大学院

【究める vol.132】研究科委員長に聞く大学院の学びと研究(商学研究科 木立 真直委員長)

2024年01月30日

木立 真直 商学研究科委員長


「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
今回も「研究科委員長に聞く大学院での学びと研究」というテーマで、大学院についてや研究の特徴、求められることなどについて研究科委員長へインタビューした記事をお届けします。今回は商学研究科の木立 真直(きだち まなお)委員長にお聞きしました。
受験を検討している方や大学院という場所に関心をお持ちの方は、ぜひお読みください。

大学院はどのようなところか

やや硬い表現を使うと、大学院(Graduate School)とは、学校教育の最終ステージに位置し、修士号さらには博士号を授与する最高学府です。大学院生は、学部(Undergraduate School)ではおおむね入門レベルに留まっていた知識を専門といえるまでに深め、自らの研究力を磨くべく、日夜、注力しています。最終成果として論文をとりまとめるにあたっては、自らテーマを決め、主体的に研究を進めなければなりません。指導教授から親身なサポートを受けつつも、大学院で学問する主人公はあくまで大学院生自身にほかなりません。

大学院で学ぶ意義

大学院での学びに何を期待するのかは、必ずしも一様ではありません。研究者を志望する人にとっては、学問の世界で通用する新たな知見を導き出す研究力を身に付けることであり、一方、修士で終える人は、おのおのの実務界でプロフェッショナルとして活躍するための資格や分析手法を手に入れることにあるといえるでしょう。もっとも、大学院での学びには、学問することで得られる共通の基本的な価値があります。最先端の研究と学問の奥深さに触れながら自己の研究と格闘するなかで、ある瞬間、「目から鱗」の体験、いわば自己の能力の新発見に巡り合えることです。この体験は、これからの不透明で不確実な時代を乗り越えていく上で、きっと役に立つことでしょう。

大学院の研究で求められること

この問いも難題ですが、まずは論理的思考力(logical thinking ability)、そして研究手法のリテラシー(理解し、活用する能力)が必須です。注意すべきは、研究手法には様々なスタイルがあり、時代によって流行り廃りもあることです。近年、定量研究が客観性の看板の下、主流派になっているものの、定性研究や歴史研究などが無用の長物になったわけではありません。研究手法の有効性は、何を解明しようとするのかという研究対象に依存します。それゆえ、研究の出発点であり、ゴールまで完走するエネルギーの源泉である問題意識こそが肝心なのです。

大学院を目指すにあたって

1つは、学部時代に授業に真面目に出席しAを沢山とるよりも、むしろ興味のある科目を見つけ、多くの論文を読み、その分野のゼミナールで積極的に議論し、立派な卒論を書くことです。2つは、海外の論文を読破するために外国語の能力を高めておくことです。3つに何よりも大切なのは、上述した問題意識を磨いておくことです。新聞や関連専門誌などに日々、目を通し、企業や社会、そして世界で今、何が起きているのかに常にアンテナを張っておいてください。某TVの5歳児キャラクターに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られることのないよう。自戒の念を込めて、「備えあれば憂いなし」です。


※本記事は、2024年1月時点の内容です。