「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
現役大学院生に院生生活や研究についてお聞きする連載「大学院生の生活」。今回は、商学研究科 商学専攻 博士後期課程に在籍する井奈波 晃(いなば こう)さんにお話を伺いました。

井奈波 晃 さん
研究科:商学研究科
専攻:商学専攻
課程:博士後期課程
研究テーマについて
私は会計学という学問のうち、財務会計の研究をしています。財務会計の中でも、特に売却時価会計とよばれる会計理論を対象としています。売却時価会計とは、すべての資産や負債について、それらの時価で測定する会計理論です。売却時価の考え方は、近年話題となっている国際財務報告基準(IFRS)における「公正価値」の考え方に通じる部分があります。日本でもIFRSを取り入れようとする動きがある中で、「公正価値」の理論的背景となりうる売却時価会計を検討することに意義があると考え、この研究テーマを選びました。
売却時価会計について研究するにあたり、学説を基礎とした理論研究と、統計的手法を用いた実証研究の2通りの方法で行いました。通常はどちらか一方に取り組むものですが、それぞれをご専門とする先生方にご指導をいただく機会に恵まれました。軸は前者の理論研究においていますが、そこに実証研究による分析結果をあわせることで、新しい試みができたのではないかと考えています。
1週間のスケジュールについて
大学院生として、どのような1週間を過ごしているかについてお聞きしました。
午前 | 午後(昼) | 午後(夜) | |
---|---|---|---|
月 | ゼミナールA | ゼミナールB★ | ゼミナールB★ |
火 | 研究★ | 研究 | 研究 |
水 | 研究 | TA | 研究 |
木 | 研究 | ゼミナールC★ | ゼミナールC★ |
金 | 研究 | ゼミナールD | 研究 |
土 | 研究 | 研究 | 研究 |
日 | 研究 | 研究 | 研究 |
<Pick Up!>
★ゼミナールB(月・午後)
指導教授のご紹介のおかげで、私は4人の先生方にご指導をいただく機会に恵まれました。そのため、ゼミナールが週に4回ありました。月曜日の午後は主指導の先生のゼミナールであり、主に理論研究についてご指導をいただきました。私の所属ゼミナールには博士後期課程の学生が複数名在籍しておりましたので、午後~夜にかけてそれぞれ研究報告を行い、ご指導をいただきました。
★研究(火・午前)
研究は基本的に自宅で行っており、研究の進捗に合わせて適宜休憩をとっていました。資料収集や大量印刷のような自宅でできない作業は、ゼミナールの前後でまとめて行うようにしていました。また、資料は大学の共同研究室・自宅・クラウド上の3か所に用意することで、場所を問わず参照できるようにしていました。
★ゼミナールC(木・午後)
木曜日の午後は、主指導の先生からご紹介いただいた先生のゼミナールであり、主に実証研究についてご指導をいただきました。こちらのゼミナールも大学院生が複数名在籍しておりましたので、午後~夜にかけてそれぞれ研究報告を行い、ご指導をいただきました。
1日のスケジュールについて
続いては1日のスケジュールについて、具体的に例を挙げていただきました。
~7:00 | 睡眠 |
---|---|
7:00~9:00 | 起床・朝食 |
9:00~12:00 | 研究 |
12:00~13:00 | 移動(登校)・昼食 |
13:00~19:00 | ゼミナール★ |
19:00~22:00 | 懇親会★ |
22:00~ | 移動(帰宅) |
<Pick Up!>
★ゼミナール
大学院生が複数名在籍しているゼミナールでは、必然的にゼミナールの時間が長くなります。通常の授業時間は決まっていますが、先生方のご厚意により、時間を気にすることなくご指導をいただいていました。また、学会報告前や論文投稿前などは、特別に報告練習会を開いたり、メールで先生方にご指導をいただいたりする機会もありました。
★研究
私の所属ゼミナールでは定例の懇親会があり、そこで多くの先生方や先輩方と交流することができました。学会以外で他大学の先生方と交流できる機会はほとんどありませんので、大変貴重な機会であったと感じています。懇親会では、研究だけではなく就職や普段の生活など、様々な内容について有意義なご助言をいただきました。
受験生のみなさんへ
大学院では、自分の研究テーマについて十分に掘り下げることができます。その過程で自分ひとりでは壁にぶつかってしまうこともありますが、その際は指導教授の先生をはじめとする多くの先生方や先輩方が、快く協力してくださいます。私自身も幾度となくご指導をいただきました。この場を借りて、感謝を申し上げます。ある1つのテーマに集中して取り組む経験は、今後の人生の糧となるような価値あるものです。大学院に興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
※この記事は2021年1月時点の内容です。