修了生の声(経済学研究科 博士前期課程)
郭 訳臨(カク イリン) さん
経済学研究科 博士前期課程 経済学専攻を
2021年度に修了しました。
大学院時代の研究について
「都市部移転は生活満足度を高めるのか―中国CFPSデータに基づく実証分析―」という研究テーマで修士論文を執筆しました。このテーマを決めた背景は2つあります。1つ目は、中国の都市化率が上昇しており、農村部戸籍から都市部戸籍へ移転する住民の数が増加している状況です。2つ目は、国連が発表している中国の幸福度指数と幸福度ランキングも高まっている状況です。このような背景を踏まえて、農村住民が都市部へ戸籍移転したことで、生活満足度の向上につながるのだろうかというリサーチクエスチョンを持ちました。これを解明するために、中国人へのインタビュー調査と77,287の個票データを用いた実証分析をしました。研究結果では、中国住民の農村部戸籍から都市部戸籍への移転は生活満足度に有意に正の影響を与えていることが明らかになりました。それに加え、研究結果から得た示唆に基づき、農村部戸籍から都市部戸籍へ移転した住民が生活に対する満足度を維持させ、そして向上させるための政策上の提案もいくつか挙げました。
大学院へ進学した理由を教えてください
私は将来、国際経済学という分野における専門性の高い研究者になり、特に日本と中国の架け橋として国際社会に貢献することが夢です。この目標を達成するために、さらなる自己研鑽が必要と考え、大学院進学を決めました。
中央大学大学院へ進学した理由を教えてください
中央大学大学院経済学研究科は自分の興味のある専門性の高い授業が非常に充実しており、学部時代から親身になってご指導してくださった先生方も大きな決定要因でした。また、指導教授である唐成教授の専攻分野は自分の研究分野と非常に一致しており、唐先生の温かい人柄と深い知見に魅了され、自分も先生のような日中の架け橋となる素敵な学者になりたいと考え、中央大学大学院への進学を決意し、中国家計に関する研究を深めていきたいと決めました。
ご自身にとって大学院はどのような場でしたか
大学院では学部と異なり、インプットだけでなくアウトプットも必要になります。そのため、常に問題意識を持って自分の研究課題に取り組むことが重要になります。中央大学の大学院は、少人数による専門性の高い演習科目が充実しており、執筆に重要となる学術的文章の書き方などの授業も充実しています。また、研究に専念できる研究室と国内外の豊富なデータベースも利用することができ、知識のインプットとアウトプットが両方実現できる良い研究環境が整っています。
博士前期課程を1年間で修了されましたが、1年修了を目指した理由やきっかけを教えてください。
私は国際経済学の分野で日中の架け橋となる学者になりたいという夢を早いときから抱いていました。この夢を実現させ、いち早く国際社会に貢献できるように、集中して1年修了してから、「外国の文献を読むのに必須の高度な英語力の向上」と「専門分野に関する査読付き論文の執筆」に重点を置き、専念していきたいと思ったからです。
1年修了を目指すうえで大変だったことは何ですか。修了に向けて、どのような工夫をしましたか。
1年修了で大変だったことは、授業と論文の両立です。2年間を要する必修単位の履修と修士論文の執筆を1年間で実現させ、かつ全ての科目の成績がA評価を取得できたのは、「中央大学大学院給付奨学金」と「大学院科目先取り履修制度」の手厚いサポートが欠かせません。この2つの制度のおかげで、私は計画的に学部4年生のときから大学院の授業を10単位分早期履修することができました。また、研究活動における資金を悩むことなく、自分の研究課題と授業に一生懸命専念することができました。そして、新型コロナ禍という大変な状況の中で、オンライン授業にも関わらず、経済学研究科の先生方の熱心なご指導と事務室の方々の温かいサポートのおかげで、1年修了をすることができました。心より皆様に深く感謝しております。
1年修了を目指す後輩に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
私も1年間で2年間の学修をすることは非常に大変だと思っていました。しかし、早期卒業した先輩から勇気づけられ、全力で挑戦してみました。もし1年修了をしたいという想いがあれば、迷わず勇気を持って挑戦してみてください!「計画・専念・自信」を常に心がけ、毎日継続的に努力すれば、きっと明日の自分は今日の自分を乗り越えられると信じています。応援しています!
中央大学大学院に進学してよかったことについて
学部時代では複数のゼミ生が一緒に1つの課題について取り組みましたが、大学院では1人で自分の課題を研究していきます。問題意識から結果までの全てを論文にしたとき、非常に達成感を感じます。また、論文の執筆で養った論理的思考や情報収集能力などの力は今後のどんな場面でも活かせるので、大学院への進学で学んだことは一生の宝物となりました。
大学院時代の印象に残っている出来事について
指導教授である唐成教授の温かいお話がとても印象に残っています。先生は学術的な面のみならず、生活の面においても、常に人間関係で感謝の心を大切にする人間性を伝授していただきました。自分が学術の道に進む自信がないときに、先生は自分の経験談を話してくださり、大変勇気づけられました。どんなに大変なことがあっても、きっと長いトンネルの先には明るい景色が待っていると信じて、先生のような素敵な学者になれるように全力でチャレンジしていきたいと思いました。唐成先生との出会いは私の人生の重要な転機であり、心より感謝しております。
修了後の進路について
今後の予定では、中央大学大学院経済学研究科の博士後期課程に進学する予定です。そのために、この1年は学術研究に必要となる英語力の向上と国内外の高レベルな査読付き論文に挑戦して精一杯自分の能力を高めていきます。将来的には、学部時代からお世話になる中央大学さらには日中間の力になれるように、自分の価値を還元していきたいと思います。
受験生へのメッセージ
コロナ禍という大変な状況の中で、大学院への進学や就職など、悩むことも多々あると思います。しかし、大学院に少しでも興味があれば、ぜひ挑戦していただきたいです。大学院での学修は、問題発見能力・倫理的思考・情報収集能力・文書力・プレゼン力など数多くの能力を鍛えることができます。これらの能力は、学術と企業の両方の道に役立ちます。先生方と事務室の方々は非常に温かく、学生との切磋琢磨もアットホームな雰囲気で、悩みがあればきっと皆さんが支えてくれます。ぜひ中央大学大学院で充実した楽しい研究生活を味わっていただきたいです。
※この記事は、2022年3月時点の内容です。
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