中央大学について

2015年度(平成27年度)

2015(平成27)年度 学校法人中央大学事業計画

Ⅰ はじめに

現在、我が国を取り巻く環境は、少子高齢化の進展、東日本大震災からの復興への取組み、労働市場や産業・就業構造の変化、過疎化の進行、格差の拡大、グローバル化の進展等、様々な課題が顕在化し、先行きが不確実な状況にあります。
このような社会状況において、大学には、予測困難な次代を切り拓く多様な人材の輩出や、学術研究成果の発信が求められております。同時に、諸改革の推進を通して、教育の質の向上や学修支援機能の強化・充実を図るとともに、これらを着実に推進するための恒常的な点検・評価と内部質保証システムの構築が一層、求められています。

本学では、社会の課題に応え、新たな社会価値を創造する実地応用力を備えた人材を育成することを目指し、質の高い教育プログラムや教育システム等の開発・導入、教育課程及び教育方法の工夫改善に関する取組みを推進しております。特に、学生支援、地域・社会連携の工夫改善に関する取組み等を主たる対象として「中央大学教育力向上推進事業」を実施し、本学の教育力向上と活性化に向けて全学的に取り組んでおります。
また、グローバル社会においても、様々な分野においてリーダーシップを発揮し、活躍できる人材を育成すべく、平成24年度文部科学省「グローバル人材育成推進事業」における取組み、長期・短期の留学制度の他、学部の枠を超えて履修することができる「ファカルティリンケージ・プログラム」(FLP)における海外でのフィールド・ワーク、各学部における海外引率を伴うゼミ活動、短期集中外国語講座やTOEIC課外講座の開講等、より多くの学生が海外経験を積むための教育体制の充実にも努めております。

2015年度事業計画の策定におきましては、全学を挙げて特に推進すべき課題を「重点事業方針」として定め、これらを踏まえて各組織が重点的に取り組む「重点行動計画」を策定することにより、大学はもとより、附属の中学校・高等学校を含めた全学的な事業の方向性の共有化を図っております。
本学の未来を創造し、社会からの要請に十全に応えた総合学園として発展していくために、2015年度については(1)学生・生徒を起点とした教育の質の向上と学修支援の更なる充実、(2)研究活性化のための研究推進体制の整備と研究成果の発信、(3)首都圏ならびに全国からの多様な学生募集戦略の強化と「中央大学ブランド」の認知拡大、(4)本学が中長期的な観点から推進する事業の明確化とこれを支えるガバナンスと財政基盤の強化、の項目からなる重点事業方針を設定しました。

また、重点事業方針を策定する過程において、教育、研究、学生支援、ガバナンスをはじめとする諸課題を再確認し、中長期事業計画においてこれらの課題への具体的な対応を志向しております。特に、2015年度に本学が積極的かつ着実に実施すべき施策として、2015年度の重点行動計画等を踏まえて策定した「2015(平成27)年度 学校法人中央大学事業計画」は、以下の通りです。

Ⅱ 重点事業方針

学生・生徒を起点とした教育の質の向上と学修支援の更なる充実

教育内容の改革や質保証の方向性を踏まえ、グローバル社会において多方面で活躍できる人材を輩出するために必要な教育の充実や質の向上等に資するよう、2014年度に引き続き、教育の質の向上に力点を置いた活動を行うことといたします。また、学生・生徒が卒業後においても自らの資質を向上させ、社会的自立を図るために必要な能力の涵養に資するよう、学生・生徒の学修意欲の向上と人間力の醸成に向けた組織的な学修支援施策を実施いたします。2015年度においては、特に、① 附属中学校・高等学校における大学等との連携を含む特色ある教育の展開、②学士課程教育の質の向上、③大学院教育の実質化と質的向上、④組織的なFD活動の全学的推進、⑤「中央大学教育力向上推進事業」を活用した教育力の向上、⑥キャリア形成支援の充実、⑦学生・学修支援組織の有機的な連携の促進と中央大学の伝統を基礎とした課外活動を含む学生・生徒支援、等の諸施策に取り組みます。

