中央大学について
2012年度(平成24年度)
2012(平成24)年度 学校法人中央大学事業計画
~「学生起点の大学づくり」を目指して~
事業計画策定にあたって
中央大学は、昨年発生した東日本大震災により被災した学生や経済環境の悪化に伴う学生を強力に支援すること、また、安全で安心なキャンパス環境を創出・整備することを大学が果たすべき責務として位置付け、2012年度についても経済支援策および防災対策を継続して講じることとし、学生が安心して修学できる環境を整えるべく、最大限の努力を払って参ります。
本学は、英吉利法律学校を起源とする1885(明治18)年の創立時から125年という歴史を経て、その伝統のうえに新たなる時代を切り拓く時を迎えています。「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神を現代社会に実践するという大きな使命は、6学部、大学院7研究科、専門職大学院3研究科、4附属高等学校、2附属中学校と9研究所を有する総合大学・総合学園となった現在も、多様な学問研究と幅広い実践的な教育を通じて「行動する知性。-Knowledge into Action- 」を育むという本学のユニバーシティー・メッセージとして受け継がれています。
創立150周年に向けて躍動感を持って力強く走り出すべき第6クォーターの始動期にある本学が、世界に存在感のある大学として更に飛躍するためには、当面、本学の人材育成の礎である学部・大学院における教育を質・量ともに充実させることが最優先課題であり、ひいてはその具現が後継者養成の充実、研究条件の充実、附属学校の充実、財政基盤の強化など、あらゆる施策の充実と発展のための基礎になるものと考えます。このような考えのもと、今後とも有為な人材を輩出し、よりいっそう躍動感のある大学として発展を遂げるために、教育改革と国際化・ICT化の推進、教育研究力の増強、学生支援機能の強化、社会連携の推進などをはじめとする諸課題を積極的に推進することにより、教育力・研究力の充実を基盤としながら、学生起点の活力にあふれた魅力ある大学・総合学園づくりに努めているところです。
現在、毎年度の事業計画の策定に際しては、全学的な事業計画の策定における中期的な基本コンセプトとして「学生起点の大学づくり」を継続して掲げるとともに、全学をあげて特に力を入れて推進すべき重点課題を「重点事業方針」として定め、これを事前に学内で周知・共有することとしており、その上で、それぞれの組織が重点事業方針を見定め、取り組むべき「重点行動計画」を策定することで、大学全体として目指す方向性の共通化を図ることとしています。
そして、2012年度の事業計画の策定にあたっては、①教育の質の向上、②学修支援、③国際化の3項目を昨年に引き続き重点事業方針として設定し、とりわけ教育面の充実を図る施策を重点的かつ継続的に推進することといたしました。
このような経緯のもと、2008年に策定した「創立125周年に向けて本学を総合大学として更に発展させるための理事会基本方針」に掲げる実施計画・検討課題を基盤としながら、前述の「重点事業方針」(①教育の質の向上、②学修支援、③国際化)を見据えた各組織における「重点行動計画」、大学評価委員会による「2010年度年次自己点検・評価を踏まえた最重要課題」、「2011年度中央大学新入生及び在学生アンケート実施結果」、「2011(平成23)年度事業計画」の進捗・達成状況、ならびに国の政策動向等を十分に考慮しながら、2012年度に本学が積極的かつ着実に実施すべき施策として取り纏めた「2012(平成24)年度 学校法人中央大学事業計画」は、以下のとおりです。
重点事業方針
中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像(平成17年)」、「新時代の大学院教育(平成17年)」、「学士課程教育の構築に向けて(平成20年)」、「グローバル化社会の大学院教育(平成23年)」等でも示されているように、高等教育機関には、教育の実質化に向けた諸改革を通じた質保証が強く求められています。本学の学生の学修意欲を向上させ、人間力を涵養し、卒業後多方面で活躍できる人材を輩出するための教育の充実に資するよう、① 外国語教育の更なる充実、② FD・SD活動の全学的推進、③ 学士課程教育・大学院博士課程教育の実質化の推進・展開、などの諸施策に全学をあげて取り組みます。
