「究める」では、大学院にまつわる人や出来事をお伝えします。今回は博士前期課程修了者の声として、経済学研究科 博士期前期課程を修了した若松 貴大さんにお話を伺いました。大学院時代の研究テーマをはじめ、進学理由や大学院での過ごし方、印象に残っていることなど、様々な角度からのエピソードを掲載しています。
研究を支えてくれたコーヒー
若松 貴大(わかまつ きだい) さん
2023年3月に経済学研究科 博士前期課程 経済学専攻を修了しました。
<修士論文タイトル>
地方都市におけるLRT導入がもたらす中心市街地への効果―富山市と福井市を事例としてー
大学院時代の研究について
近年の日本では、人口減少と少子高齢化が著しく進行しているだけではなく、地方から東京圏・名古屋圏・関西圏といった大都市への人口流出が激しいことから、三大都市圏の人口流出への対処が地方都市の課題となっています。
また、地方都市が安定的な人口規模を維持するためには出生率の向上が必要となりますが、総人口および20歳から39歳の若年女性が減少傾向にある中、高い出生率の実現は非常に困難な状況にも直面しています。
以上のような事情を踏まえ、地方への新しいヒトの流れを作ることが地方都市の人口減少に対して有効的かつ実践的であると考えられており、本研究では、生活サービス機能の市街地中心部への集約と地域公共交通の再編による「コンパクトシティ」に着目しました。
また、公共交通機関の1つであるLRT(Light Rail Transit)を取り上げ、LRT導入前後における中心市街地の地価および人口動態を評価対象として、LRTを軸としたまちづくり政策が持続可能な中心市街地の都市機能向上と活性化に貢献することを検証しました。
さらに、LRT導入における中心市街地の地価および人口動態への影響の分析には、LRTの導入を進めている富山市・福井市を研究対象とし、補完的に両市の担当者にインタビュー調査を通した事例研究を行いました。
中央大学大学院への進学を決めた理由を教えてください
進学を決めた大きな理由としては、学部3年次からお世話になっていた後藤孝夫先生の下で、自身の研究テーマについて更に深く研究したいと考えたこと、そして、自身の経歴に関わりますが、卒業をした大学である中央大学経済学部に3年次編入試験を経て入学をし、入学後、より高度な環境で学問を究めたいと思ったことから、同経済学研究科博士前期課程に進学しました。
ご自身にとって大学院はどのような場でしたか
入学後、コロナウイルス感染症2019への対策による影響で対面授業が1度もなかったこと、また、大学院のゼミ1期生ということで、先輩が誰もおらず、自身の研究が上手くいくかどうか不安になることが多くありました。
しかし、指導教授である後藤孝夫先生の丁寧なご指導とお力添えの下、内容の濃い充実した2年間を過ごすことができました。
中央大学大学院へ進学してよかったことについて
学部時代のゼミと比較して、指導教授との距離が近いことは勿論のこと、他の授業の先生から自身の研究についてご助言をいただくことができたこと、そして、他研究科の先生が担当する授業を履修できたことを通して、研究活動をスムーズに進めることができたと思います。
修士論文執筆にあたっては、指導教授のほかに、経済学研究科では公共経済学の中村彰宏先生と公共政策の薮田雅弘先生、総合政策研究科では平野廣和先生に大変お世話になりました。
大学院時代の印象に残っている出来事について
修士論文の最終評価において、最も高い評価を取得することができたことです。私の研究テーマは、これまでの類似した研究であまり取り上げられたことがなく、ほぼゼロからのスタートであったことから、論文執筆が上手くいくかどうか不安になることが多くありました。
しかし、指導教授である後藤孝夫先生のご指導の下、必要なデータや文献を少しずつ揃えることができるようになり、最終的には、経済学研究科の先生方から高い評価をいただくことができました。
修了後の進路について
博士前期課程修了後は、大手鉄道会社の運転士養成コースに就職をする予定です。中央大学での4年間で学んだことを生かし、お客様や同僚の方を含め、誰からも信頼される社員に1日でも早くなれるよう頑張っていきたいと思っております。
受験生のみなさんへ
世間では、文系大学院への進学がマイナスに捉えられることも多くあり、進学すべきかどうか、かなり迷われる方がいらっしゃると思います。しかし、文系大学院進学は、学部時代よりも先生との距離が近いこともあり、興味のあるテーマをより深く研究することができる機会だと思います。
また、経済学研究科には、素晴らしい教員の方々が多くいらっしゃるので、充実した学生生活が過ごせる環境が整っていると思います。
是非、このページをご覧の皆さんには、今後の人生で後悔のない選択をしていただければと思います。
※本記事は、2023年3月時点の内容です。