研究活性化のための研究推進体制の整備と研究成果の発信

国内外の大学が、研究大学としての使命や成果を積極的に発信し、その存在価値を高めている中で、本学としても「実学」に基づく研究成果の発信ならびに社会への還元を推進する必要があります。それは、新たな「知」の創造であるとともに、本学の伝統である実学教育をさらに発展させることとなることから、2015年度においては、① 研究推進体制ならびに制度の整備・充実、②若手研究者の育成、③研究活動の可視化と研究成果の積極的な国内外への発信ならびに社会還元、等の諸施策に取り組みます。

首都圏ならびに全国からの多様な学生募集戦略の強化と「中央大学ブランド」の認知拡大

18歳人口の減少が進むなか、入学試験における本学の志願者数は、ここ数年、減少傾向にあります。その要因としては、受験生の地元志向、安全志向の高まり、さらには、いわゆる「文低理高」といわれる社会科学系統への志願者数の減少傾向、等があったと考えられます。こうした状況を分析し、その原因について全学レベルでの情報共有を行い、全学的な取り組みとして学生募集戦略を早急に展開することが喫緊の課題であることから、2015年度においては、① 中長期の学生募集に関する具体的なアクションプランの策定、②本学の総合大学としての魅力の認知拡大と多様な学生募集戦略の展開、③首都圏からの学生募集戦略の確立、④全国型大学へ向けての学生募集戦略の確立、等の諸施策に取り組みます。

本学が中長期的な観点から推進する事業の明確化とこれを支えるガバナンスと財政基盤の強化

本学の各機関、組織が事業活動を行ううえで、意思決定を迅速かつ的確に行うことは非常に重要なことです。また、その事業計画において十分な成果や結果を得るためには、綿密な事業計画の策定はもとより、これを支える人材や財源も重要な要素です。本学の未来を創造するための活動に必要な事業を明確にし、その財政基盤や運営体制の見直しを行うことが求められていることから、2015年度においては、① 本学が推進する中長期事業計画の明確化、②意思決定の迅速化に向けたガバナンスの再構築、③本学の運営に必要な組織体制の見直しと適切な人材の配置、④中長期財務計画の策定と財務体質の改善、等の諸施策に全学を挙げて取り組みます。

Ⅲ 2015(平成27)年度 学校法人中央大学事業計画

<大学会計部門の事業計画>

建学の精神、大学の理念・目的・教育目標の全学的浸透

(1) 建学の精神、大学の理念・目的・教育目標の全学的浸透・理解促進
①建学の精神、各教育研究組織の理念・目的・教育目標、アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシーの全学的浸透

教育の質の向上

(1) 学士課程教育の質の向上-学修効果を高めるための教育体制の充実-
①入学前後における基礎力向上教育の推進
②ファカルティリンケージ・プログラムをはじめとする全学的教育プログラムの更なる推進
③学部における諸改革等を通じた教育内容・方法等の質的向上(教育課程の国際的通用性の向上、学生の自主的な学習時間の確保、アクティブ・ラーニングの推進を含む)
④グローバル人材育成及び外国人留学生の受け入れの全学的推進


(2) 大学院教育の実質化・高度化と質的向上
①大学院修士課程、博士課程(前期・後期)教育の実質化・高度化(グローバル人材育成、アクティブ・ラーニングの推進を含む)
②専門職大学院における教育内容・方法の改善・充実(グローバル人材育成、アクティブ・ラーニングの推進を含む)
③入学定員・収容定員に対する入学者数・在籍学生数の適切かつ厳格な管理


(3) 組織的なFD活動の全学的推進
①学部における組織的なFD活動の推進
②大学院・専門職大学院における組織的なFD活動の推進


(4) 競争的資金(学内外)を活用した教育の質の向上
①競争的外部教育資金の獲得に向けた取組みの全学的推進
②「中央大学教育力向上推進事業」を活用した教育力の向上