学生が自らの資質を向上させ、社会的自立を図るうえで必要な能力を涵養するためには、学修支援セクションにおける有機的な連携を促進するとともに、学生の学修意欲の向上と人間力の醸成に向けた学修支援を組織的かつ積極的に図ることがますます重要になっています。そのため、① 学生の「やる気」を応援する支援策の充実、② 東日本大震災・経済環境悪化に伴う学生支援策の充実、③ キャリア教育とキャリア形成支援の充実、などの諸施策に全学をあげて取り組みます。
今日の世界は、政治・経済・文化をはじめとするあらゆる分野の活動が、地球規模でめまぐるしく進展しています。大学は自らがグローバル社会に対応した存在になるとともに、国内外の学生にとって魅力ある高等教育を提供する必要があります。
本学では、学生及び大学自体の国際化を推進し、現代社会が抱える多様で複雑化した地球規模での諸問題へ的確に対応できるグローバル人材の育成を念頭に置いた学部・大学院等における改革・改善を進めます。具体的には、① 学生の送り出しと受け入れを増加させるための教育内容・方法の見直しと強化、② 研究成果の向上と国際的な発信、などの諸施策に全学をあげて取り組みます。
2012(平成24)年度 学校法人中央大学事業計画
Ⅰ.学生の潜在力(Capability)の開発
(1) 建学の精神、大学の理念・目的・教育目標の全学的浸透・理解促進
①建学の精神、各教育研究組織の理念・目的・教育目標、アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシーの全学的浸透
(1) 学士課程教育の質の向上-学修効果を高めるための支援・サポート体制の充実-
①外国語教育の更なる充実
②入学後の基礎力向上教育
学部間共通教育スキームの充実、全学的教育プログラム運営体制の再構築(教員所属組織の多様化への対応を含む)
学部における諸改革等を通じた教育内容・方法の質的向上
新学部・新学科の設置の全学的検討
(2) 大学院教育の高度化・実質化と質的向上
①大学院博士課程(前期・後期)教育の実質化の推進・展開
②入学定員・収容定員に対する入学者数・在籍学生数の適切かつ厳格な管理
③専門職大学院における教育内容・方法の充実、改善
④学部との教育連携の強化
(3) 組織的なFD活動の全学的推進
①学部における組織的なFD活動の推進
②大学院・専門職大学院における組織的なFD活動の推進
(4) 競争的外部資金を活用した教育の質の向上
①競争的外部教育資金の獲得に向けた取り組みの全学的推進
②国際水環境理工学人材育成事業
(5) キャリア教育の推進
①就業力育成教育プログラムの推進
②キャリア教育、キャリア形成支援の充実
(1) 学びをやりがいにつなげる体制強化
①学生の「やる気」支援策、学修支援制度の更なる充実・実質化
②奨学金に関する制度の改善・充実
(2) きめ細やかな学生対応
①就職支援の拡充
②学生サービスの向上とスタッフ対応力の向上
③心と体の健康の管理体制の充実
(1) 資格取得等の支援強化
①資格取得等への学修支援(司法試験・公認会計士試験・教職・公務員等)
(2) 女子学生への支援強化
①女子学生応援プロジェクトの推進
(3) 学術・文化・スポーツ振興
①学術・文化・スポーツ活動の促進
(4) 入学志願者の質的・量的強化
①入学志願者募集活動の強化
②適切かつ有効な入試制度の運用と安定的な実施体制の確保
(5) 戦略的な広報活動の推進
①教育・研究に係る活動及び成果の積極的な発信
(1) 国際化及びグローバル人材育成に向けた取り組みの推進
①学生の海外留学の支援・促進
②外国人留学生の受入体制の整備、学生間交流機会の創出・充実
(1) 附属学校教育の充実・強化
①附属学校における教育の更なる充実と積極的な情報発信
Ⅱ.リソースの結集
(1) 研究者養成制度の充実
①若手研究者育成システムの構築
②国際的な研究活動の推進
(2) 研究活動の促進
①重点研究分野の形成と更なる研究支援体制の整備・充実
②各研究所における研究活動・成果発信の促進
③学内研究費制度に基づく研究活動の活性化と競争的外部研究資金の獲得による研究活動の促進
(1) ステークホルダーとの連携推進
①他大学との教育・研究連携の推進
②父母ネットワークの強化
③卒業生・修了生等とのネットワークの強化
④地域・社会とのネットワークの強化
⑤産学官連携体制の強化
(1) キャンパス整備
①多摩キャンパスの教育・研究環境、アメニティの整備
②都心キャンパスの教育・研究環境、施設の整備
(1) 中長期事業計画及びマネジメントシステムの構築
①中長期事業計画及び中長期事業マネジメントシステムの検討・策定
(2) 意思決定・マネジメント体制の整備
①全学的意思決定システム及び各種マネジメント体制の整備、重要規程の整備
②教学における重点課題の再設定と執行体制等の強化による大学改革の推進
(3) 財務基盤の強化
