「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。2019年6月に始めた本連載も開始から3年が経ち、第100回を迎えました。100回目となる今回は、大学院生が担当しているライティング・ラボのチューターについて取り上げます。
大学院生が学内でできる授業外の活動として、TA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)という言葉を耳にしたことのある方は多いと思います。中央大学にもこの2つの取り組みはありますが、今回の記事では、「ライティング・ラボ」とそこでの大学院生チューターについて紹介します。ぜひご覧ください。
ライティング・ラボについて
中央大学アカデミック・サポートセンター(ASC)ライティング・ラボは、レポート、論文など学術的文章の作成(アカデミック・ライティング)を支援する機関で、2011年4月より多摩キャンパスに設置されました。
開室当初は大学院の留学生を対象として始まりましたが、徐々に利用学生の対象を拡大し、現在ではキャンパスや所属の垣根を超え、中央大学のすべての学部生・大学院生が利用することができます。
アカデミック・ライティングとは
アカデミック・ライティングとは、学術的文章や学術的文章を書く技術を指します。学術的文章には、授業レポートや卒業論文、修士論文、博士論文、投稿論文などが含まれます。つまり、大学・大学院で課される文章はアカデミック・ライティングの特徴やルールに沿っていることが求められます。
アカデミック・ライティングは、書き手の主張(言いたいこと)を読み手が適切に理解し、客観的に検証するために必要です。大学・大学院で課される文章を作成する際に欠かせないスキルだといえるでしょう。
【ライティング・ラボが扱う文章】
ライティング・ラボでは、以下の学術的な文章(日本語のみ)を対象にしています。ラボを利用する際は、下書きの段階で早めに相談するのがおすすめです。アイディアの段階でも相談できますので、ぜひ利用してみてください。
・授業で課題となったレポート
・卒業論文
・修士論文
・博士論文
・投稿論文、研究ノート
・演習等の発表用原稿、レジュメ、スライド
・研究計画書
大学院生チューターについて
ライティング・ラボでは、アカデミック・ライティング指導の訓練を受けた大学院生チューターが、書き手のみなさんと一緒に文章を検討しています。
中央大学では「アカデミック・ライティングの方法と実践」という授業を開講し、大学院生自身がアカデミック・ライティングの技能を修得できる機会を設けています。この授業を履修し、十分にアカデミック・ライティングの技能を修得した大学院生には、ライティング・ラボにおいてチューターとして文章作成支援を行なう機会を提供しています。
ラボの利用者に対しては、論理的で分かりやすく、読み手に言いたいことが伝わる文章となるようサポートしたり、レポート・論文の基本的なルールについてアドバイスをしたりします。書くことの支援をとおして、みなさんの考える力に働きかけ、伝える力を鍛えます。
チューターである大学院生にとっては、利用者に対する指導やサポートを通じて、自身の指導力を高める機会となります。こうした機会を通じ、教育指導の実践経験を積むことができ、修了後に教員や研究者となった際に必要な教育指導力の涵養を図っています。
また、ライティング・ラボにおける日々の活動に加え、学内でアカデミック・ライティングに関するワークショップを実施するなど、学術的文章の作成支援にまつわる様々な活動を行っています。
【チューターの声】
また、過去にチューターを担当していた方からは、次のような声が寄せられています。
「チューターとしては、学生の文章指導・相談業務を行いました。また、経験を積んだのちにはアソシエイト・スーパーバイザー(ASV)となり、ワークショップの企画運営や、広報や事務作業などの管理業務なども担当しました。ASV の仕事では、学生に対する教育はもちろん、学内の様々な部署と協力しながら一つの組織を運営していく経験を積むとができます。私の場合には、非常勤講師として教歴をつけながら、管理業務のキャリアを積むことができました。将来研究職を目指す方はぜひ、ライティング・ラボでのチューターを目指してみてください。」
ライティング・ラボの利用に関する詳細は、ライティング・ラボのホームページをご覧ください。
「究める」では、これからも大学院に携わる人々や行事について、様々な切り口からお届けします。ぜひご覧ください。