力になります。また、指導教授や学びたい環境について十分に調べ、自分に合った指導教授を選ぶことも成功の鍵です。
大学院での学びは、単に知識を得るだけではなく、自らの意見を他人と共有し、新しい視点を得たり、未知の課題に挑戦したりする機会でもあります。その中で得られる経験は、学問だけでなく、社会に出た後にも大いに役立つでしょう。
あと、私のような、工学部から経済学の大学院に合格できた留学生はめったにいないので、もしかしたら、今のあなたは迷いや不安を感じることもあるかもしれませんが、挑戦することで見えてくると、新たな道がたくさんあります。自分を信じて一歩踏み出し、大学院での時間を人生の輝きにしてください。応援しています!