(5) キャリア教育の推進
①体系的なキャリア教育及びキャリア形成支援の充実

学修・学生支援の更なる充実

(1) 学びをやりがいにつなげる体制強化
①学修支援制度・体制の充実
②奨学金制度の改善・充実


(2) きめ細やかな学生支援
①就職支援の強化・充実
②学生サービスの充実ときめ細やかなスタッフ対応力の向上(ユーザビリティの向上を含む)
③心と体の健康に係る支援・管理体制の充実

研究力の向上

(1) 研究者養成制度の充実
①若手研究者育成システムの構築


(2) 研究活動の促進
①重点研究分野の形成と研究支援・推進体制の更なる充実
②各教育研究組織・各研究所における研究活動の推進と積極的な研究成果の発信
③学内研究費制度に基づく研究活動の活性化、競争的外部研究資金の獲得による研究活動の促進
④公的研究費の不正使用防止の徹底

中大ブランドの強化

(1) 資格取得支援の強化
①資格取得に向けた学修支援の推進(司法試験・公認会計士試験・教員採用試験・公務員試験等)


(2) 学術・文化・スポーツ振興
①学術・文化・スポーツ活動の促進


(3) 入学志願者の質的強化と量的拡大
①中長期的な学生募集戦略の確立
②入学志願者募集活動の強化
③適切かつ有効な入試制度の運用と安定的な実施体制の確保


(4) 戦略的な広報活動とブランディングの推進
①教育・研究に係る活動及び成果の積極的な発信

総合学園づくりの促進

(1) 総合学園づくりの促進
①附属学校との教育連携の更なる充実と積極的な情報発信

国内外におけるネットワークの構築

(1) ステークホルダーとの連携推進
①父母ネットワークの強化、連携取組の促進
②卒業生・修了生等とのネットワークの強化、連携取組の促進
③地域・社会とのネットワークの強化、連携取組の促進
④産学官連携活動の推進

教育・研究環境の整備

(1) 教育・研究環境の整備
①教育・研究活動等に係る教員評価制度の検討


(2) キャンパスの環境整備
①多摩キャンパスの教育・研究環境、学修環境、アメニティの整備
②都心キャンパスの教育・研究環境、学修環境、アメニティの整備

ガバナンスの再構築とマネジメント機能の強化

(1) 迅速な意思決定と的確なマネジメントを支える体制の整備
①全学的意思決定システム及び各種マネジメント体制の整備(IR推進体制の確立を含む)、各種規程の整備
②自己点検・評価に基づく自己改善メカニズムの高度化、各種認証評価への適切な対応
③事業計画をはじめとする主要PDCAサイクルの更なる推進


(2) 危機管理体制の整備
①コンプライアンスの徹底と危機管理体制の全学的強化(事件・災害・薬物・メンタルヘルス・ハラスメント対策、安全安心キャンパス整備等)


(3) 中長期事業計画の策定及びマネジメントシステムの構築
①中長期事業計画の策定、中長期事業マネジメントシステムの構築と事業推進
②中長期財務計画の策定


(4) 財務基盤の強化
①財務基盤の強化、募金活動の推進


(5) 組織の活性化
①組織体制の見直しと業務改善の推進、SD活動の促進

<独立会計部門の事業計画 >

中央大学通信教育部

(1) eラーニングの環境整備
①オンデマンドスクーリングの充実
②オンデマンドコンテンツの充実


(2) 学生の利便性に配慮した学習環境の提供
①大都市圏での短期スクーリングの充実
②全国各地での科目試験の実施


(3) カリキュラムの見直し
①卒業要件単位数の削減ならびに設置科目の見直し

中央大学高等学校

(1) 教育施設・設備の整備
①教育施設・設備の整備ならびに各教科の教材・教具の更なる充実


(2) 特色ある教育の推進
①生徒一人ひとりの進路ならびに目標や習熟度に応じたきめ細かな教育への対応
②将来の職業や社会とのつながりを学び、大学進学に対する目的意識を情操するキャリア教育の推進
③土曜日を活用した基礎学力の向上と教科に留まらない実力の涵養


