大学院

【究める vol.53】修了生の声(文学研究科 博士前期課程)

2021年05月03日

菅野 賢一さん(文学研究科 博士前期課程 2020年度修了)


菅野 賢一(すがの けんいち)/ SUGANO Kennichi さん

2020年度に文学研究科 博士前期課程 英文学専攻を修了しました。

He completed his Master's program in Department of English Literature, Graduate School of Letters in the year 2020.

大学院におけるご自身の研究や、修了後とのつながり、
大学院で学び・研究することの魅力についてお答えいただきました。

 

<PICK UP!>

文学研究科 英文学専攻は英語のみでも修了することができ、留学生も多く在籍しています。
今回の「究める」では日本語に加え、英語による説明も併せてお届けしております!
ぜひご覧ください。

The Department of English Literature in the Graduate School of Letters offers a program that can be completed in English only.

大学院時代の研究について/About your research in graduate school

私はウィリアム・フォークナーの『八月の光』という作品における、主人公ジョー・クリスマスの母性愛探求について研究しました。白人とも黒人ともいえない人種的葛藤とアメリカ南部特有の苛烈な人種差別思想、出産時に母を亡くしたがために満たされることのなかった母的な愛への渇望が奇妙に絡まりあう彼の生涯を追いながら、最終的に彼の最後の恋人であり、彼が殺害した白人女性、ジョアンナ・バーデンこそが彼の満たされなかった母への渇望を癒してくれた人物ではないかと結論づけました。

I studied about William Faulkner’s Light in August. In my thesis, I focused on Joe Christmas, one of the protagonists in the novel, and explored his craving for maternal love.

ご自身にとって大学院はどのような場でしたか/What kind of place was the graduate school for you?

まさに成長の場であったと思います。大学院入試およそ一か月前、ゼミの先生に、このままでは入試をパスする学力には満たないだろうと言われたのを今でも覚えています。指導教授の元で授業を受けながら、小説を原文のまま読むには決定的に語学力が足りないと言われたこともありました。しかし、そんな私でも二年間の修練の末何とか修士論文を書き上げることができたのです。この二年の間に、語学力だけでなく思考力、人に考えを伝える能力が自覚できるほど格段に向上しました。これはひとえに私のことを受け入れてくださり、導いてくださった先生方のおかげだと思っています。

For me, the graduate school was the place for development. When I enter the school, I didn’t have enough ability to study. However, some professors supported me, and I could improve my English skills, ability to communicate with others and thinking ability. Now I think that my experience in the school is most important for me.

大学院時代の印象に残っている出来事について/About impressive events in graduate school

私が最も印象に残っているのは、自分の研究テーマが決まった秋学期の第二回の授業です。私が着目したポイントについて、指導教授からまだ論じられていない点であると言っていただいた時の感動は今でも忘れられないです。研究を進めていくほどに、自分の研究の可能性や重要性に気づくことができ、得難い経験をすることができたと感じました。

The second class in fall term is the most impressive event in my school days because I found the main topic of my thesis in the class. Even now, I can’t forget the excitement when I found the theme.

修了後の進路について/About the course after completion

神奈川県の個別指導専門塾で初年度は講師として働いています。次年度以降は(順当にいけば)教室長として一校舎の管理、運営をすることとなります。自分が学びから感じ取ったもの、学んだからこそ見えてきたものを子供たちに伝えてゆく仕事に楽しさと誇りを持ち始めています。

Cram school in Kanagawa Prefecture.

受験生へのメッセージ/Massage for candidates

私が自信をもって言えることは、この中央大学大学院で学んだ二年間が私の人生を大きく変えたということです。世界に災禍が訪れ、心身ともに不安定な状況が続く昨今ですが、このような状況だからこそ輝くのが学問の力なのだろうと思います。大学院生は経済的にも決して余裕を持てる立場ではないでしょう。不安は絶えないと思いますが、大学院での学びから何かを得たいと思うのであれば、ぜひ一歩踏み出してほしいです。きっと二年後には、受験生の皆さんの人生にも、何にも代えがたい経験、知識が手に入っているでしょう。影ながらではありますが、前へ進もうとする皆さんのことを応援しています!

Two years in graduate school must help your development, and the school days will change your lives dramatically. I’m cheering for you!

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