大学院

【究める vol.39】大学院生の生活⑦(総合政策研究科 博士前期課程1年 吉田 のえるさん)

2021年01月26日

「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。
現役大学院生に院生生活や研究についてお聞きする連載「大学院の生活」。今回は、総合政策研究科 総合政策専攻 博士前期課程1年の吉田 のえる(よしだ のえる)さんにお話を伺いました。

書籍を清掃する様子(詳細は本文参照)

   吉田 のえる さん


  研究科:総合政策研究科


   専攻:総合政策専攻


   課程:博士前期課程1年

研究テーマについて

日本はなぜ大きな戦争に突き進んでしまったのか、どうしてその流れを止められなかったのか、という疑問が、私の研究活動の原点です。
日本は20世紀前半に、朝鮮半島を植民地として支配しており、当初の統治方法は武力行使を伴う抑圧的なもの(武断統治)でした。しかし、先行研究を調べると、その武力的な統治の中には、現地の宗教者を中心とした独立運動をきっかけに緩和されたものがある(文化統治)ことがわかりました。
そこで、テーマを「植民地期朝鮮の宗教政策と社会運動」とし、対象の宗教をキリスト教に絞って、当時のキリスト者による運動が、政策転換においてどのような影響をもたらしたのか、逆に、日本政府による抑圧的な政策は、キリスト者にどう影響して独立運動に繋がったのか、相互関係を研究し、同じ戦争を繰り返さないためのヒントを得たいと考えています。
研究手法は、当時の朝鮮の教会新聞の紙面分析を計画していましたが、渡韓が難しい状況なので、日本政府側の資料も交えた文献分析を行う予定です。

1週間のスケジュールについて

大学院生として、どのような1週間を過ごしているかについてお聞きしました。

  午前 午後(昼) 午後(夜)
アルバイト 研究★ 研究
授業★ 研究補助★ 研究
アルバイト 授業 課題
研究 授業 課題
授業 研究補助 研究
アルバイト 研究 自由
アルバイト 研究 自由


<Pick Up!>
★研究(月・午後)
今は先行研究をたくさん読んで、知識を深めたり、論文のためにまとめる作業が中心です。私は過去の新聞なども使うので、まとまった時間のある時に、外部の大学や研究所の図書館に伺って、資料を閲覧しています。

★授業(火・午前)
同級生の人数が少ないこともあると思いますが、私の場合はほとんどの授業がマンツーマンです。先生方も私の研究に役立つような内容に近づけて講義してくださるので、論文に直結する学びがたくさんあります。受講生が自分一人だと、大教室の授業とは違って、小さな疑問点でも好きなだけ質問できるので、より深い理解や議論につながって、とても楽しいです。

★研究補助(火・午後)
先生の研究のお手伝いをしています。今年度は指導教授が研究期間で不在なので、学部生の時にお世話になった先生にお声掛けいただき、図書館に所蔵予定の書籍を清掃したり、目録作成のお手伝いをしています。

1日のスケジュールについて

続いては1日のスケジュールについて、具体的に例を挙げていただきました。

~5:00 睡眠
5:00~6:00 起床
6:00~12:00 アルバイト★
12:00~13:00 昼食
13:00~18:00 授業
18:00~19:00 夕食
19:00~22:00 課題★
22:00~23:00 自由
23:00~ 睡眠


<Pick Up!>
★アルバイト
朝にアルバイトを済ませておくと、その後集中する時間をまとめて確保できるので、効率が良いように思います。

★課題
授業がマンツーマンなだけに、理解が追いつかなければ次週から議論が進まないので、予習復習にはそれなりに時間が必要です。また、先生に対して発表も一人で行うので、きちんと受け答えできるよう、課題に丁寧に取り組んだり、参考文献をきちんと理解するよう努めています。今は登校日数が少ない分、オンラインで友人と勉強会を開くなどして、お互い励まし合って頑張っています。

受験生のみなさんへ

私は学部生の時、やっと「専門分野の勉強とは何か」を掴み始めたくらいで就活のシーズンが来てしまい、もっと勉強がしたいと思って大学院に進学しました。就活をしない選択には不安もありましたが、大学院では本当に自分のやりたいことだけを突き詰められるので、やりがいもあって、進学して良かったと感じています。時間をかけて納得がいくまで物事を考えられるのは大学院ならではだと思うので、一人でも多くの方に充実した大学院生活を経験していただきたいです。