「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。第14回は文学研究科の及川淳子准教授にお話しを伺いました。

文学研究科
及川 淳子 准教授
おいかわ じゅんこ 教員紹介
専門分野
現代中国社会
担当科目
中国思想文化演習A・B、中国文化特殊研究ⅠA・B
仕事で一番大切にしていること
「対話」です。意見や立場の違いを超えるための相互理解はとても難しいですが、丁寧に対話することを大切にしたいと思っています。
座右の銘
「有縁千里来相会」(縁があれば千里の彼方からも出会うべくして出会う)
どんな学生だったか、どんな学生生活を送ったか
勉強を続けたくて学部卒業後すぐに修士課程に進学しましたが、学費の工面が難しく、経済的なプレッシャーを抱えていました。修士終了後、様々な仕事をして、10年後に、ようやく社会人入試で博士課程に進学しました。仕事をしながら博士論文を書くのは本当に大変でしたが、恩師や学友と学んだ日々が現在に繋がっています。
指導学生から紹介します!
私が博士前期課程2年の時に、及川先生は中央大学に着任されました。先生は、いつも笑顔で接してくださり、授業では理解できるまで親身に指導をしてくださいます。また、先生の研究に対して客観的に取り組む姿、そして前向きな人生観に頭が下がります。正に「亦師亦友(師でもあり、友でもある)」と思います。
(博士課程後期課程1年 Sさん)
研究テーマ
現代中国の社会、特に言論空間と政治社会思想について研究しています。中国憲法では言論の自由が明記されていますが、中国共産党の政権下では政治的な自由が厳しく制限されています。しかし、規制の中でも、近年は様々な思潮を見ることができ、自由と規制が拮抗する中で、現代中国の思想地図は急速に変容しています。その諸様相を読み解くことを研究課題として、特に中国におけるリベラリズムをめぐる言説について研究しています。
論文・著書・学会発表

左:『現代中国の言論空間と政治文化―「李鋭ネットワーク」の形成と変容 ― 』、右:『新全体主義の思想史 コロンビア大学現代中国講義』
● 『現代中国の言論空間と政治文化
-「李鋭ネットワーク」の形成と変容 - 』
(御茶の水書房、2012年)
● 石井知章・緒形康編
『中国リベラリズムの政治空間』
(勉誠出版、2015年)
● 張博樹著、石井知章 及川淳子 中村達雄 訳
『新全体主義の思想史
コロンビア大学現代中国講義』
(白水社、2019年)
最近のトピックス
1.劉暁波に関する研究
今年、2019年は1989年の六四天安門事件から30年にあたります。事件に深く関わった作家の劉暁波(2010年、獄中でノーベル平和賞を受賞し、2017年獄死)の政治評論を翻訳紹介しています。
2.李鋭に関する研究
中国共産党幹部で元毛沢東秘書の李鋭(2019年101歳で死去)のオーラルヒストリーを19年間続けました。近頃、彼の83年分の日記がアメリカのスタンフォード大学フーバー研究所に寄贈されたので、今後、李鋭日記の研究を本格的に進める予定です。
受験生のみなさんへ
自分が興味をもったこと、もっと勉強してみたいと思ったこと、大学院に進学して研究してみようと思ったその気持ちを大切にしてください。研究とは、「真理の探究」です。中央大学大学院で、あなたらしい学びを深めてください。
※掲載内容は2019年10月10日時点のものです。