①中長期財務計画の策定、財政基盤の強化、募金活動の推進
(4) 各組織の活性化
①事務組織の見直しと業務改善の実施、SDの推進
②自己点検・評価に基づく自己改善メカニズムの定着化・高度化、各種認証評価への適切な対応
③事業計画をはじめとする主要PDCAサイクルの着実な推進
(5) 危機管理体制の整備
①危機管理体制の全学的強化(事件・災害・薬物・メンタルヘルス・ハラスメント対策、安全安心キャンパス整備等)
Ⅲ.独立会計部門の事業計画
(1) 社会の変容に対応する通信教育課程の充実・整備及び改善
①「導入教育」の充実
②eラーニング環境整備
③各種専門職を含め法律知識・法的思考能力習得のニーズに対応する的確な広報の実施
④教科書を中心とする教材の充実
⑤面接授業等実施のための施設の確保・充実
(1) 教育施設・設備の整備
①教育環境の整備充実
②各教科の教材・教具の整備充実
(2) 特色ある授業の推進
①きめ細かな教育への対応
進路選択に対応したクラスの編成をはじめとする少人数教育を充実させるとともに、教員研修を充実させ、教員の教育力の向上を図る等、教育の質を高める。
②教育内容の充実
授業評価アンケートを活用し、教育内容の充実に反映させる。土曜日を活用した教養プログラムを実施し、教科に留まらない実力を涵養する。
③キャリア形成教育
生徒が将来の職業や社会とのつながりを学ぶことを通して、大学進学に対する目的意識を持たせるためのキャリア教育を推進する。
(3) 危機管理体制の整備
①防災・防犯(不審者等)に対する対応マニュアルの整備及び訓練の実施
②生徒・教職員を対象としたAED講習会の実施
(1) 創立50周年記念事業への取り組み
①記念式典及び音楽会の実施
②記念誌の作成
(2) 魅力ある教育活動の継続的な展開
①協定校(オーストラリア:ユニティーカレッジ/韓国:中山高等学校)との生徒交流
②海外研修(イギリス:オックスフォード)、国内研修(屋久島)の実施
③卒業論文集(国語)の作成
④その他各教科の充実
⑤学校行事の充実
(3) 教育施設の維持・改善
①柔道場畳張替工事
②地下一階消防改修工事
(4) 広報活動の充実
①学校説明会等の充実
②海外での学校説明会への参加
(5) 財政基盤の確立
①将来の施設設備の更新等、諸施策を支えるための資産形成と財政基盤の強化
(1) 高等学校における教育環境の改善・充実・整備
①新カリキュラムの実施
②国際交流-中国との交流の実施
③サーバー、コンピュータ-ラボPCリプレイス
(2) 中学における教育体制の整備
①プロジェクト授業の実施
②体験学習の実施
③食育の実施
④模擬裁判の実施
⑤国際交流―オーストラリア・スコッチカレッジとの交流の実施
(1) 教育施設の維持
①校舎、体育館の老朽化に伴う安全確保のための施設維持
(2) 危機管理対策
①危機管理マニュアルの見直しと整備
②災害対応の備品整備と備蓄(非常食、水、シュラフ)
(3) 教育内容の充実
①理科実験備品の補充と支援要員の確保
②家庭科実習備品の整備と支援要員の確保
③新学習指導要領実施に伴う武道必修化への対応(防具等の購入)
④部活動補助コーチの導入
⑤学習支援指導員の確保(生徒の学力向上のための補講習、講座の充実)
(4) 教育改革の推進
①計画的な教員組織の強化・整備
②教員の研修支援
③授業公開の推進と授業評価の実施
④生徒力養成プログラムの実践と遂行
⑤進路指導とカリキュラムの整合性のある実践
⑥大学合格実績の向上を目指したクラス編成の検討
(5) 広報活動の推進
①積極的・効果的な広報活動によって学校の教育内容を周知するとともに、知名度アップを図る。
②一定の学力要件を満たした生徒を確保するとともに、入学定員の充足に向けて取り組む。
③学校説明会の内容、回数、会場、配布物、アンケート等についての検証を行う。
(6) 学校行事、修学旅行、海外研修の充実
①目的・意義を十分に検討し、教育的見地及び経済的側面からの研究も行う。
②附属校及び進学校としての行事の教育的必要性を検討し、場合によっては大胆な見直しを行う。
(7) 新校舎建設及び移転関連事業の着実な遂行
(8) 保護者への(施設設備充実)寄附金募集の開始
(1) 研究会・専門講座の運営
(2) 簿記会計講座・公認会計士講座の運営
(3) 機関誌「経理研究」(第56号)の編集・発刊
(1) 出版部門
①積極的な出版企画による良書の刊行
②教科書、参考書の刊行及び販売の促進
③常備書店の拡大充実
(2) 学生サービス部門
①学生の需要を的確に把握した学生サービス業務の推進
・自動販売機による営業活動の充実及びサービスの向上
・コピーサービスの充実及び向上