「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。今回は「在学生の声」として法学研究科の池内 陸さんへのインタビューをお届けします。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院での研究活動・課外活動など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードが載っています。
池内 陸(いけうち りく)さん
研究科:法学研究科
専 攻:国際企業関係法専攻
課 程:博士後期課程1年
大学院でのご自身の研究について
アメリカ合衆国憲法を主に研究しています。現在までは合衆国の裁判所はどのような問題であれば裁判の対象とするかという原告適格について研究を行っていました。
大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由
学部3年生の頃、最初は皆と同じように就職活動を行っていたのですが、はたと学部生の生活を思い返してみて、あまり自分が勉強を満足いくまでやり切れていないということに気が付きました。どうせなら自分の興味があるテーマで2年きちんと勉強してみるかと思い大学院進学を志望するようになりました。
中央大学大学院を進学先に選んだ理由は自分がやりたいアメリカ法について勉強する体制が十分にそろっていると感じたからです。別の大学院にも受かってはいたのですが、そこと比較して、アメリカ法(英米法)を専門とする先生方が多くいらっしゃったので、自分が研究を行う際に誰に助言を求めればいいのかわからないということが少ないのではと考えました。
博士後期課程への進学を決めた理由
前期での研究が全く満足いくものではなかったからです。もう少し研究して一つのまとまった功績として研究成果を出したいと考えるようになりました。
大学院の授業はどのように行われていますか。学部との違いや特徴を教えてください
①大学院の授業について
大学院の授業は基本的に少人数によるゼミが主体です。そこで行われるものは大別すると二つに分かれ、(1)外国語文献の輪読または(2)ゼミ生による発表とディスカッションとなっています。
②大学院と学部の授業の違い
大学院と学部の授業の違いは授業に参加している人数だと思います。
私は法学部出身でしたので、学部時代は基本的に大教室で行われる講義型の授業が多く、授業に参加している人も少なくて20人前後、多くて200人以上といったものでした。
一方で大学院の授業は原則ゼミ形式で行われ、人数も多くて10人程度、少ないと教授とマンツーマンとなります。
個人的に大学院に入ってから授業の準備に追われるようになりましたが、その要因は授業内容が高度であることもさることながら、授業の人数が少なくなっていることも大きいように思われます。
実際に履修した授業について、印象に残っていることを教えてください
ローゼン・ダニエル先生の外国法の授業は非常に印象に残っています。
まず、当たり前ですが先生は英語圏の方なので授業はすべて英語で行われます。
次に、授業ではアメリカ合衆国における直近の判例を読みながら、先生にアメリカ法の基礎概念を教えていただくというものなのですが、授業前に今週の判例を一通り読み進めることが求められました。一つの判例が大体20~30頁あったので、毎週大変な思いをしながら準備をしていました。
最後にこのクラスには非常に優秀な学生がいました。自分と同学年ながら自分とは比較にならないほど英語にも法律にも通じている彼を見て、大学院とは斯くも優秀な人を擁する場所であるかと愕然とした思い出があります。
中央大学大学院に進学してよかったことについて
先生方との距離が短くなったことは良かったことにあげられます。
学部でもゼミの先生と距離感が近いということは往々にしてあることだとは思います。しかし大学院では学部時代よりも多くの先生との距離感が近くなります。先生によっては授業等で専門とされている分野以外の話をすることもあり、知的な好奇心を満足させられることがあります。
前期の時、指導教授以外の先生とマンツーマンで授業をしていただくことがありました。その先生は公法を専門とされている方なのですが、会話が興に乗り、いつの間にやら数学の話へと横滑りしていました。おすすめの本を三・四冊紹介される姿を見て、先生の教養の一端を垣間見ることができたと考えた次第です。
授業以外の時間はどのように過ごしていますか
前の項目でもふれたとおり、授業や研究会の準備として予習を行うことは学部時代と比べて増えました。
また、私は中央大学アカデミック・サポートセンターライティング・ラボ(以下ライティング・ラボ)でチューター業を行っています。ライティング・ラボは中央大学在学の学生に対して、彼ら彼女らの学術的文章をより相手に伝わりやすいものにするという支援を行っている機関です。
ライティング・ラボで勤務する際の魅力は二点有ると個人的には考えています。
一つは自分が文章を書く際、読み手に対して意識を向けるようになります。ライティング・ラボで我々チューターは読み手にとってわかりやすい文章かという観点から学生の文章を検討します。すると自身が文章を書く際にも読み手にとってこの文章はわかりやすいか、自分の意図がきちんと相手に伝わるかと意識しながら文章を書くようになります。
二つ目に、自分が知らない知識や考え方を学ぶ機会になります。ライティング・ラボに文章を持ってくる学生の国籍や研究分野は多様なものになっています。私は法学研究科の人間なので、文学部や商学部の学生が持ってくる論文を読むと好奇心が著しく刺激されます。
ライティング・ラボのチューターには大学院に入り、特定の授業を履修することで応募できるようになります。
大学院進学を目指すみなさんへ
大学院には知的活動に興味関心をもつ人間ばかりが集まっているので、日々好奇心をくすぐるような問題や議論に出会えると思います。少なくとも現在までのところ、私は大学院へ進学することで学部の頃より勉強することが楽しいと感じるようになりました。学部で勉強をしてみて満足できない、不完全燃焼だったなと思った方は是非大学院への進学も考えてみてください。
※本記事は、2022年6月時点の内容です。
<入試関連情報や教員情報はこちら>