(3) 危機管理体制の整備
①防災・安全対策の強化及び緊急事態への対応

中央大学杉並高等学校

(1) 教育施設・環境の整備
①空調設備の更新及び自習室等の施設環境整備
②教務システム及び教員イントラのリプレイスによる校務の効率化


(2) 魅力ある教育活動の推進
①国内研修を通じた社会問題・課題解決を意識した自発的・主体的人材の育成
②国外研修を通じた国際理解教育の推進と課題解決型人材の育成
③「朝学習」をはじめとする基礎学力向上に向けた取組の充実


(3) 入学志願者に対する広報活動の充実
①学校説明会・グループ見学会の更なる充実
②戦略的な広報媒体の選定


(4) 財政基盤の確立
①将来の施設設備の更新等、諸施策を支えるための資産形成と財政基盤の強化
 

中央大学附属中学校・高等学校

【中央大学附属中学校・高等学校共通】

(1) 学校情報発信ならびに生徒募集体制の強化
①学校説明会、オープンキャンパスの充実による情報発信強化ならびに入試広報委員会の機能強化


(2) 教育施設・設備の整備
①安全・安心なキャンパス環境の整備とライフサイクルコストの低減

【中央大学附属中学校】

(1) 特色ある教育の推進
①中高連携、中学・大学連携の充実と中長期的視点に立った将来構想の策定
②中央大学の持つリソースを活用した中高大連携プログラムの推進


(2) 国際交流事業・国際化の推進
①国際理解を深めるための国際交流事業の実施

【中央大学附属高等学校】

(1) 特色ある教育の推進
①中高連携、高大連携の充実と中長期的視点に立った将来構想の策定


(2) 国際交流事業・国際化の推進
①国際理解を深めるための親善交流・体験学習の実施


(3) 中等教育課程の質の向上
①中高一貫教育を踏まえた高校新カリキュラムの全面実施及び検証

中央大学附属横浜中学校・高等学校

(1) 教育施設の円滑な維持管理の推進
①施設の運用管理体制と関連諸経費の効率的な見直し
②活発化する課外活動・学校行事に対応した施設設備の補充整備
③情報環境の整備と教育設備の充実
④近隣住民に配慮した施設の整備


(2) 危機管理対策の充実
①危機管理マニュアルの整備と防災訓練の継続実施
②災害時対応の備品、備蓄品の年次的整備
③近隣にも配慮した登下校時の安全確保とマナー指導の継続的推進


(3) 教育内容の充実
①「渡邊たま奨学基金」を活用した奨学事業の推進と特色ある教育活動の検討
②国際理解教育の展開
③充実した教育活動を展開するため、中長期的視点に立った事業運営計画と財政基盤の確立
④附属学校にふさわしい学力水準の生徒の確保及び入学定員の充足


(4) 教育改革の推進
①計画的な教員組織の強化と整備
②教員研修の支援
③授業公開、授業評価の充実
④中高大連携の充実
⑤希望進路実現体制の充実
⑥いじめ等への適切な対応


(5) 入学試験業務の充実
①入学試験管理システムの再構築
②入学試験問題の質的向上

中央大学経理研究所

(1) 社会人実務教育の推進
①受講生のニーズに沿った会計分野実務講座ならびに会計・ビジネス研究会の実施


(2) 資格取得支援の強化
①簿記検定試験ならびに公認会計士試験に向けた学修支援の充実
②全学部新入生及び附属中高生徒を対象とした課外講座による「簿記会計」学修者の拡大ならびに支援


(3) 会計研究成果の社会への発信
①機関誌『経理研究』の刊行企画


(4) 財務体質の改善
①事業内容の精査と運営体制の改善(駿河台記念館教室の返還等)

中央大学収益事業会計

(1) 出版事業を通じた大学の研究成果の発信及び教育への還元
①積極的な出版企画による良書の刊行
②教科書、参考書の刊行及び販売の促進
③常備書店の拡大充実


(2) 学生の需要を的確に把握した学生サービス業務の推進
①自動販売機による販売活動の充実及びサービスの向上

 

 

以上